ろりこんくえすと!

ノω・、) ウゥ・・・

1-3 初めてのクエスト



   1-3    初めてのクエスト


 レノッカのパン屋を冒険者ギルドから左に曲がり、僕が着いたのはおしゃれな外装の店だった。

  店の上の看板にはクエストの依頼書が指定した店、『リフィア薬草店』と緑色のペンキで書かれている。

  「ここだな」

 僕はポケットからクエストの依頼書を取り出してドアを開けた。
 店の中に入ると様々な薬品がズラリと棚の上に並んでいる。

    ポーション、解毒薬、鎮静薬etc.......。

    かなり品揃えがいい。 僕の村ではかんがえられないぐらい整っている。
 
 僕は木製の床を歩きながら、店の中を見渡し、クエストの依頼主である店主を探す。

「ん?」

  中を少し歩いていくと、戸棚の上の瓶を取れなくて悪戦苦闘をしている一人の少女、もとい幼女を見つけた。

     年齢は九歳ぐらいだろうか。

  淡い水色の髪の毛に、紫色の髪飾りを付けて、白いエプロンを着こなしいる。

「うんしょ.......うんしょ.......むー。どうやっても取れないの.......」

 幼女はぴょんぴょんと飛び跳ねながら、健気に棚の上の瓶を取ろうとしている。

  どうやら棚に手を届かせるには背丈が足りないようで、どうやっても上に置いてある瓶には手が届かないようだった。

「はいどうぞ」

 気を利かせた僕はその幼女の後ろからぬっと現れると、棚の上にあった瓶を取って渡してあげた。

「ありがと.......わわっ!?   お客さんなの!?」

 幼女は驚いた顔をしてのぞけった。その顔をよくよく見ると、人形みたいに整った立ちをしている。

「えーと。客じゃなくて依頼を受けに来た冒険者なんだ。店主はどこにいるかな?」

  僕は優しい声で少女に話しかけた。

    恐らく、この幼い少女は店主の子供かなにかだろう。まだ小さいのにお手伝いとお留守番をしてるとは偉い偉い。

 ま、五歳の頃から両親に強制的に畑仕事を手伝わされていた僕には及ばないけども。
   
「? 何言ってるの? 店主は目の前にいるの」
「は?」

 思考がしばしの間停止する。僕は思わず聞き返してしまった。 

 「むふふん。何を隠そう、リフィアがこの薬草店の店主なの」
「はっはっはっ.......冗談はよしてくれよ」
 
 僕の目の前で偉そうに仁王立ちをした幼女はリフィア薬草店の店主だった。

 いやいやいや。それはおかしい。その歳でもう薬草店の店主だなんて、この店はどうなっているんだ。

 混乱している僕の手から、薬草店の店主を名乗るリフィアは、クエストの依頼書を取り上げた。

「依頼を受けてくれてありがとうなの。丁度人手が足りないから助かるの」

 そう言って、リフィアは瓶を片手にトテトテと危うい足取りで勝手に歩いていく。
    僕は一瞬躊躇ったものの、すかさずリフィアの後を追いかける。

「早速ポーション作りを始めるの。まずはこの大鍋を調理場に運んで.......むー。むむー。むー~~~ん!」

    リフィアはポーションを作るために使うと思われる大鍋を、顔を真っ赤にして必死に持ち上げようとしていた。
    いや、その身体じゃあ流石に無理があるだろう。

「無理するなって。よいしょっ!」

    僕はリフィアを支えてあげるようち、すかさず大鍋を持ちあげた。

「あ、ありがとうお兄ちゃん……」

    お兄ちゃんって.......。まあいいや。

    僕はそのまま大鍋の上に薬草や聖水を上に乗せてすぐ側の調理場へ持っていく。

  いかんせん材料と調理器具が多く、一回では到底運びきれなかったので、三回ぐらいに分けて往復し、全ての道具を僕は調理場に運んでいった。

「ポーション作りに使う道具は、これで全部なのか?」 

  汗を拭いながら僕は運んだ道具を見下ろしながらリフィアに尋ねた。

「そうなの。全部揃ったの」

 こくんとリフィアは頷いて、子ども用の台座を持ってくると、調理場に置いてその上に立った。

 改めて調理場を僕は見渡す。ポーション作りに使う道具は大鍋、すり鉢と棒、おたま、まな板、包丁、聖水、薬草、緑色の茸だ。

「それでは早速ポーション作りを始めるの。リフィアの真似すれば簡単に作れるからお兄ちゃんはしっかりとやるの」
 「分かった」

  僕は頷き、リフィアと一緒にポーション作りを始める。

  「まずは聖水を大鍋の中に入れるの」
  「よし」
 
    僕とリフィアの目の前には大鍋がふたつ。
    ひとつは僕が作る分で、もうひとつはリフィアの分なのだろう。
    僕は瓶の中に入った聖水を取り出し、火が付けられた大鍋の中に投入した。

  「次は薬草なの。微塵切りにするの」

    リフィアは引き出しからまな板を取り出して、包丁で薬草を微塵切りにしていく。

    なんか.......見ていて危なっかしい。自分の手を切ってしまわないか心配だ。
 
    僕もそれにならい、リフィアと同じように薬草を微塵切りにする。
    トントンと、包丁がまな板を薬草と一緒に叩く音が小刻みいい音が聞こえてくる。

「そして、あらかた微塵切りが終わったらこのすり鉢と棒をを使って、次は薬草をすり潰すの」

    リフィアはすり鉢と棒を取り出した。

    すり鉢の中にさっき刻んだ薬草を投入し、ゴリゴリと棒で薬草をドロドロのペースト状にしていく。 僕も一緒に丹念にすり鉢の中で薬草を潰した。

「これを大鍋の中に入れるの」
「これをね」

    リフィアはドロドロになった薬草を、大鍋の中に入れておたまでかき回し始めた。

  「最後はこのミドリタケを砕いて中に入れるの。これでポーションは完成するの」

    取り出したのは緑色の茸。そのまんまの名前だな。 あと、なんか毒々しい色をしている。

 僕はそれをさっきまで使っていたすり鉢の中に入れ、原型がなくなるまで粉々に砕いていく。

  「お兄ちゃんは意外と手際がいいの。リフィアが見てきた中で一番上手なの」
  「へー。それは嬉しいな」

    僕は粉々に砕いて原型が無くなったミドリタケを大鍋の中に投入した。

  「仕上げにおたまで十分程かき回すの。緑色が完全になくなって、透明な水色になるま でかき回すの」

    僕とリフィアは、無言で大鍋の中をおたまでかき回した。
 
  そして十分後。

  「できた!」

    僕とリフィアの大鍋の中には美しく輝くポーションが入っていた。
    僕は早速、リフィアから瓶を受け取ると、ポーションを瓶の中に詰め込んだ。

  「お兄ちゃん、完成したポーションをリフィアに見せてみるの」
  「ああ、分かった」
 
    僕はリフィアに完成して瓶に詰めたポーションを手渡した。

  「むー、むむー?」

    リフィアは変な顔をして僕の作ったポーションを見つめる。

  「そんな顔をしてどうしたんだ?」
  「お兄ちゃん、お兄ちゃんが作ったのはポーションじゃないの」  
  「なんだって?」

    僕の作ったのはポーションじゃないと?

    そんなことはありえない。僕はリフィアのやった過程を完全に真似してポーションを作ったんだぞ。

 「ポーションを作る際、一定の聖水への加熱、薬草の刻み方と潰し方、そしてミドリタケの砕き方。それらを狙ってやるのは作るのは困難なの。そんなことを素人のお兄ちゃんはいきなりできるなんて凄いの」  

 一体を何を言っている? どういうことだ.......?

「お兄ちゃんが作ったのはポーションではなく.......」
「ポーションではなく?」 

 少し間を置いてリフィアは言い渡した。

「ローションなの」
「なんでだよ!?」

    僕は思わず叫んだ。

「なんでポーションと同じ原料でローションが作れるんだよ!?    おかしいだろ!?」
「これも立派な自然の摂理のひとつなのお兄ちゃん」

    なんていい加減な自然の摂理だ。

「お兄ちゃんが作ったローションは高品質品なの。娼館に売ればいい値段になるから、リフィアが材料費を含んで1本10ゴールドで買い取ってあげるの」 
「それはありがたいけど.......」 

 僕はリフィアの声を耳に入れながら、まだ残っているポーションの材料を見た。

 受付嬢からはよっぽど不器用な人ではない限りポーション作りには失敗しないらしい。

    それに、初めてのクエスト、それもこんな簡単なクエストでいきなり失敗するなんて周りの冒険者から笑われるに違いない。

 こうなったらやけくそだ。やってやる。僕はやってやるぞ。

「リフィア、ローション作ってもクエスト達成にはならないよな?」 
「ぎくっ。それは、そうなの」

    やっぱりな。

 僕は真剣な表情でリフィアに言った。

「リフィア、僕は本気でやるよ」
 


    ◆◇◆    



    数時間後。

 「全部ローションなの」
「くそったれぇぇぇ!!!」

 僕は渾身の力を込めておたまを床に叩きつけた!

「お兄ちゃんはローションを作る才能がピカイチなの。まるでローションの神様に愛されいるみたいなの」

 ふざけんな。そんな神様滅びてしまえ。

「お兄ちゃんが作ったローションは合計で28本。しめて280ゴールドでリフィアが買い取ってあげるの。えっへん」

 なんとか宿代は稼げたがクエストは失敗だ。とほほ。

 そんなことを考え残念がる僕はふと、自分が作ったローションを見た。

    僕の作ったローション、それはリフィアの作ったポーションと全く色が同じでまるで見分けがつかない。

「なあ、リフィア」
「どうしたのお兄ちゃん?」
「僕の作ったのは、本当に全部ローションなのか?」
「.......? そうだよ?」

    僕は瓶に詰めたローションを一本だけ手に取った。

 「えっと、お兄ちゃん。何をしているの?」
「いや、本当に僕の作ったのはローションなのか気になってさ。村長の家から一本だけぱくって飲んだことがあるから味は分かるんだ。ちょっと試してみるよ」

 リフィアは驚いた顔で僕をじっと見つめた。

「ローションを飲むつもりなの?」
「そうだけど?」

    僕は瓶の蓋をパカッと開けながら、リフィアに答えた。

「ダメなの!」
「ええっ!?    ちょっ、まっ.......!?」

    リフィアは早まった表情を顔に作ると、いきなり僕が手に握っているローションに両手で掴みかかった!

「お兄ちゃん!   ローションなんて飲んだら体を壊すの!    飲んじゃダメなの!」
「ええい!    離せ!    ポーションと同じ原料で作ってんだから体に害はないだろ!」

 僕とリフィアの身長差は実に40cm以上もある。そんな幼女が僕と取っ組み合いをしても、当然勝てる訳もなく、

「やあっ!    なのっ!」

    リフィアはお尻からすっ転んで、僕の手から滑り落ちたローションを体にぶちまけた。

「うぅ.......ぬるぬるするの.......」

 リフィアのエプロンはローションをまんべんなく吸い取って、リフィアの肌とぴったり張り付きあどけない未発達の体が透けて見えた。 テカテカと光るローションがリフィアの体を扇情的に映し出し、ちょっとまずい絵面になっている。

「ご、ごめん! ちょっと拭くもの取ってくるからそこで待っててくれ!」

 僕は調理場を見渡すと洗濯物と一緒に窓の側にかけられた白いタオルに目をつけた。すかさずタオルを手に取ると、リフィアに向かって走って近寄った。

「拭いてやるからじっとしてろよ」

    僕はリフィアの身体に付いたローションをタオルで拭き始める。これでローション取れると僕は思っていた。

    しかし.......

「ひやっ、ひやぁ!?」

    リフィアは突然熱い吐息を漏らしながら、大きな声で喘ぎ始めた。

「お兄ちゃんの.......ひゃ!?    ローションは、ひゃあっ!?    高品質品っ!    だからっ!  っひゅっ!    感度が凄く敏感にっ.......!  だ、だめぇ.......っ!    なっちゃうの.......!」

 リフィアの身体にタオルが当たる度、ビクビクと体を痙攣させて顔を赤くしていく。

「お、落ち着け! 深呼吸! 深呼吸しろリフィア!」
「ら、らめぇ.......いく.......いっちゃう.......リフィア始めた会った人の前でいっちゃうよぉ.......」

 そんな馬鹿な! 僕が作ったローションはそんなに凄い代物だったのかよ!

 とにかく、早くなんとかしないと。こんなもん誰かに見られたらまずい。絶対に誤解され.......

「ごめんくださーい!」  

    僕がリフィアにかかったローションをタオルで拭いている最中そなか、女性の冒険者がリフィアの薬草店に来店した。

「あ」
「あ」

 僕と女性の冒険者。お互いの声が見事にハモった。

「君、リフィアちゃんに一体何をやってるの.......?」
「お兄ちゃんがリフィアをローションでぬるぬるにしたの.......」
「合ってるけど違う!    誤解しないでくれ!   これはただの事故なんだ!」

 女性の冒険者は僕とリフィアを交互に見つめると、息を大きく吸い込んで大声で叫んだ。

「衛兵さーん!  来てくださーい!」
「ちっくしょぉぉぉ!!!」

 僕はタオルを投げ捨てて、真昼のネメッサの街へと逃げだした。



    世界観解説    

 ポーション
    この世界の一般的な治癒薬。
    飲んだり傷口に塗ることで効能を発揮する冒険者の必需品。
    聖水、薬草、ミドリタケの三つの材料で作られる。

    ローション
    ポーションと同じ原料で作れるが、狙って作るのは難しい薬品。
    特殊なプレイをする者や、一部のマニアからの需要が高い。
    娼館で高く買い取って貰える。



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