ろりこんくえすと!

ノω・、) ウゥ・・・

2-6 王都到着


 
 2-6    王都到着
 
 
 
「うおおおおお!    すっげぇ!    ここが大陸有数の巨大都市エルクセム王都か!    ネメッサ街とはまるで規模が違うな!」
 
 僕達はネメッサ街から馬車で三日間揺られながら、遂にエルクセム王都へと到着していた。

 豊かな自然に囲まれた中心に位置するエルクセム王都は、全ての道路が綺麗な白磁色の石畳になっており、庶民が住む民家の一軒一軒も赤色のレンガで統一されて作られていて、とても美しい景観だった。

 エルクセム王都は流石王都と言うだけでありとても大きい。

 ネメッサの街より十倍は大きい規模なのではないのだろうか。

 そんな大規模なエルクセム王都の中には沢山の屋台が並び、多くの人々でごった返している。丁度僕達が今来ている繁華街はお昼時という事もあり、活気が溢れて賑わっていた。
 
「お兄ちゃんの肩車の上からはよく見えるの。人混みが凄いの」
 
 僕の頭に顎を乗せてリフィアが呟いた。
 
 僕はリフィアとはぐれないように肩の上に乗せ肩車をしている。

 最初は手を繋いでいたが、人口密度が凄すぎて肩車となった。

 僕はリフィアを肩車しながら王都を早足で歩いて眺めていた。
 
「ウェルト、そんなにキョロキョロするな。芋臭い田舎者と間違えられるぞ。時間はたっぷりあるからまずは落ち着け」
「やだやだ!    観光したい!    観光したい!    観光したい!」 
「子どもか!   観光よりもまずはエルクセム騎士団の本部に行くぞ!」
 
 頭が固いアシュレイが頑固にそう言い放ち、僕の手を引っ張って歩き出した。
 
 くそっ、この分からず屋め。

 せっかくエルクセム王都に来たのにもったいない。僕は全力で楽しむぞ。
 
「お兄ちゃん!    水上水鶏(すいじょうくいなのケバブだって!    リフィアはケバブ食べたいの!」
 
 僕がアシュレイに引き摺られる中、リフィアがとある指をさして大声で叫んだ。
 
 リフィアが指をさした場所には『王都名物!    湖上水鶏のケバブ!』とでかでかと書かれた看板が目に入る屋台だ。
 
「ケバブいいね。買い食いも楽しみのひとつだ」
「おいこら!    お前ら勝手に行くな!」
「もぐもぐ.......ケバブ美味しい」
「はむはむ.......脂がよく乗ってるの」
「自由か!    つかいつの間に買ったんだ!」

 ケバブを頬張る僕とリフィアに向かってアシュレイが怒鳴り散らす。
 
「箭疾歩使って代金置いてケバブ取ってきた」
「技能の無駄使いをするな!    ほら、あの屋台の人も目の前にお金が置かれていて、作っていたケバブが無くなっていることに驚いてるぞ!」
「もぐもぐ」
「はむはむ」
「無視をするな!」

 アシュレイよ、お前はお母さんか。姉妹だからかエマに少し似ているな。
 
「ケバブぐらいゆっくり食べさせろ!    もぐもぐ.......」
「はむはむ.......お姉ちゃんはせっかちなの。短気は損気なの。はむはむ.......」
「先が思いやられる.......」
 
 アシュレイは王都に来てテンションが高くなった僕達を見て頭を抱えて項垂れた。
 
 やれやれ、アシュレイはまるで分かっていないな。
 
「もぐもぐ.......そんなに焦ってもぐもぐ.......エルクセム騎士団は逃げないからもぐもぐ.......ゆっくりしていこうぜ.......もぐもぐ.......」
「飲み込め。飲み込んでから喋れ」
 
 僕はケバブを飲み込むと、早速また違った店に目を付けた。
 
「ふぅ、美味かった。お、リフィア。アイスクリームの屋台が出てるいぞ。次はあれを食べに行こうぜ」
「アイスクリーム!?    やったぁ!    食後のデザートなの!    リフィアはアイスクリーム大好き!」
「お前ら私の話は聞いていたのか?」 
「聞いてない。じゃあ行ってくる」
「ちゃんとお姉ちゃんの分も買ってきてあげるの。そこで大人しく待ってるの」

 僕はリフィアと一緒にアイスクリーム屋に行こうとしたが.......
 
「待てこら」
「ぐえっ」
「むきゅ」
 
 アシュレイはアイスクリーム屋に向かいに行く僕とリフィアの首根っこを掴んで引き止めた。
 
 酷い、なんて事をするんだ。
 
「観光は後だ。エルクセム騎士団に行った後でもゆっくりと観光できる。ほれ、さっさっと行くぞ」
「そんなぁ.......。アイスクリームが僕から遠ざかっていく」
「お姉ちゃんはいじわるなの」
「はぁ.......。後でちゃんと食えるから安心しろ」
 
 僕とリフィアはアシュレイにがっちりと身体を掴まれて再び引き摺られながら、エルクセム王都騎士団の本部に着いた。
 
 
 
 ◆◇◆
 
 

「でっかっ!」
 
 エルクセム王都騎士団の本部はとても大きかった。

 どう表現すればいいのだろうか。

 とりあえずネメッサの街の冒険者ギルドが五十個ぐらい入れる程大きい。

 壁一面が白で塗装されたレンガで作られていて、物凄い数の旗やら鎧やらがこれでもかと飾ってある。
 
「ここが税金を無駄使いして作られたエルクセム王都騎士団の本部だ。ウェルト、私が渡した招待状は持っているだろう?」
「持ってる持ってる」  
 
 僕はポケットから成金趣味の招待状を取り出して、アシュレイに見せびらかしながらヒラヒラさせた。
 
「よし、ちゃんと持ってるな。その招待状をあの暇そうにしている門番に渡してくるんだ。渡せば直ぐに騎士団長に取り次いでくれるだろう」 
「分かった」 
 
 僕はそう言って、欠伸をして目を擦りながら眠たそうにしている門番の元へと向かおうとした。
 
「その必要はない」 
 
 しかし、僕が歩いている途中に後ろから声を掛けられて、一人の男に引き止められた。
 
「誰だよ、お前?」
 
 僕は振り向いて後ろを見た。

 僕を引き止めた男は赤髪で、金色の線が入り鈍く輝く白金の鎧を着こなしている。

 腰に差した剣は鎧とはうって変わって素朴な感じがするが、かなりの大業物だと伺える。
 
「まさかこんなところで会うとわな。できれば見たくない顔だ。久しぶりだな、兄上」
 
 アシュレイは一瞬だけ驚いた表情をした後、赤髪の男を見て吐き捨てた。
 
 兄上? 目の前にいる赤髪の男はアシュレイの兄貴って事なのか?

 よく見れば、髪の色がアシュレイととてもよく似ている様な.......
 
「兄上って、そいつがアシュレイの兄貴なのか?」 
「そうだ。私の兄はエルクセム王都の騎士団長のジョサイア=マルティニス。とても性格が悪いので私は会いたくなかった」
「その通り。私はとても性格が悪.......って、なんてことを言わせているんだこの妹は!」 
 
 ノリがいいなこの人。
 
「まあいい。久しぶりだな愚妹よ。騎士団の試験に落ちたマルティニス家の恥晒しがよくまあ、ノコノコと王都へやってきてこれたな。私はとても驚いているよ」
「戯言を。私は騎士団の試験に落ちたのではない。お前に落とされたんだ。それはともかく、王都へ来たのはウェルトを連れてきたからだ」
 
  アシュレイはそう言って僕をジョサイアの目の前に突き出した。
 
「ほう.......彼がか。それでは初めましてウェルト君。私はそこにいる愚妹の兄、ジョサイア=マルティニス。又の名を、エルクセム王都第五騎士団騎士団長、白金の騎士ジョサイア=マルティニスだ」
 
 ジョサイアは長ったらしい名前を言い終えて、無愛想な顔で僕に握手を求めてきたのだった。
 
 
 


 
 世界観解説    水上水鶏
 
 エルクセム王都近辺の湖に生息する白と水色の羽毛で包まれた野鳥の一種。

 湖上水鶏の由来は、湖の上を走ることができることから。水上水鶏の足には反水性の脂に覆われており、水上歩行が可能。だが、進化の過程でずっと水上歩行しかしていなかったため、代償として空を飛べなくなった。

 食欲が非常に旺盛な上に繁殖力が高く、湖に棲む魚を食い荒らすので一月に一度駆除という名目での狩りが行われている。

 水上水鶏の肉は脂がよく乗っており、肉料理として有名でエルクセム王都ではよく食べられる。
 
 
 世界観解説    エルクセム騎士団
 
 普段はエルクセム王都の治安を維持する警備隊みたいなものだが、本来は魔物や他国に攻められた時に王都を防衛する組織。
 エルクセム王都騎士団は第一騎士団から第五騎士団まであり、それぞれの騎士団にAランク、もしくはBランク冒険者に匹敵する実力を持つ騎士団長と副騎士団長が存在する。

 

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