ろりこんくえすと!

ノω・、) ウゥ・・・

1-2 冒険者登録



    1-2    冒険者登録


 翌日。

 僕は山賊に襲われていたアシュレイを助けてやっとの事で街に辿り着いた。
    街にたどり着いたのは良かったものの、夜が遅かったので衛兵の詰所で一夜を明かしてから僕は昼間の街を歩いている。 

 ここの街はネメッサの街と言うらしい。
 人口は約三千人弱。明るい街並みにスラム貧民街もなく治安も良さそうだ。

「すいません。道をお尋ねしたいのですが、この街に冒険者ギルドってありますか?」

    僕は早速、冒険者になるために冒険者ギルドの場所を尋ねることにした。

    僕が尋ねたのは人物は教会の前でせっせっと掃除をしていたシスター。 箒を使っては道端に散乱していふ落ち葉を一箇所に集めていた。

「は、はいっ! 冒険者ギルドのならこの先の道を真っ直ぐに行ってレノッカのパン屋さんを右に曲がった所ですよ!」

    シスターは丁寧に分かりやすく僕に冒険者ギルドへの道を教えてくれた。体感だけど、ここの街は優しく、明るい人が多い気がする。

「なるほど。ありがとうございます」

    僕はシスターに礼を言って歩き出した。

    言われた通りに数分程真っ直ぐ進みレノッカのパン屋を右に曲がると、『冒険者ギルド』とでかでかと書かれた木製の看板が見えた。

「ここか」

    僕の目の前にあったのは随分と立派な大きな木造の建築物。中からは明るい笑い声と歓声が聞こえてくる。

 冒険者ギルド。僕が想像していた通りの場所らしい。

 僕は期待に胸を弾ませながら、冒険者ギルドのドアを開けて中に入った。

「おおっ!」  

    冒険者ギルドの中には当然と言えば当然だが、多くの冒険者がいた。
    背中に大剣を背負った剣士、黒いローブに身を包んだ魔法使い、白い修道服らしきものを着た僧侶、盾を腕に構えた盾使い。

    それ以外にも様々な冒険者がいる。凄い、ここが冒険者ギルド。僕はこれから、ここの冒険者に一員になるんだと思うとドキドキした。

 良かった.......! 本当に.......! あのクソ田舎村から出てきた甲斐があったものだ.......!

  僕はキョロキョロと周りの冒険者を見ながら中を歩いていき、受付カウンターにいた受付嬢に話しかけた。

「あの、冒険者登録をお願いできますか?」
「えっ!    冒険者登録ですか!?    はいっ!    ただいま!」

受付嬢は元気に返事を返してカウンターの引き出しをガサゴソと漁りだし、あるものを僕に手渡してきた。

「冒険者ギルドガイドブック?」
「はい、冒険者ギルドガイドブックです。冒険者間のルールやマナー、依頼に関してやランクアップ等の条件がこと細やかに記載されてますよ。暇な時間によく読んで下さいね。.......よっと」

 受付嬢は話しながら、近くの棚に置いてあった水晶玉の様な物を取り出してカウンターの上に置いた。

「では冒険者登録を始めます。いま手元には登録料の50ゴールドはお持ちですか?」
「うげ、結構取るな.......」

 僕は財布からなけなしの50ゴールドを取り出して受付嬢に手渡した。僕からしてみれば、この50ゴールドの大金は、大体二日分の食料の値段となる。

    嘘だろ。もう既に家から持ち出した全財産が既に底が付きそうだ。まあ僕が住んでいた村は自給自足が常でお金なんて全然使わなかったし。

 それでも、紙のようにペラペラになった薄い財布を見ているとなんだか悲しくなる。

 受付嬢は僕から手渡された50ゴールドを素早い手付きでカウンターにしまうと、緩み切った顔をキリッと整えて冒険者登録を始めた。

「では、まずはステータスの鑑定を行いますね。このステータス表示機に手をかざしてください」

    受付嬢は水晶玉に向かって手を向けた。

    なるほど、これがステータス表示機だったのか。僕の村では鑑定のスキル持ちや、ステータス表示機なんて高価な物が無かったから、自分のステータスを見るのは生まれて初めての事だった。
    僕は浮かれた顔をしながらステータス表示機に手をかざした。



    -ステータスを表示します-

    名前  ウェルト
    種族  普人族
    職業  無職
    Lv8 
    HP37/37
    MP29/29
    筋力17
    耐久16
    魔力19
    精神38
    俊敏41

    所持スキル

    短剣術Lv3
  『閃刃せんじん』、『絶命剣ぜつめいけん』、『ブレードブロック』
    体術Lv3 『瞬歩しゅんぽ』、『背負い投げ』、『回し蹴り』
    風遁術Lv1
  『歪風いびつかぜ



    水晶玉の上には僕のステータスが表示されている。

    おお、凄い.......のかな? 

    自分のステータスも見たことないけど、他の人のステータスも見たことがないので凄いのかは分からない。  だけど、スキルが三つもあるのは村で鍛えていたお陰だ。

「うーん.......」

    僕のステータスを見た受付嬢は腕を組むと、悩んでいるような顔をした。

「どうしたんですか?」
「いえ、ウェルトさん。ウェルトさんのステータスは冒険者ギルドではなく、盗賊ギルドに登録した方が活躍できるのではないかと思いましてね」

    盗賊ギルド。

    盗賊ギルドと聞いて、昨日僕が殺した山賊達を思い出す。うん、ろくな死に方しないな。 やはり真っ当な稼ぎを得るためには冒険者ギルド一択だろう。

「あー.......。構いません。冒険者ギルドに登録をお願いします」
「おおっ、こんなにキッパリと。我が冒険者ギルドを選んでくれて嬉しいですね。では、ウェルトさんにこれをお渡ししますね」

 受付嬢が僕に渡してきたのは、さっき表示された僕のステータスが乗っていたカードだった。

「それはギルドカードです。ウェルトさんの身分証明書代わりになりますし、冒険者ギルドでよく使うので決して無くさないでくださいね?    紛失すると30ゴールドの発行料を払って貰うことになりますからね?」
「ぐっ、30ゴールド.......分かった。なくさないように気をつけよう」
「あ、そうそう。ウェルトさんは新人さんなので冒険者ランクはFランクです。冒険者ランクは依頼をこなしたり、試験をパスすれば上がっていきます。ランクが高ければ高い程より難しい依頼や、大きい依頼.......まぁ、大体貴族絡みのやつなんですけど。とりあえずぜひ内で頑張ってみて下さいね」

 僕のギルドカードにはFランクと一番大きい文字で書かれていた。

 冒険者ランク、ね。まずはFの次のランク、Eを目指そうかな。

「あ、そうそう。危うく忘れるとこでした。ウェルトさん、ギルドカードにある『職業』の項目を触れてみてください」
「職業の項目?」

    僕はギルドカードを裏返し、裏面に書かれてる『職業』の項目に触れる。

    -選択できる職業が二つあります-

    ・盗賊
    ・暗殺者

    出てきたのは盗賊と暗殺者の職業。
    げっ、本当に僕のステータスは盗賊向きなのかよ。 残りひとつも、よりにもよって暗殺者とか物騒な職業だ。

    これは酷い。

    村では剣士や武闘家になるんだ! とか息巻いていたからいきなり夢を壊された。だって短剣術と体術使えたから普通になれると、てっきり思っていた。

 全く、なんて世知辛い世の中だ。

  「盗賊、と.......暗、殺者.......!?    ひ、ひぃぃぃ!?」

  受付嬢はギルドカードに浮かび上がった暗殺者の文字を見て叫び声をあげた。

 いきなりどうしたのだろうか。

「えっ?」
「ウェルトさん。暗殺者は人を殺すことに特化した職業です。つまり、暗殺者の職業を持つ人は天性の人殺しの才能があるってことです。ウェルトさんは魔物より人を殺すことが向いているみたいですね.......」

 僕の脳裏には昨日殺した山賊の表情が思い浮かぶ。

   なんて事だ。冒険者になるために街へ来たのに、人殺しになってどうする。

「.......盗賊にします」

 僕は迷う事もなく、職業を盗賊に決めた。

    ポチッとな。
 
    -ステータスを更新します-
    -職業が盗賊になりました-
    -スキルに『盗賊術』が追加されました-
    -スキル『解錠かいじょう』を習得しました-
    -スキル『窃盗せっとう』を習得しました-
    -スキル『気配感知』を習得しました-
    -スキル『罠感知』を習得しました-
    -スキル『暗視あんし』を習得しました-
    -盗賊術のLvが5になりました-
 
「ふぅ.......。ウェルトさんは職業を盗賊にしましたね。では、ウェルトさんが盗賊職だということをギルドの情報に追加しておきます」

    受付嬢はどこかホッとしたような顔で胸を撫で下ろして言った。
 
「ではウェルトさん、早速クエストを受けていきますか?」 
「うん。そうする。僕は丁度お金に困っていた所だし」

    僕は薄っぺらい財布をヒラヒラさせる。さっき冒険者登録の50ゴールドを払って、僕の手元に残ったのはたったの3ゴールド。

 こんな端金では宿屋に泊まれそうにないので、今すぐクエストを受けようと考えていた。

「ウェルトさんは新人ですからね.......そうですね、これなんかどうですか?」

    受付嬢が渡してきたのは、『急募!  ポーション作りのお手伝いさん!』と書かれたクエストの依頼書だった。

「これはリフィア薬草店からのクエストです。報酬金も80ゴールドとそこそこですし、危険もなくこれからお世話になるポーション屋さんとの店主と仲良くなれるのでお勧めですよ」 
「おお! いいじゃん!」

 街に来たばかりの僕にとっては受けない理由は無い。 クエストも受けれるし、人間関係も広がるなら一石二鳥だと思う。

「それを受けます!」
「はい、ウェルトさんをポーション作りのクエスト了承をしました。ポーションはよっぽど不器用な人間以外ならば簡単に作れるのでリラックスしてやってくださいね」

 受付嬢はクエストの依頼書を僕に渡した。
  僕はそのクエストの依頼書を綺麗に折り畳んで、ポケットの中へとしまう。

「ついでに、リフィア薬草店は冒険者ギルドからどこにあるますか?」
「レノッカのパン屋さんを左に曲がった所ですよ」
「まるで目印のパン屋さん。ありがとう」

 僕は礼を言い、冒険者ギルドの外へ出た。日は高く昇り、街を明るく温めている。

    冒険者登録を終え、初めてのクエストを受けた僕は、まずは一人で暮らしている程度の稼ぎを持つ、いっぱしの冒険者になるための一歩を踏み出したのだった。





    世界観解説    ゴールド。
    この世界のお金。
    私達が住む世界と比べると、
    1ゴールド=100円のレート。
    ウェルトが支払った冒険者登録料は実に5000円程度だった。  



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