ろりこんくえすと!

ノω・、) ウゥ・・・

2-13 追う者、追われる者




  2-13 追う者、追われる者


「暗殺者が逃げたぞー! 追えー!」

 後ろからオークキングの怒号が聞こえてくる。

 俺は走っている。扉を蹴飛ばしてオークキングの間から抜け出し、金色のカーペットが敷かれた床を走っている。

 すぐ後ろからはガチャガチャと金属が擦れる音と足音が聞こえ、男の怒声が俺の背中を押している。

「殺せえぇ!」
「逃がすなあぁ!」
「追ええええ!」
「んああああああああ!」

 俺はチラッと後ろを振り返る。追っ手は四人だ。振り返ったと同時に『鑑定』のスキルを発動。

 なるほど、順にそれぞれの追っ手のLvが10、11、12、11だ。追っ手全員はLv1の俺よりLvが高いからか、上位存在と認識されて名前と種族と職業とLvしか読み取れない。

 Lv差がこれだけあるのに俺が追い付かれないのは、俺がバスケ部で鍛えていたからだろうか。もっと言えば追っ手全員が重たそうなフルアーマーを着ているからだろう。

 俺は持ち前のコーナリングで金の燭台の上に蝋燭が飾られた通路を曲がりながら、少し開けた広間に飛びだした。

「いたぞ!」
「こやつかッ!」

 広間にはフルアーマー二人。俺はすかさず『鑑定』を発動。

 Lvはそれぞれ13と12だ。畜生、どいつもこいつも俺よりLvが高いじゃないか。こんな世界嫌いだ。

「カジキランス!」

 魔法陣が展開され、俺の手にずっしりと重い質感が感じられた。召喚されたのは先刻、元の世界で俺を殺したカジキ族の仲間。

 俺は『生魚を容易く掴める手ゴットハンド』でカジキをフルスイングし、目の前にいるフルアーマー野郎二人にぶつける。

「ぐあぁぁ!」
「うぎゃあ!」

 カジキの巨躯が二人を薙ぎ倒し、色彩豊かなガラスを割って窓の外から突き落とした。カジキも一緒だ。

 お前ら二人、そのカジキは後でちゃんと美味しく食べろよ。最近はうるさいからな。それに食べ物は粗末にするな。ミナト君との約束だぜ。

 窓の外を見下ろすと結構高い。下ではカジキに押し潰されて二人が伸びている。

 ちなみにカジキはピチピチと跳ねて元気だ。この高さを元の世界で例えると、五階建てのビルと同じ高さだろうか。そこから二人とカジキは落っこちた。ご愁傷様です。俺は心の中で合掌した。

「まてぇぇぇ! 逃がすなぁぁ!」

 足止めを食らったことにより追っ手が俺に追い付いてきた。三人を差し置いて一番Lvが高かったやつだ。追っ手は怒声をあげながら腰から物騒な物を力任せに引き抜くと、ブンブンと振り回して俺に向かって疾走してくる。

 素手の人間に刃物向けるとかちょっと卑怯なんじゃないかな?

 俺は悪態をつくと、両腕の手の平を追っ手に向けて魔法陣を展開した。

「アクアバレット! アイスダーツ!」

 右手から水弾が、左手からは氷矢が飛び出した。

 水弾は床に散って水溜まりを作り、氷矢は水溜まりを瞬時に凍らせた。

「外れてるぞカスめ!」

 黙れ。カスはお前だ。俺が地面にアクアバレットとアイスダーツをぶつけたのはわざとだ。

「サンマソード!」

 俺は更に手の平に魔法陣を展開してサンマを握り締め、追っ手に向かって床を蹴る。

 握るサンマが銀色に輝き、追っ手が握る剣よりも白く煌めく。

 追っ手と俺が交差した。追っ手は凍った水溜まりに足を取られて一瞬だけ隙を晒し、俺はその隙を見逃さず、追っ手をサンマで一刀の下に斬り伏せた。

 追っ手は床に頭をぶつけ、糸が切れた操り人形のように動かなくなった。

「残念だったな。経験値は俺の礎となるがいい」

 俺は小さく息を吐くとサンマを逆手で構えた。逆手で構えたのはただ単にカッコイイと思ったからだ。深い意味はない。

 サンマが割れた窓から射した光に照らされて白く煌めく。さぁ、かかってこい。

 通路の横から鎧をガチャガチャさせて残りの追っ手三人が現れた。追っ手三人は俺を見つけると武器を抜いて襲いかかる。

「ウォーターカッター! アイスダーツ!」

 サンマが百均の水鉄砲の水圧に包まれたと同時に凍り付き、サンマを元にした一振の刀が出来上がった。 

 俺は冷凍サンマ刀を振り抜くと、凍った水溜まりの滑りを利用して追っ手三人に叩き付ける。

 サンマを元にしている刀と言っても、冷凍サンマ刀は俺の背丈の半分程だ。巨大な氷の質量をぶつけられた三人は簡単に吹き飛び、壁に当たって崩れ落ちた。

 俺は手が悴んで持ち歩きにくい冷凍サンマ刀を投げ捨てダッシュした。解凍されたら仲良く四人でサンマは分け合うんだぞ。サンマは炭火焼きに大根おろしとポン酢が鉄則だ。ミナト君との約束だぜ。

 -Lvが1上がりました-

 俺の頭の中で突然声が響いた。俺はびっくりしたが、なにせステータスなんてものがある世界だ。別に不思議じゃないのですぐに納得した。

 恐らく、Lvが上がったのはフルアーマー達をしばいたからだろう。それ以外には考えられないしな。

 俺は早速自身を鑑定したが精神が1だけ上がっていた。他のステータスは何も上がっていないし、新しいスキルも獲得していなかった。

 .......せめて俊敏が上がって欲しかった。精神を上げてどうしろと。どうやら俺には主人公補正なんて便利な物はないのだろう。

 俺は広間を抜けて窓ガラスが何枚も飾られている階段を駆け下りた。手摺を滑らせながら三段飛ばしで跳ねていく。

「いたぞー!」
「であえー! であえー!」

 二十段ほど駆け下りると、そこには追加のフルアーマー二人がいた。鑑定を発動。

 Lvは12と14。Lv14は少しきつそうだ。フルアーマー達は槍と剣を俺に向けると大口を開きながら突進してきた。

 くそっ、いくらなんでも多すぎる。わんこそばじゃねえんだぞ。いい加減にしやがれ。

「アクアバレット! アイスダーツ!」

 俺は槍を握るLv14の顔に水風船をぶつけたぐらいの威力の水弾を炸裂させ、飛び散った水を氷矢で瞬時に凍らせた。

 顔面凍結されたLv14は、ゴキスプレーでカチコチに固まったゴキブリみたいに手足をばたつかせて後ろに倒れた。

「貴様ァァァ!」

 Lv12が剣を横凪に払う。俺はそれを屈んで躱す。振り払われた剣は空を切り、俺は胴体ががら空きになったLv12の腹を腹パンした。

「ぐえっ」

 Lv12は蛙が潰されと声をだしながら、俺に押されて窓ガラスを割って落っこちた。

 ああ痛いっ。フルアーマーなんてもん腹パンしたから手が痛い。金属と人間の手じゃ金属の方が丈夫に決まっている。

 俺は自分の手を見ると少し赤くなって腫れていた。幸い、MPが切れるまでいくらでも氷で冷やせるから大丈夫そうだが.......。

「見つけた!」

 俺の前からフルアーマーがまた一人追加された。

 ええい、次から次へと鬱陶しい。俺は鑑定発動。Lvは9。たったのLv9か、雑魚め。せめて二桁にしてこい。

 俺は口元を歪めると腫れた手をグッパグッパして階段を駆け下りる。

「死にさらせぇ!」
「ヒラメプレート!」

 Lv9が剣を振り下ろす。俺はヒラメで剣を受け止める。

 剣は滑りがあるヒラメに拘束され、俺はLv9の剣をヒラメと一緒に掴んで勢いよく蹴り飛ばした。

 Lv9は先程のLv12と同じように窓から落ちた。剣を手放して。

 テレレレレレー♪

 ミナト は 鉄の剣 を 手に入れた!

 俺は脳内でド○クエのテキストを流すと、すかさずヒラメが刺さった鉄の剣を鑑定する。

 -騎士団の剣-
 量産品の鉄製の剣。柄にはエルクセム騎士団の紋章が描かれている。そこそこ使える。
 ※状態 粗悪
 ヒラメの滑りで殺傷力減少。

 ヒラメぇ.......。俺は剣を振り払ってヒラメを窓の外に捨てると階段を駆け下りるのを再開した。

 悪いなLv9。お前の剣と俺のヒラメは交換だ。あと、ヒラメは煮付けが美味しいぜ。

 俺は階段を駆け下りる。一方通行だ。よくゲームのダンジョンや城とかで階段がバラバラの別の場所に設置されている事が多いが、オーク城は階段で一階から最上階まで行けるみたいだ。

 俺は階段を駆け下りる途中、追加のフルアーマー三人をった剣で窓から叩き落として一階に辿り着いた。

 俺は白磁の大理石の上を足音を立てながら駆けていく。白の通路を半分ぐらい駆けると、学校の正門の三倍以上はある巨大な門が見えた。

 よっしゃ、ここを抜ければオーク城から脱出だ。さあ、俺の冒険はこれからだ。

 俺は剣を握り締めて門に近づく。近づくと同時に、ひとつの人影が俺の目に映された。

 待ち伏せ? いや見張りか。この城の門番と言ったところだろう。まあいい、あと一人どうにかすれば俺はオーク城から逃げ切れる。

 門番はパツキンのイケメンだった。フツメンの俺はイケメンが嫌いだ。悪いがそのすかした顔を凍結させてやるぜ。俺は哄笑をあげながら門に向かって走っていく。

「君がこの騒ぎの主犯者か?」

 パツキンが口を開いた。いや、違うぞ。俺はどちらかというと被害者で騒ぎの主犯者はオークキングだ。 

 ま、こんな事を目の前のパツキンに言っても取り合ってくれないだろう。

 俺は剣を両手で握りしめて駆ける。

「どけぇぇぇ!!!」

 俺は大声をあげる。剣を大上段に振り下ろす体制で、パツキンに刃を向けた。悪いがどいてもらうぜ。俺は剣を握りながら鑑定を発動した。



 -自身よりも上位存在な為、ステータスは一部しか表示できません-
 -ステータスを表示します-

 名前 クラウディオ=オーギュスト
 種族 普人族
 職業 聖騎士
 Lv58



 Lv58.......!? だと.......!?



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