ろりこんくえすと!

ノω・、) ウゥ・・・

2-30 それもまた一つの真理



 2-30 それもまた一つの真理


「あらやだ私ったら。部屋を間違えたみたいです。ごめんなさいね。それじゃあお邪魔しま」

 魔法の爆発により崩壊した牢屋の中、壁を破壊した張本人が顔を赤くして謝りながら、そそくさと開けた穴から出ていこうとする。

「いや待って!? 魔法使ってかっこよく入ってきたのに部屋間違えて恥ずかしのは分かるけどさ、せめてこの拘束解いてから出ていってくれないかな!?」

 勿論俺は引き止めた。このまま出ていかれたら凄く困る。縄で縛られて芋虫になっている態勢では、逃げようにも上手く逃げられないからだ。それに.......

「なんか向こうから凄い轟音が聞こえたぞ!」
「爆発がまーた起きたのか.......今月何度めだよ」
「失態を犯したのがバレたら給料が天引きされるぞ! 急げー!」

 こんな騒ぎを起こせばそりゃあ駆け付けて来ますよね。

 黒いローブを羽織った女性は、遠くから聞こえてくる声に耳を傾けながら、俺にそっぽを向いて呟いた。

「あ、あの、私急いでるからまた後でいいですか.......?」
「待って! 見捨てないで! 逃げようとしないで! あとそれ絶対二度と帰ってこないパターンだから!」

 ど、どうするサカイミナト。この危機をどうやって乗り切ればいい? 

 考えろ、考えるんだ。頭のいいスマートでスタイリッシュな作戦をさっき考えていたではないか。圧倒的な閃きを捻りだせ俺の灰色の脳細胞よ。何か.......何か.......。

「そうだ! 助けてくれたらこの鶏肉あげるから!」
「キョエエエエwww!?」

 俺はすぐ側でトコトコと歩いている水上水鶏に顎を向けた。どうだ、ケバブに焼き鳥にソテーに唐揚げ。レパートリー豊富で美味しい鶏肉はどんな料理にも使えるぞ。

「い、要らないです」

 ば、莫迦な。鶏肉は要らないだと。鶏肉はヘルシーで美味しいしコラゲーンもたっぷり含んでいるんだぞ。女性に人気の食材の筈だ。それが要らないだと? 

「じゃあ鶏肉に加えてサンマとカジキも付けるから!」

 サンマだ。俺のMPが途絶えるまで生み出せるピチピチ新鮮なサンマも付けようではないか。何度か触れていたから分かるが、俺が召喚するサンマは絶対に美味しい。

 朝の魚市場で買えるサンマよりワンランク上のサンマだ。それも付けよう。

 しかもだ、俺はサンマに加えてカジキも付ける。カジキは凄いぞ。タタキに竜田揚げになんでもありだ。栄養豊富、美味しさ満点。まさに魚の王たるカジキをサンマと一緒に付けようではないか。

「そんな変な物付けられても要りませんよ!」

 そうだった。異世界人はサンマとカジキの素晴らしさを知らなかった。そもそもサンマとカジキを魚だとすら認識していない反応が帰ってきた。

 ええい、こうなったら仕方ない。最後の手段だ!

「ではこうしよう! 猫とそこにいる幼女も付ける!」
「ええっ!?」
「にゃーん?」
「さ、最低のクズですね貴方.......」
 
 ダメでした。

 俺は『最低のクズ』という誉ある称号を手に入れ、交渉失敗した。

 交渉が失敗し、女性が穴から逃げていこうとした時、

「見つけたぞ!」
「ここが爆音の発生源か! って何故あの人がここんな場所にいるんだ.......!?」  

 俺が引き止めていたせいで、騒ぎに駆けつけたフルアーマー野郎がやってきてしまった。実にその数五名。しかも全員のLvが10台後半のかなり高Lvばっかりだ。いくらなんでもこの数はきついだろう。

 だが、フルアーマー野郎達がすぐさま襲い掛かることは無かった。

「まずい、第三騎士団副団長のドレムさんだ! これはまずいぞ.......他言無用ときつく口止めされていのに、ユリウス副団長が秘密裏に作った実験所がバレてしまった!」

 第三騎士団副団長.......!? それはつまり、赤髪と一緒にいたファリスさんと同等な地位と権限を持ってるってことか。

 そりゃあ確かに迂闊に手は出せないだろう。ファリスさんを鑑定した時のLvは42。人外クラスの化け物だ。Lv10台後半の凡俗共では勝てる道理がない筈だからだ。

「みんな落ち着け、大丈夫だ。ドレム副団長は実力も胸もエルクセム騎士団の中では最低クラス。俺達は実験所に飛ばされた下っ端だが、腐っても精鋭揃いの第一騎士団だ! やれる、やれるぞ! 実力も胸もない女なんかに負ける道理なんてない!」

 俺の浅はかな考えはすぐさま消え去った。下卑な笑い浮かべるフルアーマー野郎の言う通り、鑑定するとドレムさんのLvは21。

 なぁにこれぇ。ゴミじゃん。

「喧しいですね! 胸は余計ですよ!」

「貧乳ー! 貧乳ー!」
「ぺったん副団長!」
「ぺったんぺったん胸ぺったん!」
「実力と胸は比例するー! ファリスさんがいい例だー!」

 ドレムさんが自身のぺったんボディを指摘されて怒ると、それが男の性なのかは分からないが、フルアーマー野郎達全員が貧乳であることを馬鹿にしてきた。

 貧乳貧乳と連呼されているドレムさんは、目尻に涙を浮かべて歯を食いしばっている。

 なんて酷い奴らだ。お前達には良心の呵責ってもんがないのかよ。

 俺はドレムさんを慰める為と、巨乳至上主義の愚かな男達を成敗する為に口を開いた。

「おい、やめてやれよ! もしかたらドレムさんは着痩せするタイプかもしれないだろ! それにな、この世の男性全員が全員巨乳好きだと思うなよ! 中には貧乳に興奮する男性だっているんだぞ! 貧乳はステータスだ! 希少価値だ! ちゃんと需要があるんだよ!」
「貴方も喧しいですね! 全然擁護になってないですよ!」

 擁護したのに本人様から怒られた。

「はっ、貧乳は希少価値だと? そんなの負け犬の遠吠えなんだよ! 胸がない女には何の価値もない。最早女としても価値もない! おっぱいこそ真理! おっぱいこそ至高! おっぱいがない女は、すべからず淘汰される運命だ!」
「違う! 確かにおっぱいは多くの男性の想だ! ふくよかな膨らみ、そして素晴らしき弾力! 一度触れば病みつきになる触り心地! おっぱいには男性を虜にする確固とした魅力がある! だがな、貧乳の慎ましい膨らみ! 滑らかな流線型! それは美しき黄金比! それにな、何より最高なのが桜色を連想させる鮮やかな乳首なんだ!」
「なっ、ぐぅっ!?」

 俺の反撃に勢いを躓かされたフルアーマーが身をだじろぐ。

「確かに巨乳は素晴らしい!母性の象徴とも言えるフォルム、包容力溢れる御神体! だがな、貧乳女性には幼さやあどけない魅力があるんだよ! まるで産まれたばかりの子猫のような、儚くていとも容易く壊れてしまいそうな魅力が最高なんだ!」
「た、確かに……」
「分かる、俺分かるよ……」 
「なんかこう、守ってやりたくなるよな……」
「幼女可愛いよな」

 場は巨乳から一転、残りのフルアーマー野郎達は貧乳を肯定し初め、一気に貧乳に向かい風が吹き荒れている。

 さあ.......ドドメと行こうじゃないかッ!

「それにな、胸の小さい女の子がバストを隠しながら「恥ずかしい.......」なんて言ったりしてくれたら萌えるだろ! めちゃくちゃ興奮するだろ!」
「ぐ、がばぁ!?」

 俺の言ったシーンを想像したのか、フルアーマーは脳内妄想で勝手に興奮し、そのまま膝から崩れ落ちた。

 やったぜ。巨乳至上主義者、ここに崩れたり。

 俺は縛られた態勢のまま、不敵に笑ってピョコッと立ち上がり、敗北者に言い渡した。

「確かに巨乳は数多くの男性の理想だろう。夢と希望に満ち溢れた真理だ。だがな、貧乳だってまたひとつの真理なんだよ」
 「勝ち誇った顔で何言ってんですか貴方は!? 己の歪んだ性癖とねじ曲がった持論を堂々と口にするなんて頭がぶっ飛んでますね!?」

 このあと、俺はドレムさんに頭をひっぱたかれた。
 


「ろりこんくえすと!」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く