ろりこんくえすと!

ノω・、) ウゥ・・・

1-13 絡まれる



    1-13    絡まれる


「しっかし、ユリウス=ナサニエルか。三百年前以上の人物が、ヒュージスライムキングの核と関わってると言われてもピンと来ないよなー」
 「私もそう思うな。手掛かりは無しに等しいぞ」

 僕とアシュレイは憤るエマをひとしきり宥めた後、クエストを受けに冒険者ギルドへと向かっていた。

 あのちびっ子を落ち着かせるのには本当に手間が掛かった。僕の手に噛み付いてきたり、挙句には泣き出したり。どうして僕はこのまで嫌われているのだろう。

「まあいいさ。闇雲に探しても見つかる訳がないしね」
「そうだな。.......ところで話は変わるのだがウェルト」 

 アシュレイが少し改まって僕に話しかけた。どうしたのだろうか?

「お前はヒュージスライムキングの件といい、ワイルドボアの件といい、まじかに見るとかなりの実力があるな。冒険者のランクはいくつなんだ?」

 アシュレイが唐突に僕の冒険者のランクを聞いてきた。登録してまだ数日。僕のランクは当然のように最初のFだ。

 僕の実力って高いのかな? 比べる相手がいなかったかは、正直自覚なんてなかった。村で魔物相手にそれなりに鍛えていたが。

「僕のランクはFだよ」
「なんだと!?」

 アシュレイが異物を見るような目で僕を見ている。

「何で驚くのさ」
「何でって、お前の動き見てるとDランクはありそうなやり手だと思っていてな。最低でもEランクだと予想していたのに」
「そんな馬鹿な」

 僕はただの田舎村に住んでいた少年だぞ。そこまで実力があるわけじゃないと思う。

「ちなみに私はDランクだぞ。ほれ」

 アシュレイが自慢気な顔で僕の顔にギルドカードを押し付けた。

 本当にDランクだ。.......なんか悔しい。いや、僕は新人だからどうしようもないけども。

 あとステータスが見えたぞ、アシュレイ。

    名前  アシュレイ
    種族  普人族 
    職業  砲火師
    Lv13
    HP62/62
    MP54/54
    筋力31
    耐久32
    魔力3
    精神28
    俊敏26

    所持スキル
    重砲術Lv5『ラピッドショット』、『バラージウォール』、『フレイムカノン』
  『ヒートチャリオット』、『アンカーショット』
    剣術Lv3
  『スラッシュ』、『ビートスパイク』
  『ブレードブロック』

    火薬術Lv-   慧眼けいがんLv-

 アシュレイは剣術も使えるのか。そう言えば山賊に剣をなくされたとか言ってたっけ。騎士団訓練プログラムとかも口にしていたし。

    それにしても僕、女性に筋力で負けてるじゃないか.......。
  
「.......? どうしたウェルト? そんな浮かない顔をして」
「いや、アシュレイに筋力で負けた。なんか悔しい」 
「お前は盗賊職だから当たり前だ! それより、私のステータスを勝手に見たんだからウェルトのステータスも見せてくれないか?」
「僕のステータス? いいよ」

 別に減るもんじゃないしね。

 僕はガソゴソとポケットからギルドカードを取り出してアシュレイに渡した。

    名前  ウェルト
    種族  普人族
    職業  盗賊
    Lv11
    HP46/46
    MP35/35
    筋力19
    耐久20
    魔力26
    精神45
    俊敏63

    所持スキル

    盗賊術Lv6
 『解錠』『窃盗』『罠感知』
 『気感知』『暗視』『地図作成』
    短剣術Lv3
 『閃刃』『絶命剣』
 『ブレードブロック』
   体術Lv3
 『瞬歩』『背負い投げ』『回し蹴り』
   風遁術Lv1
 『歪風』

   ロリコンLv-

  「.......」

    アシュレイは僕のステータスを見つめて、変な顔をしていた。

「何だよその顔」
「なんか、すっごいステータスが偏ってるな。俊敏63なんて数字は初めて見たぞ」
「僕のステータスは凄いの?」
「凄いというか、異常だな」

    そんなこんなでお互いのステータスを見せあっていると、いつの間にか僕達は冒険者ギルドへと着いていた。

「たのもー」

 僕達は扉を開けて中へと入る。

 いつも通り、中は冒険者達の歓声や笑い声で溢れていて楽しそうだ。

 僕が来るまでは。

  「「「.......」」」

    ササッと、僕達の周りから冒険者がいなくなった。僕を避けた冒険者達から白い目で見られている。

「凄い。光景だけなら一流冒険者がギルドに来た感じ」
「いや、それだけじゃないみたいだぞ」

 数多くの冒険者が僕を避ける中、それとは反対に僕達の目の前に一人の筋骨隆々の大男が現れた。

 大男は近くの席から立ち上がると、足音を大きく立てながら僕に近づいて言った。

  「おい、ウェルトとかいう冒険者は、もしかしてお前だな?」

 巨大な斧を背負った大男が、威圧しながら僕の前に立ち塞がった。かなり鍛えているようで、威圧感が半端ではない。

「アシュレイ、この人は誰?」

 僕はか細い声でアシュレイに耳打ちをして聞いてみる。
 
「ゴンザレスだな。この街で私を含めて二人しかいないDランクの冒険者で、かなり素行が悪いと評判の冒険者だ」

 最悪じゃないか。

 ゴンザレスはいかにも悪そうな顔をして腕を組んでいる。腕をよく見るとタトゥーが掘ってあった。

 確かに、チンピラ臭というものががぷんぷんと漂っていて、いかにも荒くれ者といった感じだ。そんなチンピラ臭いゴンザレスは、僕を一瞥いちべつすると、冒険者ギルドで全体に聞こえるような大声を出した。

「いいか小僧、この冒険者ギルドにはルール三つがある。ひとぉーつ!    先輩の冒険者は必ず敬うこと!    ふたぁーつ!    新人は俺に挨拶を必ずしておくこと!    みっーつ!    そしてこの俺に逆らわないことだ!」

 僕はアシュレイを軽く小突いて聞いてみる。

「そんなルールあるのか?」
「んなもんないぞ」

 アシュレイは軽蔑した目線でゴンザレスを睨むと冷たく吐き捨てた。

「小僧、お前は最近街で噂になっている。なんでもリフィアちゃんをローションでヌルヌルにしたり、受付嬢に怒鳴り散らしたり、麗しい女性をこれまた緑色のローションでヌルヌルにしたり」

 人として最低な行いをしているな、そいつ。性欲の塊で、弱い女性だけを狙って乱暴をするなんて。

 誰だ、そんなことしているクズ野郎は。

 .......全部身に覚えがありますね。はい。

 ごめんなさい。僕です。

「そしてさっきのルールも全部破っている。明らかに調子乗ってるよなぁ、小僧?」

 ゴンザレスは顔を歪めて僕を睨んだ。

 あ、これはよくあるテンプレってやつで、新人の冒険者が先輩の冒険者にからかわれるものだ。

 僕は知っている。『お前みたいな餓鬼にはまだ冒険者は早い、おうちに帰ってママのミルクでも飲んでいな! ガハハハハ』とか言われてからかわれるって、僕は村で聞いていたぞ。

「それで、僕がもしウェルトだとしたらどうするんだ?」
「ガハハハハ!    答えは簡単よ。お前を締めるてやるってことだ!    おい野郎共!」
 
 ゴンザレスが高々に叫ぶと、二人のチンピラっぽい冒険者がどこからか出てきた。

 すげぇ、モヒカンにスキンヘッドなんて初めて見たぞ。腰にチェーンを巻いたり、口に葉巻を加えていたり。

 これが俗に言う世紀末の世界観なのか。

「兄貴、こいつが例の奴ですかい?」
「いっひっひっひ。この坊や、可愛いがりがありそうだぜぇ.......」

 三人は腕をポキポキと鳴らしながら、下卑な笑いを顔に浮かべる。

「やれやれ。先輩冒険者に絡まれるイベントか。いいぜ、相手になってるよ」

  僕はベルトからダガーを抜いて、三人に向けて構えた。 

 こういった、いかにも荒くれ者の冒険者らしいイベントに僕は憧れていたんだ。 

 村ではよく先輩冒険者に絡まれる僕が瞬殺して、いきなりギルドの中で注目を浴びるんだと青臭い妄想していた。

 丁度いい、僕の夢を叶えてやるぞ。

「悪いなゴンザレス、通行の邪魔だ」
 
 ボコォ!

 今から始まる腕試しに僕が心踊っていたその時、アシュレイがいきなり重砲の筒でゴンザレスの頭を殴り飛ばし、後方へと吹き飛ばした。

「ええっ!?」
「「兄貴ぃ!?」」

 ゴンザレスはカウンターに頭からぶつかり、後頭部から血をドクドクと流し、白目を剥いて床に伸びている。
  
 え、弱っ。お前、アシュレイと同じDランク冒険者じゃなかったのかよ。

「ちょ、何やってんだよアシュレイ! 折角のイベントが! 僕の勇姿が!」
「あんなのを相手にする必要はどこにも無いだろう。ほれ、さっさと行くぞ」

 アシュレイの態度はどこ吹く風で、重砲をクルクルと回すと、背中にかっこよく収めた。

「この女ぁ! 良くも兄貴をやってくれたな!」
「女だからって容赦しねーぞ!」

 モヒカンとスキンヘッドの二人は、アシュレイの前に立ち塞がるように立つと、それぞれダガーの刃を向けた。

 僕はチンピラ二人の様子を見て幻滅した。
チンピラの二人はまるでダガーの構え方がなってない。人目で雑魚だと分かってしまった。これじゃあ、まるで僕の相手にならないじゃないか

「うぅ.......。僕の儚い夢がひとつ消えた。ついでに窃盗」

 僕は窃盗を発動してダガーを奪い取る。 

 二人のチンピラは口をパクパクさせながら、僕の手に握られた三本のダガーを見つめていた。

 なんだかゴンザレスが一瞬で倒された事で白けてしまった。

「さ、クエストに行くぞ」

 僕はアシュレイと共に、床の上に伸びているゴンザレスをぐりぐりと踏み潰しながら受付嬢の元へと向かって行った。





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