ろりこんくえすと!

ノω・、) ウゥ・・・

閑話 予兆



 閑話 予兆


「お、重い、特にアシュレイさんが着けている鎧が糞重い.......。ひ、ひぃぃ.......。じぬぅ.......」
「ふれっ、ふれっミナト! ふれっ、ふれっミナト! あと少し! あと少しで王都の外れだよ!」
「うおおおおぉぉ.......」

 俺は背中にアシュレイさんとシャルルさんを背負って歩いていた。アシュレイさんはムエルを消し炭にした後気絶。シャルルさんはなんか分からんが気絶。しょうがないのでこうして俺が背負い、歩いている。
 当然だが、シャルルさんは全裸だったので俺の着ていたジャージとズボンを履かせている。そのせいで俺はTシャツにパンツ一丁だ。

 こんな姿誰かに見られたらやばい。つーか絵面がやばい。絶対に勘違いされる。

 ここは異世界だから警察なんていなそうだが、甲冑姿の人間はチラホラと見掛けたので、異世界お馴染みの騎士とか衛兵に捕まりそうだ。

 それでも未だに俺がお縄に掛けられていないのはそもそも他の人と出会わなかったからだ。何故か分からないが、今のこの街はゴーストタウンみたいに誰もいない。妙な静けさだけが支配していた。

 会わないに越したことはないが、見つかったりでもしたら大変だ。今の俺の姿は不審者同然、その上うら若い女性二人と幼女一人を連れ歩いているんだから。異世界まで来て牢屋生活なんてしたくない。

「はっくしょん! うぅ、冷えてきたな。それにしても下半身が寒いぜ。まあでも、冬じゃなくて本当に良かった。雪の中でパンTだけとか狂気の沙汰だからな」

 俺は大きくくしゃみをした。足元を歩いている天然の毛皮を纏った二匹の毛玉が羨ましい。
 夕方に近くなったからだろうか。急に気温が冷えてきた。空き巣みたいだが、さっさと適当な屋内にでも駆け込んで服と寝床を調達しないとな。

 そう俺が考えていた矢先だった。頭の上に白い粉が落ちてきた。鼻の上に落ちたそれはほんのりと冷たかった。

「雪ぃ!? なんなんだよこの世界は! とことん俺を虐めるのが好きだな!」

 噂をすればなんとやら。フラグを立てると速攻で回収されるこの異世界。ここまで酷いラノベは俺は今まで一度も読んだことがない。全く、俺はどんな星の下で産まれたのだろうか。

「ノア、後ろから俺を押してくれ。少しは歩みが早くなるだろうからさ。早く屋内に入らないと風邪引いちまうぜ。.......ノア?」

 俺の隣にいたノアに呼び掛けたがノアは返事を返してくれなかった。

 おかしいな。さっきまで元気にはしゃいでいたのに、どうしたんだ?

 ノアは突然立ち止まって、遥か遠くをじっと見つめていた。

「おい棒立ちして何やってんだよ?」
「ミナト、やばい、やばいよ」
「あ? 何がやばいんだよ。雪ん中パンツ一丁で街中彷徨いている俺が一番やばいっーの!」

 ノアは首を横に振って否定を示す。

「違う! ミナト、早く逃げるよ! 化け物ってレベルじゃない、さっきこの街の中心にとんでもない魔力の持ち主が現れたの!」
「何か変な電波でも受信したのかお前は」
「遠くからでもビシビシと伝わる凄まじい魔力量.......こんなの、こんなのありえないよ!」

 俺はやれやれと肩を竦めた。

「で、そいつはどれくらい強いんだよ? 俺でも分かりやすいように教えてくれ」

 ノアが震えた手で俺の腕を握り締めて言った。

「先代の魔王と同等、あるいはそれ以上だよ.......」


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