ろりこんくえすと!

ノω・、) ウゥ・・・

2-69 屋上で


 2-69 屋上で


「この侵入者め! 堂々と王城に入ってくるなんて大した自信だな! 大人しくしべばっ!?」
「なんだこのクソ餓鬼!? なんて強さぶべっ!?」

 喧騒が王城内で起こっている。

 クラウディオを倒した後、僕は第一騎士団本部まで辿り着いていた。探しても第一騎士団本部にはユリウスはいなかった。僕はユリウスの場所を吐かせるために下っ端の騎士達と戦いを繰り広げていた。

「図に乗るな青二才が!」

 背後から突進から繰り出される槍の刺突が僕を襲う。手首を利かして穂先の上を掴んで叩き折ると、胸倉を掴むんで騎士の一人を引き寄せた。

「ユリウスの居場所は何処だ」
「俺が知るかよ!」
「ちっ、こいつもか」 

 胸倉を手放し、素早く裏拳を顔に打って昏倒させる。かなりの人数に聞き回ったが誰もユリウスの場所は知らない。リフィアの身が心配だ。僕の不安と焦りは募るばかりだった。

 その時、王都全体に響き渡る大音量の放送が流れた。聞き覚えのある声だった。少し老いて渋みがあるこの声は、ロイドの声だ。魔物の襲撃、そして公判の内容を聞いた僕は、ユリウスがロイドのすぐ側にいることを確信した。倒れている騎士を一人叩き起して尋ねる。

「この放送はどこから流れている!」
「お、王城の屋上だ」

 脇腹を強打する。騎士は呻いたあと、その場で動かなくなった。

 僕は第一騎士団本部を飛び出して階段を掛け登った。

 暗い階段楼から明るい屋上へ。階段を登れば登る程、眩しい太陽の光が差し、空の下へとこの階段が続いていることを示していた。

 最後の一段を駆け足で登りきり僕は辺りを見回した。屋上は広かった。そして、広かったと同時に屋上は凄惨さを極めていた。

 床はひび割れ、ガラスは砕けて破片が散らばり、辺りの物が散乱としている。

 屋上に居たのは三人。

 ロイドと、リフィア。そしてユリウスだった。

 「リフィアッ!」

 氷の棘が幾つも刺さり、血の海に沈むロイドのことも気がかりだが、何よりユリウスに片手で首を締められているリフィアの方が大事だった。
 僕はユリウスに向かって走る。リフィアの名前を呼んだことによりユリウスが僕のことに気付き、驚いた顔で首を僕の方へと向けた。

「何故こんな所に君が? わざわざご苦労なことだな」
「お前、リフィアに何をした!」
「リフィア? ああ、この餓鬼のことか。今しがた特異点の力を抜き取った所だ」

 ユリウスのもう片方の手には何か青白く丸い物体が宙に浮いていた。見た目はエマが魔力を特定する時に使った魔力の塊と似ているが、それが纏う雰囲気は別物だった。

「この餓鬼はもう用済みだ。欲しければ君に返してあげよう」

 ユリウスは乱暴にリフィアを僕に投げて寄越した。投げられたリフィアは、寸での所で屋上の床に落下する前に僕の腕の中に落ちた。

「おいリフィア! 大丈夫なの.......」

 リフィアの頬を触れると冷たくなっていた。脈を測ると止まっていた。息をしていない。目を瞑ったまま眠るったように何の反応もしてくれなかった。

「はははははっ! 見ろ、特異点の力の源、魂だ。なんと美しい。私が見てきたどんな宝石よりも美しいではないか! 次はどんな実験をしようかと考えると身体が震えてくるな!」

 ユリウスが哄笑をあげる。

 魂。僕はユリウスのその言葉を聞いて目を見張る。ユリウスの片手に浮かんでいるあの青白い物体が、リフィアの魂だというのか。

「その餓鬼は残り数時間もしないうちに死ぬだろう。魂が抜かれたのだから当然と言えば当然だがな。何、心配は要らない。ノコノコやってきた君は次の私の実験対象だ。最後にはその餓鬼と同じ場所に送ってやるから安心しろ」

 僕はリフィアをそっと地面に寝かせ、紅花匕首を腰のベルトから引き抜いた。

「.......せよ」

 カツン、カツン、とやけに響く足音を立てながらユリウスの元へと僕は歩いていく。

 生まれて初めてだ。

 『誰かを本気で殺したい』って感情が心の中に芽生えたのは。

 胸の底から湧き上がって、身を焦がすような怒りで全身が小刻みに震える。

「.......? 今なんて言った?」
「リフィアの魂を、返せって、言ってんだよ!」

 片足で床を踏み蹴り、一気にユリウスとの距離を詰める。握った紅花匕首を横凪に払い、僕の全体重を掛けて振り切った。

「人間如きが私に手を上げるとは。身の程を弁えろ」

 紅花匕首はユリウスに指と指の間に挟まれて、僕の斬撃を防がれていた。
 ユリウスは身体から冷気を吹き出し、空中で固定した僕へ向かって氷の壁を作りぶつけて吹き飛ばした。

 冷たい質量の塊が僕を押し返す。氷塊の衝撃で吹き飛ばされた僕だが、すぐさま受身をとって屋上の床を滑りながら停止した。
 
 「もしも……もしも、僕がお前と最初に戦った時に本気を出していたら、リフィアが酷い目に会わなかったかもしれない。あの時お前を倒せていたらリフィアはこんな目に会わなかったかもしれない」

 ゆっくりと立ち上がって僕はユリウスを睨む。

 僕は甘かった。認識を改めないといけなかったんだ。目の前にいるこいつはネメッサの街でヒュージスライムキングを育てていたやつだ。エマから何百年以上も昔から生きていて、人間を辞めているのは知っている。こんな奴を放っておくことは出来ない。
 
 だから、

「待ってろリフィア。今からあいつを一分一秒でも早くぶっ飛ばしてくる」

 ここで、僕が倒す。

 人形のように動かなくなったリフィアを見て覚悟を決めた。口からただ一言呟けばいいだけだが、脳裏にエマの忠告が過ぎる。

 ―――次に変態が『覚醒』のスキルを使った時、変態は死ぬことになるわ。

 死ぬことになる。でもここでユリウスを倒すには使うしかない。いや、使わなければユリウスは倒せない。

 僕は意を決し、軽く息を吸い込んで呟いた。

 「『覚醒』発動」



 -条件を達成しました-
 -Lvが一時的に大幅に上昇します-
 -Lvがカウンターストップしました-
 -スキル『未踏の先駆者』が発動しました-
 -成長限界を超えてLvが上昇しました-
 -スキル『盗賊術』のLvが上がりました-
 -スキル『暗殺術』のLvが上がりました-
 -スキル『短剣術』のLvが上がりました-
 -スキル『体術』のLvが上がりました-
 -スキル『風遁術』のLvが上がりました-



 瞬間、僕を中心に翡翠色の暴風が吹き荒れた。

 あの時と同じだ。絶え間なく力が溢れてくる。身体が軽くなり、全能感が僕を支配していく。

「『覚醒』だと!? 君のような齢十代後半の子どもが、『覚醒』のスキルを獲得していただと!?」

 ユリウスが頭に手を当てて狂ったように笑う。

「ははっ、ははははははは! 面白い、『特異点』は大層君に惚れ込んでいたようだな、少年!」

 紅花匕首を構えて僕は足を一歩踏み出した。

「ああ、だからリフィアを傷付けたお前だけは、僕が倒す」

 -ステータスを表示します-
 
 名前    ウェルト
 種族     普人族
 職業     盗賊
 サブクラス    暗殺者
 ※状態異常 覚醒
 Lv27→Lv164
 HP243/243→HP786/786
 MP167/167→MP462/462
 筋力64→筋力326
 魔力91→魔力412
 耐久98→耐久452
 精神134→精神711
 俊敏376 →俊敏1783
 
 所持スキル
 
 盗賊術Lv9→10
『解錠』『窃盗』『暗視』『罠感知』『罠解除』『気配感知』『地図作成』『穴掘り』『虚偽の理』new!

 暗殺術Lv4→5
『暗器』『集中』『居合抜き』『気配遮断』『心形刃紋』new!

 体術 Lv5→6
『箭疾歩』 『背負い投げ』『旋風脚』『裂孔気弾』『技術衝打』
『気掌拳』new!

 短剣術Lv4→6
『閃光斬』『快刀乱麻』『ブレードブロック』『霞駆け』
『レゾナンスエッジ』new!
『インフィニティスラスト』new!

 風遁術Lv3
『歪断風』『空激破』
『黒竜巻』→『殺風激』Lvup!
 
 ロリコンLv-
 未踏の先駆者Lv-
 覚醒Lv-
 
 所持称号
 覚醒者
 
 
 王都全体が一望できる屋上で、僕とユリウスの戦いが始まった。



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