ろりこんくえすと!

ノω・、) ウゥ・・・

2-19 逆戻り



 2-19 逆戻り


「カクセイシャ.......?」

 カクセイシャ。ノアは確かにそう言った。漢字にすると『覚醒者』か? 中々かっこいい名前だ。

「そうよ! 簡単に言ってしまえばめちゃくちゃ強い人間よ!」

 ノアがご満悦な顔をして俺に紙を押し付ける。

 この世界の文字。というか異世界言語は読めないが、雰囲気からして、なんとなくノアの押し付けてきた紙の内容は分かる。

 手配書だこれ。下には3000000Gと書かれてある。あれだ。よくワ○ピースで見るやつだ。

「で、この人が覚醒者なのか? つーか、手配書みたいのに書かれているんだけど、何か悪いことしたのか?」

 紙に書かれた男の人相は見るからに悪い。頬には十字傷みたいなのが入っているし、背中とかに刺青が掘ってありそうだ。

 第一印象からして、もしも俺が例えるならば、裏社会で様々な悪どい事を嬉々してやってるような感じだ。

「ふふん、よく聞きなさいミナト!」

 ビシッ、と俺に指をさし、ノアは不敵な笑みを浮かべて言った。

「この人はね、エキューデ・オルガスタと言う屍霊魔術師なの! 幾つのもの国家都市を滅ぼし、アンデットの大軍で埋め尽くした大量虐殺者よ!」
「は?」

 俺は一瞬自分自身の耳を疑った。しかし、自信満々に語ったノアの顔を見る分、今聞いたことは聞き間違いではないようだ。

「凄いでしょ! きっと頼りになる仲間になってくれるに違いないわ!」

 嘘だろ.......。ノアの顔を見る分、本気で言っていやがる。頭おかしい。

「脳みそが核融合反応でも起こしてんのかお前。そんな超が付く危険人物仲間にする訳ねーだろ」

 どう転べばそんなやばい人間を仲間するという、イカれた発想を思い付くのだろうか。

 犯罪者を仲間にしようとしている時点で、狂っているとしか言いようがない。

 盗賊とかならまだ分かる。だが、大量虐殺者は流石にアウトだ。

「なんでよー!?」

 ノアは俺の反対意見を全く予想していな感じだ。すっとんきょうな叫びをあげて、目を見開いて驚いた。

「ちょっとちょっと! 何言ってんのよミナト! あたしが折角ミナトの仲間にする為に、エキューデの封印を解いてあげたのにぃ!」
「おいまて、今なんつった?」

 ノアがサラッと聞き捨てならない言葉を吐き出した。封印を解いてあげたって、こいつ、とんでもないことをやらかした気がする。

「ん? さっき言った通りエキューデは屍霊魔術師なのよ。簡単に言うとね、自身をゾンビ化して不老不死の存在にしているの。つまり、絶対に死ねない身体だから、エキューデに手を焼いた人間達に長年封印されていたのよ」

 自分の身体をゾンビ化だと? 俺には理解が全くできない。エキューデって奴は狂っていやがる。

「.......で、その封印をお前が解いたってことか?」
「そうだよ!」

 俺はノアの首を両手で締め上げ、ブンブンとその身体を振り回した。

「そうだよ! じゃねえよ! 殺人犯を鎖に繋がないまま野に放ってどうすんだよ!」

 なんてことをしやがる。法もモラルもない異世界で、そんな人間をわざわざ復活させるなんて正気の沙汰じゃない。

「いでででででで! 頭が回る~!」
「言え! そのエキューデって奴は今どうしているんだ!」
「多分あそこ」

 ノアが指をさしたのは俺が今歩いている明後日の方向。つまりオークキングの街だ。

「まじかよお前.......」

 正直オークキングが死のうがどうなろうと、俺にはどうでもいい。が、あそこには俺を助けてくれた赤髪とファリスさんがいる。

 それに加えて、無関係な人間まで無差別に殺される危機に晒されているとい事は、平和な国で育った俺にとって見逃せない。しかも、俺の目の前に元凶がいるので、ますます見逃せなかった。

「まあでも、エキューデが暴れだしたら大規模なアンデットの召喚が起こるから、まだ間にあ」

 ノアが危機感皆無で呑気話す途中、花火が起きたかのような炸裂音が遥か後方の方角から聞こえてきた。その方角とは、さっきノアが指をさしたオークキングの国だった。

 boooooooooooo!!!

 怪獣の遠吠えなようなものが聞こえてきた。炸裂音の次は轟音が聞こえて、遠目からでも見える街並みが突如崩れた。

 現れたのは何か白いやつ。頭がまんまるで、真ん中に突起があり、その上に穴が二つ、下には縦と横の線が入り乱れている。

 それは小学校の頃、よく理科室で見た人体の骨格模型そのものだった。

 ただ、ひとつだけ違うとすれば大きさがまるで違う。異質だった。あれほど巨大な頭骨なんて見たことがない。

「こいつ、フラグ建てて速攻でやらかしやがった!」

 ここが異世界ならば、あれはスケルトンとしか言いようがないだろう。しかもめちゃくちゃ大きいやつ。スケルトンもアンデットという分類に含まれるならば、確実にエキューデが街中で暴れていやがる。

 boooooooooooo!!!

 巨大なスケルトンが手を一振した。それだけで高層ビル程の大きさがあった建築物が破壊され、瓦礫の山が完成した。

「間に合わなかったみたいだね」
「他人事のように言ってんじゃねえよこの元凶が! どうすんだよあれ!? ウ○トラマンでも用意しないと収拾付かねえだろ!」

 大量虐殺者の名前は伊達じゃなかった。異世界の人類の戦闘力は未知数だが、あの巨大なスケルトンはどう足掻いても、生身の人間如きが倒せる相手ではないと思う。核ミサイルでも用意しなければ無理だろ。

「くそっ! とっとっとエキューデの野郎を止めに行くぞ! お前も付いてこい!」

 俺は悪態を付いてノアの首根っこを引っ掴んだ。

 俺達はあの巨大なスケルトンを召喚した人間を知っている。スケルトン自体は倒せなくとも、エキューデさえどうにかすれば食い止められる可能性が高い。召喚したらそれっきひで、操れなくてどうしようもない、なんて展開は無い筈だ。

「あたしも!?」

 ノアがきょとんした顔で俺を見つめた。

 まじかよ。こいつは自分がやらかした事を理解してないない。

「何不思議そうな顔してんだよ! 当たり前だろうが!」

 俺はノアの首根っこを掴んだまま、来た道を反対に爆走していった。



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