錬成七剣神(セブンスソード)

奏せいや

昼休憩

 転校初日からとんでもないハプニング、もしくはサプライズに遭った聖治だったが、そのおかげ星都せいと力也りきやは友達になっていた。

 そして時間は経ち今は昼休憩。クラスの皆は友達同士で席を合わせ弁当を取り出している。

 聖治は星都せいとたちに歩いていった。

「なあ星都せいと力也りきや。よければ俺も一緒していいかな?」

 聖治はお弁当を持って声をかける。食事を誘うことに普段なら緊張するだろうがこの二人には自然とできた。さきほどのサプライズのおかげだろうか。

「おう剣島。実は俺たちも今声を掛けに行こうとしていたんだよ。それでなんだけどな、俺たちはいつも屋上で食べてるんだ」

「へー、屋上か」

 今日は天気もいい。屋上で食べるには絶好の日和だ。

「それで、実はもう一人と一緒なんだが、別にいいだろう? 心配すんなって、俺から紹介してやるから」

「もう一人? ここのクラスとは違う人なのか?」

「うん、三年生の先輩ぃ。でも、すごく優しい人だから、緊張しなくても大丈夫ぅ」

「上級生か……」

 星都せいと力也りきやはこう言うが、先輩と一緒に食事することに少しだけ緊張する。しかし二人がいるなら大丈夫だろうと聖治は頷いた。

「分かった。俺も屋上までついて行くよ」

 聖治たちは屋上へと向かった。階段の突き当たりにある扉を開ける。

 瞬間、穏やかな風と頭上に広がる青空が迎えてくれた。屋上には柵が敷かれており、生徒の出入りは自由らしくベンチが数台設置されている。

 その内の一台に一人の女性が本を読みながら座っていた。この屋上には聖治たちとその人しかいない。

香織かおりさーん!」

 そこで星都せいとが座っている女性に向けて声を掛けた。先輩とは彼女のことだろうか。てっきり男性だと思っていた聖治は意外そうに聞いてみる。

「もしかしてさっき言っていた先輩って、あの女性のことか?」

「うん、そうだよぉ」

 三人は女性に近づいていく。どうやら星都せいとの声には気づいておらず本を読んだままだ。
 聖治は女性の近くに立つ。それで彼女を改めて見つめてみた。

(きれいな人だ)

 彼女の黒い髪は背中まで伸びており風が吹く度さらさらと揺れている。

 体は細く、背は女性にしては若干高い。物静かな雰囲気は読書中ということもあるが、落ち着いた年上の女性という美しさがあった。

香織かおりさん、来ましたよ。本読むのそろそろお終いにしてもらえません?」

「あ、ごめんごめん。気が付かなかったよ」 

 ようやく気が付いたのか彼女は慌てて顔を上げた。声も僅かに跳ね上がって、そんな仕草一つとっても愛嬌がある。

「あ」

「え?」

 そこで聖治と目が合った。初めて見る聖治に驚いたようで瞳が大きく見開かれている。無理もないなと聖治は胸の中で呟いた、その時だった。

「君は、もしかして……」

「え?」

 会ったことでもあっただろうか。しかし聖治は振り返るが心当たりはなかった。

香織かおりさん、さっきの休み時間に説明したでしょう。この人は今日転校してきた小室輝也こむろてるや君だよ」

「違うぞ星都せいと!」

 隣にいる星都せいとにツッコむ。初対面の人に性質の悪い冗談だ。すかさず聖治は先輩に振り向いた。

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