ろりこんくえすと!

ノω・、) ウゥ・・・

1-6 ヒュージスライム達



    1-6 ヒュージスライム達


    最初に攻撃を仕掛けたのはアシュレイだった。  

「先手必勝!  フレイムカノン!」

 アシュレイの重砲から爆炎の塊が撃ち出された。

    それは浄水炉に中に激突し、汚水もろともヒュージスライムを焼き尽くす。

    轟音が響いて炎と水がぶつかりあい、大規模な水蒸気爆発を起こした。

    衝撃波が発生し、熱風と飛んできた水滴が僕の頬を掠めていく。

    なんて威力だ。

    僕は思わず腕で顔を覆った。

    あの大穴を重砲で作ったのが納得だ。

「キュィィィィ!」
「キュァァァァ!」
「キュウウウウ!」

    突撃の襲撃にヒュージスライム達は驚き、浄水炉の中から飛び出してきた。

    浄水炉の中にはさっきの爆炎で息絶えたヒュージスライムの残骸が浮いていた。

    飛び出してきた数はおよそ数十体。

    ヒュージスライムの群れは僕達と仲間の残骸を交互に見ると、体をぷるぷると震わせて怒りを露わにして襲いかかってきた。

  「歪風いびつかぜ!」

    ダガーが薄緑色の風の魔力を纏う。使うのは風遁術と呼ばれる魔法に酷似した技能。僕はダガーを勢いよく振り抜く。

    真空の鎌鼬がダガーから発生し、ヒュージスライムの群れに直撃して吹き飛ばす。

    ヒュージスライムはそれぞれ粘液を撒き散らしながら、原型を崩して倒れていく。

 倒したのは束の間、浄水炉からはヒュージスライムが蜂の巣をつついたようにどんどん出てくる。

 次の数は先程の二倍強。第二軍だ。

「もう一回!  フレイムカノン!」

    アシュレイが再びフレイムカノンを放ち、炎の塊が辺りに広がった。 

    浄水炉から飛び出してきたヒュージスライムに直撃し、群れは全て黒ずんだ屍と化した。

「キュァァァァ!」

    しかし、僕達の攻撃から逃れてきたヒュージスライムも存在する。

    しぶとく生き残っているヒュージスライムは体を跳ねてアシュレイへと飛びかかる。

「回し蹴り!」

    僕はアシュレイにひっつこうとしたヒュージスライムを身体を回して蹴り飛ばす。
    粘液を飛ばしながらヒュージスライムは壁にぶつかり爆散した。

「助かったウェルト!」
「礼は後だ。それよりまだまだ来るぞ!」

    第三軍が浄水炉の中から姿を現す。 

 なんて数だ。ざっと百匹に届く勢い。

    汚水を体から落としながら、ヒュージスライムの群れは進行を開始する。 
    僕達に仲間を殺されたのがよっぽど気に入らなかったのか、ヒュージスライムの群れは僕達に勢いよく突っ込んできた。

「歪風!」

    再び僕から放たれた真空の鎌鼬が飛来し、ヒュージスライムを切り裂いた。

    前衛が粘液を散らしながら屍を増やす。

    しかし、続くヒュージスライムの後衛が仲間の屍を踏み越えながら進んでいく。

「フレイムカノン!」

    そんな屍を踏み越えたヒュージスライムの群れは一瞬にして爆炎に焼き尽くされる。

    しゅーしゅー焼ける音を立てながら、第三軍は全滅した。

「キュィィィィ!」
「キュァァァァ!」

 ぽこぽことヒュージスライムは浄水炉から飛び出してくる。気づけば浄水炉の中が緑色一色だ。汚水の中から続く第四軍が飛び出した。

「おいおい.......どんだけいるんだよ! こいつらはさぁ!?」

    さっきよりも更に数が多い。優に百匹は越えて、二百匹に届きそうな数だ。

    緑色の軍隊は、僕達を何がなんでも僕達に殺された仲間の仇を討ちたい様だった。

「くっ!  キリがないな!」

 重砲をぶちかましながらアシュレイは愚痴る。もう足元までヒュージスライムで埋まりそうだ。

「アシュレイ!    こいつらは僕が倒して道を空ける。だからアシュレイは、直接浄水炉の中へフレイムカノンをぶつけてくれないか!?」
「それはいい考えだな!    任せたぞウェルト!」

    僕とアシュレイはヒュージスライムの群れに向かって駆け出した。

 まるで壁。僕達を通さないように圧倒的な物量が前に立ち塞がる。

「歪風!」

    ヒュージスライム群れ薙ぎ払い、アシュレイの通る道を僕は作る。

「邪魔だ!    ラピッドショット!」

    アシュレイの重砲から高速で回転する弾丸が放たれた。

    弾丸は直線上に存在するヒュージスライムを全て貫きながら、浄水炉までの道を作る。
    弾丸に貫かれたヒュージスライム達は、例外なく緑色の粘液を地面に広げて飛び散った。

    それでも、ヒュージスライムの数が多すぎた。

    アシュレイの横からヒュージスライムが我先へと飛びかかる。

「少し手荒な奥の手だ!    閃刃!    歪風!」

    僕は閃刃に歪風を乗せて飛ばした。

    激しい突風となった歪風はヒュージスライムを木っ端微塵に切り裂いてゆく。

「今だ!  ぶちかませアシュレイ!」

    突風を起こして道を作った僕がアシュレイに向かって大声をあげた。

「任せろッ!」

    アシュレイが上へ跳んだ。

    重砲を浄水炉の中に向け、銃口が赤く輝いき、中から爆炎を繰り出した。

「フレイムカノン!」

    爆炎が汚水に潜むヒュージスライムもろとも焼き払う。

    白い水蒸気がもくもくとあがりながら、水面にかつてヒュージスライムであった残骸がおびただしい量で浮き上がっいる。

    すでに浄水炉の中は茶色ではなく、緑色と黒色が混ざった汚い色をしていた。

「よしっ!」

    思わずガッツポーズをして、僕も貯水池の広場にいる残党のヒュージスライムを始末していく。

    瞬歩と絶命剣を交互に連続で発動し、次々とヒュージスライムの核を破壊する。

    ダガーが何度も核を捉えては砕き、粘液が地面に飛び散った。

  「ふぅ.......やっと終わったか」

    ヒュージスライムの残骸を見つめながらアシュレイは呟いた。

「いや、まだだ!  まだ浄水炉の中に大きい反応が残っている!」

    気配感知にはまだ反応があった。

 今まで倒してきたヒュージスライムとは比べ物にならない大きい反応だ。

    僕が気配感知でその存在を察知した刹那、浄水炉の中から大きな水しぶきが立ち上がった。

「ギュアアアアアア!」

 天井まで届く緑色の巨体。
    水しぶきの中から大きな緑色の物体が姿を現した。

    それは僕達の背丈を優に超える巨大なヒュージスライムだった。 



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