錬成七剣神(セブンスソード)

奏せいや

明かされる真実3

 突然過ぎる告白とその内容に聖治はしばし絶句する。

「だから、私は信じてた。君と魔来名(まきな)が出会えば、きっと前世の記憶が蘇って、それで……」

 話す途中、香織かおりさんの声は震えていた。目尻からは涙がうっすら浮かび、唇も震え出す。

「それで、このセブンスソードを、皆で、ぇ、戦える、って……」

 瞳を閉じた時、香織かおりさんの頬を涙が通る。顔も赤みを帯び、全身が小刻みに動いて止まらない。

「だけどッ……!」

 そこで、香織かおりさんは口調を乱した。

「浅はかだった!」

 その言葉には悔しさが滲んでおり、自責の念が痛いくらいに詰まっていた。

「ごめん、私のせいなの……。それで、皆森みなもり君も、織田おだ君もッ! 君が魔来名まきなを許せない気持ちは分かる。今も、恨んでいると思う。だけど、出来れば……」

 香織かおりさんは申し訳なく思っている。悔しがっている。今も流している涙がそれを証明している。それでも、彼女は聖治を見てお願いしてきた。

「彼とは、戦わないで欲しい! お願いだから……! あなたたち二人にだけは、戦って欲しくないの!」

 泣きながら聖治に近寄り、懸命に頼み込む彼女の願いに、聖治はけれど、

「……それは、約束できない」

 断った。たとえ前世で兄弟だったとしても、そんなもの知ったことじゃない。確かなのは、魔堂まどう魔来名まきなは大切な友人を二人も殺したことだ。それは、絶対に許せないことだった。

 聖治の答えを聞いてどう思ったか。香織かおりさんは再び頼むことはしなかった。断られると承知していたのか、自身の無理を自覚していたのか。

「うん、分かった。ごめんね、無理言っちゃって……」

 寂しい声が薄暗いワンルームに消えていく。香織かおりさんは立ち上がって聖治に背を向けた。

香織かおりさんは、昔の俺たちを知っているですか? 前世の記憶が?」

 聖治は尋ねる。香織かおりさんは立ち止まり、答えてくれた。

「うん……。でも、私が直接知っているのは魔来名まきなの方。君とは初めて会ったよ。でも、すぐに分かった。たとえ見た目が違っても。あの人が教えてくれていたから……」

 それだけを言うと歩き出しドアノブに手を掛けた。ゆっくりと扉を開き、再び部屋に光が差し込んだ。

「それと」

 そこで香織かおりさんは動きを止めると、ドアノブに視線を向けたまま話した。

皆森みなもり君と織田おだ君は……、『前世でも、君と友達だったと思う』。自然と、そう感じていたんだ」

 それを最後に香織かおりさんは部屋から出て行った。聖治は返事をせず、背中姿を見つめるだけだった。

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