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異世界を8世界ほど救ってくれって頼まれました。~本音で進む英雄譚~(仮)

八神 凪

1-21 協力要請



 「うわーん! アヤカさ~ん!」

 「わ!? とっと……無事でよかったわフィリア……」

 「はい! (抜け駆けは無しじゃなかったでしたっけ……)」

 「(あ、あれは不可抗力よ……)」

 二人が熱い抱擁を交わし、生存を喜んでいた。いや、でもマジで良かったわ……俺は星ステッキをフィリアに手渡す。

 「あ、これ……」

 「何か大事にしていたみたいだから拾っておいたぜ。で、あんたが?」

 横に某ハンターゲームの初期装備のような格好をした男に話しかける。

 「ああ、僕がフィリアさんを見つけて保護したんだ、さっきも言ったけどこの島は周りに島が無い。さらに航路でも無いから後は骨になるのを待つだけという魔の島なんだここ」

 はは、と軽快に笑いながら頭を掻くシルト。ああ、主人公っぽいなと感じる爽やかさだ、俺は気になっていたことを聞いた。

 「この島、そんなところなのになんであんたは居るんだ? 見た感じ悲壮感も無いし……」

 「それは家へ戻ってから話そう。こっちに来てくれ」

 「? 家?」



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 子犬を抱っこしたフィリアに腕を取られ、逆サイドは綾香に腕を取られ腕を動かす事が出来ず歩き続けること5分。

 俺達も探した気がするんだけどなって場所にポツンと家が建っていた。シルトについていくと女性が洗濯物を干しているのが見えた。

 「おかえりなさいー! 見つかったのね!」

 「はい! 一週間近く見つからなかったからもうダメかと思いましたけど……」

 「お互いにね……あら、リーザも無事だったのね!」
 
 綾香が駆け寄り頭を撫でる、しかし、よく見ればふともものあたりに包帯が巻かれていた。

 「島に流れ着いた時にドジちゃって木が刺さったんよ。奥さんが見つけてくれたから大事にはならなかったけどすぐうごけそうにないかな」

 奥さん……? この人はまさか……と、とりあえず今は様子見しよう……。

 「ま、それくらいで助かったなら良かったよ。これで全員か」

 「わん!」

 元気に鳴く子犬を庭(?)に置いていき、家の中へと案内される。とりあえず確認のため俺たちはテーブルに腰掛ける。

 「で、さっきの質問だけど、僕とプリム……姫はここに逃げ隠れているんだよ」
 
 やはり姫だったか、大体の経緯は知っているけど念の為予備知識なしのていで聞いてみよう……俺が考えているとシルトは真実を話してくれていた。

 「僕は魔王を倒して、城に凱旋。その後は姫と城で暮らしていたんだけど、ある日突然プリムの父上である王が僕を殺そうとしたんだ。揶揄とかではなく本当にね。しかも巧妙に毒殺とかを目論むから、僕は城を出たんだ」

 「なるほどね、やっぱり黒幕がいるのは城ってことか……」

 綾香が腕を組んで言い放つと、シルトが「?」を頭に出しながらも話を続けてくれた。

 「……黒幕? それで、姫もついてきてくれたんだけど誘拐犯だと騒ぎ出す始末でね……仕方なくこの島へとやってきたって訳さ」

 「食料とかは自給自足なんですか?」

 「いいえ、実はこの島に転移の魔方陣を作っておりますの。いつでも町に戻れるようになっていますから、顔を隠して買い物をするくらいはできます!」

 何!? てことはそこから王城へいけるってことか!

 「……城へ行くのは難しかったりするか?」

 「うん? いや、向こうで信用できる人物の家に設置しているから行ってしまえばそれほど難しくないかな? どうしてそんな事を?」

 あ、フィリアは説明していないのか。それならと俺は説明を始める。

 「見ての通り……って言って分かるか不明だが、俺達はこの世界の人間じゃない。でだ……」

 俺はこの世界に来た理由、そしてシルトを探していた事、そして恐らく王に起きた変心は俺達が探している刺客である事を伝える。
 
 「できれば協力してそいつを倒す手伝いをして欲しいんだが……」

 「なるほどね。それは王に憑いているのかな?」

 「いや、先に倒した領主に成り代わっていたやつは、領主を監禁して変化していたから王もその類じゃないかと思うんだ。まあ、実は憑依タイプで王様を殺ちゃったって事になる可能性を考えると慎重に事を運んだほうがいいと思うけどな」

 そう、実は領主は元々倒させて、本命の刺客は俺たちを陥れるための罠という可能性は捨てきれないのだ。アホであればいいのだが……。

 「……了解、僕も協力しよう。ま、義理の父を助けるためだからうんと言うしかないんだけどね」

 「ありがとうございます! 早速向かう?」

 「いいえ、そういうわけには行きません」
 
 綾香が立ち上がって握りこぶしを作るが、それをプリムさんがニコっと嗜めていた。何だ?

 「お二人ともお風呂に入っておりませんでしょ? ……臭いますわ……」

 笑顔だが黒い感じがする姫に気圧された俺達はコクコクと頷くばかりであった……。


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 「ふいー、さっぱりした……」

 「わんわん!」
 
 外見は木でできた小屋みたいだが、浴槽は豪華仕様……オーダーメイドで作らせたものらしい。姫すげぇ。戸は開け放しているので子犬が入ってきて尻尾を振っていた。

 「あ、おかえり陽。気持ちよかったわね♪」

 「風呂は、だろ? 勘違いされる言い方はやめろ。フィリアは?」

 家の中へ入ろうとしたところで綾香と出くわす。涼んでいるみたいだな、俺も横に立って聞いてみる。

 「もう休んだわ。不安と緊張で疲れていたところに私達が見つかったから緊張が解けたみたいね」

 「そっか、なら今後の事は明日からだな。急ぐ必要があるか分からんけど、早いに越した事はないし」

 「レベルは?」

 「それも課題だな、流石にこのままで勝てるとは思えない……」

 ザッ……

 するとシルトが後ろから声をかけてきた。

 「僕が手伝おうか? これでも魔王を倒した事があるからレベルは高いよ?」

 マジか? でも、それって経験になるのか?

 「ローラ」

 <はい、お答えしますマイマスター。経験値としてカウントされるので一定の値までは有効です。このまま出番が無いかとハラハラしていました>

 うるさいよ。しかしそれならここで特訓といこう。

 「それじゃ、お願いしていいか? そういやちゃんとした戦士に教えてもらうのは初めてだな……」

 「そうなのかい? なら、鍛えがいがありそうだね。明日から早速やろうか?」

 俺達はコクリと頷き、久しぶりに布団で眠る事ができたのだった。
 

 

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