書道室で聞いてしまったことを僕は嘘だと信じていたいがどうやらそうでもないらしい。

ノベルバユーザー235268

7.努力してるんだなって。

「それじゃあ、今日は僕が講義します。みんな分からないのは減価償却?」
「そうなんですよ。」「これなに言いたいかわかんない。」「だいたい計算が…。」

言いたい放題の1年生。なるほどそりゃ東雲たちも苦労するわ。

「計算がわからない?それとも勘定科目?ってそれは見ろって話か。」
「計算とあと、何ヶ月とか言うやつごちゃごちゃしてて…。あと、直接法と間接法の違いも分かんないです。」
「サンキュー、えーと?」
「あ、野々宮時雨です。」
「野々宮、ね。OK。さて、と今日3時間あるのか…。カツカツやるのもあれだしね。少しずつやるよ。」
「「「はい!」」」
「じゃあ、ワーク開いて〜。」

3級の講義、一年ぶりだな。今の2年生が1年生の頃よくやった。東雲は特にそうだが、考えることをしない。すぐに分からないなんて言われるからついつい、なんで考えないとか言ってた気がする。今思えば多少矛盾してたな、わからないなら聞け、聞いたところで考えとか言ってたもんな。俺はアホか?

「まず、直説法と間接法の違いなんだけどね。これは恋愛に置き換えましょう。」
「「「な、なにそれwww」」」
「これはね、この部活のみに代々伝わる減価償却のブラック方法。」

実はこれ、笹原は既に知ってたりする。前に教えてくれと言われた時に伝えて爆笑されたこの方法。1年生に教えるならこれを使うべきと言われたのだ。

「直接法って言うのは、簿記上のやり方を言うと備品とか建物の値段から直接減価償却費を引くから直接法って言います。はい、わかる人?」
「「「………?」」」
「だよな、だからこれを恋愛にします。」
「「「…?」」」
「直接法ってのは、ことある事に彼女が彼氏への不満を本人に言います。要するに言われる度に彼氏の精神はすり減るってこと。」
「「「あぁ〜!」」」
「っていや可哀想!」
「ナイスツッコミ、須恵島。でも覚えやすいだろ。次に間接法。これは、ことある事にノートとか携帯のメモとかに嫌味を書き込んでる。で、別れる時にバーン!ってたたき出す。」
「…心痛くない?それ。」
「でも女子にありがち。」

小谷、野々宮の会話にやられたら精神壊滅なのが間接法だって笹原が笑ってたのは黙っておくことにする。

「ただ!どちらにも欠点がある。」
「…寄りを戻せない?」
「ちげぇ!須恵島、お前こんな別れ方してより戻したいとか思うか?」
「思わない。」
「だろ?欠点ていうのが、ことある事に言うにしても、ノートやメモに書き込むにしても、できるのは年に1回だ。それが決算日。」
「嫌味の決算…。」

お、上手いなそれ。ナイス野々宮。

「ってことは3ヶ月残ったとか起きるだろ?」
「そりゃ毎回1年2年の切れ目になるかと言われりゃそうじゃないですもんね。」
「そーゆこと。最後の決算まで要するに数年のまとめた嫌味のノートとかが減価償却累計額。んで、残りは減価償却費ってことになる。直接法の場合は減価償却費のみ、理由は年1で言ってたからだな。」
「え、なにそれわかりやすい!ってかこれ聞かなかった神奈と菅原くん勿体ない!!」
「ほんとそれなっ!」

簿記部代々伝わる減価償却のブラック方法。もちろん他言無用、この部活以外でこれを使うのは基本的に禁止されている。まぁ、うん、当たり前の話なんだが。

「次、計算やるか…。の前にちょっと頭の中整理しときな。ちょっと2組見てくる。」
「「「はーい。」」」

喋り疲れたのもあり、2組を見てくるという名目で1組を抜ける。まぁ、高校生だし変なことはしないと信じてる…うん。2組についてドアを開けた瞬間、顔を上げるのは菅原、無視するのは笹原。

「ちっす、先輩。」
「菅原、それ学校外しか許してないから。」
「ちっす、ちっす、ちっす。」
「すーがーわーら?」
「さぁーせん。」

実は菅原とは顔なじみだったりする。実は従兄弟だ。事実を知っているのは笹原のみ。

「光星、さっき言ったのにもうこれ違う。学習して、そのポンコツな頭で。」
「相変わらず辛辣だな、お前。」
「人に教えてもらっといてそれ?もう教えないけど。」
「すいませんでしたっ!」
「いや、光星弱いわ。」
「ここ来たらわかるって、まじ怖いから。」

普段は俺も菅原ではなく光星と呼ぶ方が楽なので笹原しかいない時はついつい、光星と読んでしまう。

「そういや笹原。」
「なんすか?」
「減価償却あれで覚えれたの?」
「問題解く度に吹き出し案件ですけど?」
「だよな。先輩、あの説明は、うん。」

初めての時は俺もそうだったななんてちょっと思い出す。ってそんな場合じゃない。

「さて、1組行くか。」
「今何やってるんすか?」
「計算方法に入るところ。」
「あ、俺もう完璧〜。」
「そいじゃ、頑張れよ〜。」

2組を出て1組に戻ると、そこはかなりの騒音空間になっていた。いつもの事だし、なんならさっきもそうだった。お前ら…出来ないならやれよ…。

そうやって考えると、あの2人は特に笹原は努力してるんだなって思わされる。

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