リーンカーネーション 小学生に戻ったおれ

seabolt

試合の後

試合直後、天野さんと山田さんがやってきた。

「やっぱ勝ったわね」

「いいのかい?同じチームメートに何か言わなくてもいいのかい?」

「別に・・男子チームだから、これと言って交流ないし・・・」

天野さんはにっこりとほほ笑んで

「佐藤君たちのチームの方が近いわよ。一緒に練習したりしたから・・・」

「そう・・」

「データ野球って・・・結局無駄だったみたいね」

「胡散臭いと思っていたんだ・・ハハハ」

そんな話を終わると俺たちは真っ先に水道へ向かって、水をがぶ飲みしていた。今では考えれないことだろうけど、当時は、これはこれで当たり前、俺達は、水道水をがぶ飲みをしていたのだった。ただ・・・水道水だということでぬるい。だから、飲んでも飲んでもはらがタプンタプンになっていくだけで、喉の渇きは癒されない。こうして、チームが解散した後、俺は、応援に来てくれていた妹たちを連れて、学校前にある文房具店でアイスクリームを買うことにした。お腹は水でタプンタプンなんだけど、喉はからから・・妹たちも同じ状態だ。ちなみに予算は100円しかない。しかも、俺の自腹だ・・・かと言ってここで、俺一人アイスクリームを食べると後で何を言われるかわかったものでない。
そこへ矢部っちと絹やんはホームランバーを買っていた。これは、言わずと知れた一品、ミルク味の四角いアイスで30円、しかも、当たり付きときている。
俺もそれにしようとしたんだけど、実は、デカントというクリームの周りにオレンジソーダ味のサイダーが付いたアイスや、王将と言って、チョコレート味、バナナ味、イチゴ味の3色のアイスクリームもあった。ちなみに、天野さんは、王将を食べている。アイスクリームが入っているひんやりとしている冷凍室を目を輝かせて二人の妹は見ていた。そして、アンリはホームランバーそして、あかねは、王将と頼んでいた。そして、俺は、ダブルコーラを頼んだのだった。
 それが不思議なことに、アンリがあたりを引いたんだけど、本人は同じものはもう一本入らないという。そうだろう、同じ味2本も食べるのはつらい、一方、あかねははずれた。そして、俺には幸運が、あたりだったのだ。こうして、アンリとあかねはダブルコーラを二つに割って食べて。おれは、ホームランバーをたべたのだった。
 そして、お腹が冷えた3人は、家に帰った途端、トイレの取り合いになったのは言うまでもなかった。


ちなみに次の試合相手は、青葉ロケッツだ。そう股間にロケットのマークが入っているあのチームだ。特に江藤の速球は昨年よりも早くなっていると聞いている。
今回も打順は、1番俺、2番外山、3番矢部、4番絹山、5番ガッキーという状態となっている。ガッキーについては、その体格の大きさと、悪球打ちが有名になり始めていた。特にこの間の最後の打席は、大根切りと言っても過言ではなく、それでホームランを打っているのだから、こうして、かれは、69nersのイワキじゃなく、ガッキーがこれがまた、調子に乗って、爪楊枝を口に咥えるようになったんだけど、試合中は危ないとコーチに取り上げられていた。たださらにかれの注目を集めることになったのはこのロケッツ戦だった。
 先発はもちろん矢部っち、対する青葉ロケッツの先発は江藤・・・この二人の力と力の勝負に試合はかかっていたんだけど、江藤の方がやや荒れ気味だったため、こちらとしては、打ちにくい。俺自身が出塁といっても、四球なんだけど、したとしてもバントで2塁、3番、4番は、簡単に打ち取られてしまった。
 それでも奇跡は起きるのが野球、先頭打者の俺に、めぐってきた幸運、そのボールをジャストミーートするとその鋭い打球は江藤君のロケットマークへ一直線

すごーん!!

ものすごい音と共に、彼は股間を抑え崩れて行く、ボールは転々と内野を転がっていた。そして、俺は

「セーフ」

となったのだった。股間直撃を受けたにもかかわらず江藤君は、マウンドでふんばった。2番をファーボールとして、ノーアウト、1,2塁のピンチ、しかし、ここで彼は奮闘をした。3番矢部っち。4番絹やんを連続三振に切って取ったのだった。とはいえ、かなり痛いのだろう。ボールは球威こそあったが結構くそボールも多かった。そして、迎えた新垣唯通称ガッキーの打席
第1球目、しまった!!という声が江藤君から出ていた。
そのボールはかなり高めもくそボールもいい所を、ガッキーは、一刀両断と言った感じで、バットに当てた。

カッキーーーン!!

まさかのランニングホームラン!!

この3点は本当に大きかった。最後にガッキーはホームに入って来て・・・ぼそりと

「またつまらぬものを切ってしまった・・・」

そんなバカなことを言っていた。この後、俺がリリーフに登板し、ロケッツ打線を抑え、2回戦も無事勝つことが出来たのだった。







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