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異世界を8世界ほど救ってくれって頼まれました。~本音で進む英雄譚~(仮)

八神 凪

1-22 泥臭い修行パート


 「つ、強い……!?」

 「三人がかりで歯が立たないなんて……」

 「ま、魔法を剣で弾くのは反則じゃありませんか?」

 俺、綾香、フィリアがそれぞれ感想を口にし、『サスケ』と名づけた子犬が陽達に尻尾を振りながら近づいてくる。戦いが終わったので恐らく遊んでくれるものだと思っているのだろう。

 「こら、引っ張るな。後で遊んでやるから向こうに居るんだ。リーザ、頼む」

 「はいはい……サスケこっちよ」

 「くぅ~ん……」

 少し寂しそうにとぼとぼと戻っていく姿は可哀想だが、俺も遊んでいる場合じゃないのだ。先程手合わせをしたが、シルトはとんでもなく強かった。伊達に元魔王退治の勇者というわけではない……レベルは62およそ俺の5倍といったところか。

 「もう少し頼めるか?」

 「ああ、問題ないよ。レベル差はあるけど、それ以前に戦いの基本を教えた方がいいかもしれない」

 「必殺技とかは?」

 木剣を肩に担ぎ、綾香が立ち上がりながらそんなことを言う。だが綾香の言葉にシルトは首を振った。

 「技は覚えれば強力だけど、それを使うために体を作らないと振り回されるからね。例えば……『崩竜斬』!」

 木剣で傍にあった木に技を放つと、ジグザグに亀裂が入りずるり、とバームクーヘンのように木がばらばらになった。バームクーヘンにたとえたのは俺が好きだからだ。それにしても、木剣で斬るとかなんて人だ……。

 「とまあ、しっかり基礎を学べばこれくらいのことはできるようになるね。さ、それじゃやるかい?」

 「ああ、頼む」

 すると、プリム姫が家から出てきてフィリアに話しかけていた。手には何やら本を持っていた。

 「フィリアさんとおっしゃいましたか? あなたは魔法を覚えましょうか。ぽんこつでも(ププ……)使い続ければ精度はあがりますからね」

 「い、今笑いませんんでしたか!? ……うう、早くぽんこつじゃなくなって欲しいですね……」

 「頑張れフィリア。お前がしっかり魔法を使えるようになれば、安定して戦える」

 俺がそういって励ますと、うな垂れた頭をあげてふんすと張り切りだした。

 「は、陽さんが私に声援を……! これはフラグが立ちましたね! さあ行きましょうプリム姫!」

 「え、ええ……ではこちらへ」

 家の中へ消えていく二人を見送り、俺と綾香は再び訓練に入る。ま、泥臭いけど死なないためには必要だよな。


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 一週間後……。


 「だあありゃあああ!!」

 「んん!」

 ガコン! 俺の木剣がシルトの腕を狙うと、それを嫌って俺の剣を打ち落としにかかる。だが、これはフェイク。俺の影からシルトの脇腹へ綾香の木剣が伸びる!

 「!? シッ!」

 「きゃあ!?」

 剣を切り返せないと見て、剣を握ったまま綾香の腹へ拳を突き出していた。惜しい! しかし綾香をやられて面白くないので俺は技を繰り出しシルトに追撃をかける。

 「『剣気一閃』!」

 高速で振りぬく一撃がシルトの胴を狙う!

 「くっ!? 『サデンカウンター』!」

 「マジか!?」

 とった! と思ったのも束の間、俺の剣に吸い込まれるようにシルトの剣がぐるりとこっちを向いて俺の剣を弾き飛ばした。こっちもかなりの速度で打ち込んだのに!?

 カラーン……


 「く……まいった……」

 「ふう、ふたりがかりとはいえこの短期間でよくここまで強くなったと思うよ? 僕に両手、ひいては技を使わせるとはね」

 「いや、今のはいけると思っていたからまだまだだ……」

 「いったぁ……装備無しだけど、派手にふっとんだわ《ヒール》」

 「ごめんね、手加減はしたけど痛かったでしょ」

 シルトが謝ると、綾香は首をぶんぶん振って言う。

 「大丈夫ですよ! おかげでかなり強くなれたし! 『シャープエッジ』! こんな技も出来るようになりましたから」

 綾香が必殺技を出すと、木が細切りとなり削り節のような状態になる。この一週間、とにかく体作りと打ち合いの特訓をした。魔物との戦闘(というかスライム)ばかりだったので、今後刺客が現れたときに役に立つ。というか、直近で国王に成り代わっているヤツ相手には通用するだろう。

 「レベルは……14から32……かかなり上がったな」

 「あたしは30ね。陽の方が戦闘回数が多いからかしらね」

 まあ死に物狂いで戦ったからな……死なないと分かっていても、シルトは容赦なく骨を折りに来るし、ボッコボコにしてくるから痛い思いをしたくなければ強くなるしかない……そして覚えた必殺技はその内披露しようと思う。魔法も二つほど覚え『ファイアボルト』という火属性魔法と風を操る『マニュピレイトウインド』というものを習得した。

 「これで城下町にいけるか?」

 「そうだね、レベルは低いけど身体能力は飛躍的に上がったから、僕と一緒なら刺客とやらも倒せるはずさ」

 「やったわね、これでこの世界は何とかなりそう。そういえばフィリアはどうなったかしら?」

 そういえば、最近フィリアの顔をあまり見ていなかったな。飯の時でも本を読みながらぶつぶつ言ってたからな……。

 「ちょっと休憩がてら声をかけてみるか」

 「そうね。何か新しい魔法を覚えたかしら?」

 ぞろぞろと中に入ると、少し回復したリーザとサスケが駆け寄ってきた。

 「休憩? フィリアなら姫と海岸に行ったわよ」

 「わんわん!」

 サスケが俺の袖を引っ張りながら海岸へ行こうと催促してくる。すると台所に行っていたシルトが食材を持って俺達の元へ戻ってきた。

 「折角だし、お昼は海岸でバーベキューと行こうか。フィリアさんを迎えに行くついでにね」

 「いやったぁ! お・に・く! お・に・く!」

 「ちょうど腹減ってたから助かるよ」

 そして俺達はバーベキューセットを持って海岸へと向かう。そこで俺達が見たものとは……!!


 

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