異世界を8世界ほど救ってくれって頼まれました。~本音で進む英雄譚~(仮)
1-11 与えられた環境をもう一度考えてみるテスト
「うう、ひっく……ひっく……」
とぼとぼと町へ戻る俺達の足取りは重い。
あの後、魔力が回復するまでフィリアが頑張っていたが多勢に無勢。グリーンスライムの群れに襲われたのだった。
しばらくフィリアが悶絶し、最初に魔力が回復したのは俺だったのでフィリアに群がっていたスライムを全て排除。綾香は俺よりも大きい剣を生成したので回復が遅いとはローラの弁である。
「帰ったら風呂入ろうな……」
「一緒に?」
背中の綾香が耳元で不可思議な事を言う。
「入る訳ねぇだろ……フィリアもそろそろ泣き止んでくれ」
「は、はい……ご、ごめんなさい……体が臭くって……もう……」
宿に戻り、受付に渋い顔をされながら、俺達のやるせない一日が終わった。
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「このままだといつになったら領主の館に辿り着けるか分からん」
翌朝、朝食を食べながら俺はテーブルをどんと叩きながら二人に話しかける。
「コーヒーがこぼれるからそういうのは止めて?」
「あ、はい」
とりあえず朝食を食べ終えてから、再度話を続ける。
「このままだといつになったら領主の館に辿り着けるか分からん!」
ダン! と、テーブルを叩くとフィリアが紅茶を飲みながら答えてくれた。
「そうですねー、魔力を上げるためにはレベルを。でもレベルを上げるにはこの辺りは敵がそれほど強くないですし……」
「何か良い方法は無いかしら。ねえローラ、そう言うの詳しそうだし何か無い?」
コントローラーをテーブルに出して、声をかけるとピピピと音がして画面に明かりが点灯する。
<ふあーあ……なんですか? まだ眠いんですけど……レベルですか? そうですねえ……魔力だけは使い続ける事で成長しますよ? オススメはしませんが、魔力回復ポーションを持って剣を振り続ける、とかどうですか?>
「ほほう、レベルアップに影響しないのか?」
<いえ、いわゆるMPの部分が成長するだけで魔力を使った攻撃や回復は成長しません。ですが、急ぎであるならアルティメットモードを倒れないで使えるようになるのはいいと思います>
なら決まりだな。とりあえずスライムの素材をギルドへ売ってお金にしよう!
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「ではこれで……」
スライムの粘液が結局60個と、グリーンジャンボスライム……ジャンボグリーンスライムだったっけ? のコアを売ると……。
「銀貨5枚……高いのか安いのか……」
綾香がコルベットさんからお金を受け取り唸っていた。結構頑張ったと思うので、少し綾香の気持ちも分かる。
「ごめんなさいね。ジャンスラのコアは珍しいんだけど、手に入りにくいって訳でも無いし、粘液はそれなりの需要はあるけど、自分で採りに行けるから高くないのよ」
あ、やっぱジャンスラって略すんだ。それはともかく、まあレベル1のスライムの素材なんてそんなもんだろうな。
ありがとうございましたーとコルベットさんの声を聞きながらギルドを後にすると、綾香がそういえばと俺に聞いて来た。
「陽、お金ってどれくらいもらったの?」
「あれ? 言ってなかったっけ? 何か青い貨幣10枚と金貨10枚だぞ。ああ、宿代で金貨を崩したから金貨9枚と銀貨4枚だな。で、今の5枚を足す感じだ。そういやフィリア、日本円にしていくらくらいなんだ?」
「そ、そんなに持ってるんですか!? えーっと青いのは”蒼貨”ですね。一枚で日本円で10万円くらいになりますよ? 金貨は1万円、銀貨は1000円だと思っていただければ……」
と、フィリアの話で俺達は財布に釘付けになる。
「マジか!? 100万くらい持ってるってこと!? 道具とか買い放題じゃん」
「もうこの世界で暮らしましょうよ! 大丈夫、元手が100万もあれば地味に働いても生きて……」
<貧乳はアホですか。この世界は滅ぼされかかっているんですよ? 暮らせるわけないじゃありませんか>
「う……確かに……」
ローラにアホと言われてちょっと傷ついたようだ。
「ま、まあまあ。それだけあればポーションも数が手に入ると思いますし、道具屋へいきましょう!」
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魔力回復ポーションは一つ、銀貨一枚とそれなりのお値段だった。
少し多めに用意してカバンへ詰め込み、再び草原へ!
<敵性:ジャンスラが接近中です。交戦準備をお願いします>
レベルの低いフィリアがスライムをぷちぷち倒していると、例によって仲間を殺られた怒りのジャンスラがのそりと姿を現す。コルベットさんに話を聞いた所、他の冒険者がここに居ないのは単純にうま味が無いかららしい。
「おし、上、下、L1、R2、左、右、L2、R1……」
「頑張ってね、陽!」
「おう!」
二人同時に使うといざというとき困るので、順番にやることにした。
さて、早い所領主の館へ向かえるよう頑張りますかね!!
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