錬成七剣神(セブンスソード)

奏せいや

対決6

 必死の思い。誓った約束。聖治が、守ろうとした全部。

 それらが、目の前で散った。目の前で。

「馬鹿ヤロォオオオオ!」

 今度も。またも。手が、届く距離にあったのに。

 カリギュラが解け、体は重いものの聖治は起き上がり走った。此方こなたの胸にはカリギュラが刺さっており、傷口から大量の血液が流れ出ていた。

 聖治は倒れる此方こなたを受け止め、両膝を地面に付ける。

「なぜだ!? 死ぬことはないだろうがぁあ!」

「……あるよ」

 此方こなたは細い息の中、聖治を見て言った。

「世の中にはね、自分よりも大切なものが、あるんだよ。私には、許せなかった、だけ……」

 最も許せない罪を断罪するため、此方こなたは自罰を与えた。

「だからって!」

「姉妹、だから……」

「え?」

「家族だもん。大切、な……」

 此方こなたは遠くを見つめるような目つきで、思いを語る。

「あんたにもいれば、きっと分かるよ。家族を、守ろうとする気持ち……」

此方こなた。俺はッ……!」

「家族はね、お互いを助け合って、思い合って、困難も、一緒に乗り切るの……。家族は、大切、だから……」

「でも、でも死ぬことはない!」

「それは、私のわがまま……。ごめん、答えになってなかったね……」

「もう、いい……! 喋るな……!」

「ねえ、聖治……」

「喋るな、って!」

 嗚咽で声が上手く出せない。涙で視界がぼやけ、胸が熱くなる。

「一度、あんたに甘えたことが、あったけど」

 此方こなたは目を瞑り、思い出しながら喋る。

「あんたで、良かったって、思ってる……」

 そう言うと、此方こなたはゆっくりと瞼を開けた。そして聖治を見つけると、にっこりと笑った。

「ありがと、お兄さん……」

 そのセリフが合図だったかのように、此方こなたの体が消えていった。

「止めろぉおお!」

 光となった此方こなたに叫ぶ。だがそれで止まるはずがなく聖治の一部となってしまった。

「うっ、うっ! うぅう……!」

 涙腺が決壊したように涙が噴出し、悔しさと悲しみに声がこと切れる。胸を抉りたいほどの痛みに襲われ、聖治は立ち上がった。

コメント

コメントを書く

「現代アクション」の人気作品

書籍化作品