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異世界を8世界ほど救ってくれって頼まれました。~本音で進む英雄譚~(仮)

八神 凪

1-14 大事な事とそうでない事



 「前回までのあらすじ、リキッドさんが何か良い手があるって言ってた」


 「誰に話してるの?」


 <私ですよ、他の人が居る前で出るわけにはいきませんからね>


 ローラは電源を落とすとまったく情報が入ってこなくなるらしい。なので、昨日の顛末を教えていたという訳だ。
 というわけで俺達は宿を引き払い、詰所へとやってきた。


 「どんな手なんでしょうね? というかリキッドさん酷いですよね! 好きな人を変態領主のところへ行かせようとしてたなんて!」
 フィリアがぷんすかと怒っているが、ローラにたしなめられる。


 <あなたが怒っても仕方ありませんけど、理由はあるのではありませんか?>


 「そら一応、領主命令だからな。手を出されたらそれはそれで将来にもつながらないとも言えないしな……」
 給料は上がるし、もし領主と結婚でもすれば生活には困らなくなる可能性が高い。リキッドさんは色々悩んだ末の結果だったのだろう。


 「それでもやっぱり止めて欲しいわよねー」
 綾香が俺の後ろでそんな事を言うが、聞こえなかったフリをして中へ入る。


 「こんちゃーす」


 「いらっしゃい。ああ、君達か。今日からしばらくよろしく頼むよ」


 「どちらかと言えばこっちのセリフだよ、無理を言ってすまない」
 リキッドさんの作戦とはこうだ。


 ニアさんを領主の所で働かせると承諾し、リキッドさんとニアさんが引き継ぎと言う名目で領主の館へと赴く。
 その際、生活用品などが必要だからと、大きめの箱を用意。もう分かったと思うけどその箱には俺達が入っていてこっそりどこかへ置いて来てもらう。


 という内容だ。


 場所がよく分からないので、正直助かる。後は俺達が領主を倒せるかどうかという点と、リキッドさん達に被害が及ばないよう関係に気付かれないことが重要だ。


 「それが私達の入る箱ね、三人くらいは余裕だけど大きすぎない?」


 「ああ、女性は荷物が多いという事が一般的だからな。ごまかしは利く」


 「あ、あの……」


 「確かにそうだな、綾香も学校に色々持って行ってるもんなあ……」


 「何よ、陽だって携帯ゲーム持っていったりマンガ持っていったりするじゃない!」


 「必要だからな」


 「あ、あの!!」
 俺と綾香が駄弁っていると、フィリアが大声をあげて遮ってきた。どうしたんだ一体?


 「ゴミ箱にささっているリキッドさんはスルーでいいんですか……?」


 「「「……」」」


 俺達はフィリアから目を逸らす。


 「え!? わ、わたし何かいけないこと言いました!?」
 焦るフィリアの肩にそっと手をおいて俺はフィリアに言う。


 「いいや、お前は悪くない。悪いのは……フフ、同じネタを二回も仕込んできたリキッドさんだ」


 「ネタじゃねぇよ!? 助けやがれよああん!?」


 「あ、生きてた」
 自力で脱出したリキッドさんを見て残念そうに呟く綾香。


 「くそっ……何てふてえやろうどもだ……」
 キャラがブレかかっているリキッドさんをよそに、俺達は早速箱の中へと潜りこむ。


 「ちょ、おめえら!? 何で俺がゴミ箱に刺さってたか理由くらい聞いてくれよ!」
 スルーされるのがそんなに辛いのか、ドンドンと慌てて箱を叩いてくる。
 箱を少しだけ開け、目だけだした俺がリキッドさんへ告げる。


 「どうせ『女のくせに荷物がすくねぇな! はは!』とか『このパンツお前の!? プー!』とか言ったんでしょ?」


 「……それじゃあいくぜぇ!」


 そそくさと準備にかかるリキッドさん。……図星か。
 俺が箱を閉めると綾香が喋り出す。


 「陽が中学の修学旅行の時、私に言った事そのまんまじゃない」


 「……男ってのはそういう生き物なんだよ……」


 「難儀ですね……」


 しばらくすると箱が数人の騎士達によって持ち出され、荷台に乗せられる。
 リキッドさんとニアさんが御者台に乗り、いよいよ出発だ。


 「隊長、気を付けてくださいよ! 今の領主はヤベエ奴らしいですから」


 「おう、おめえらも俺の居ない間の町を頼むぞ!」


 任せといてください! と、残った騎士達が二人を見送ってくれた。
 この人達の仕事を減らすためにも、いっちょ頑張りますかね!




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 「ほう、神共が勇者をこの世界へ送り込んだと申されますか?」


 「その言い方は止めてくれ、俺も神だから……」


 「こ、これは失礼しました。あのわからずや共が勇者を送り込んできたと申されますか」
 今まさに陽たちが目指している領主が、水晶玉のようなものを使って誰かと話していた。


 「そうらしい。お前達が特異点を殺すのが先か、こっちの戦力がやられるのが先か……そういうゲームになっちまったぜ」


 「難儀ですな」


 「他の世界に干渉しているんだ、それは仕方ない。補充はもうできないから今ある戦力だけで頑張ってくれ。ただ王城は制圧したが、肝心の特異点は逃げちまったからなあ」


 「とりあえず私は勇者の足取りを掴みましょう。特異点のシルトは王城の者に探させていただけますかな?」


 「分かった、どうせこの世界は壊しちまうんだ、派手に暴れても構わないぜ」
 そう言うと水晶の向こう側の人物は通信を切った。


 「ふう、この世界も悪くないもんですよ、とか言うと怒り出すからな神様……とりあえず、もう少しこの世界を楽しむために勇者とやらを探すとしますか」


 領主の目的の人物が来るまで、後〇日!
 

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