ろりこんくえすと!

ノω・、) ウゥ・・・

1-1 街を探しに



   1-1    街を探しに


    石と砂だらけの荒野を一人の少年が歩いていた。

    大地は見渡す限りの茶色で覆われ、この世界を占める大空は、真っ赤な夕焼けに包まれていた。

    少年は十代の中頃で、この世界では珍しい黒髪黒目に整った顔立ちをしている。

    少年は食料と日用品の入った袋を背負い、灰色の旅人の服と黒いズボンを履き、腰の銀色のベルトにはダガーを収めていた。

「不味いな。この様子じゃ今日も野宿か。そろそろ人肌が恋しくなってきたぞ」

    彼の名は、ウェルト。
    農夫になるだけの人生に嫌気が差して村から飛び出てきた少年だ。

    彼は四日前、両親の寝ている隙に縄で体をぐるぐる巻き(簀巻き)にして、家を飛び出してきたのだ。

    頑固な両親は今頃顔を真っ赤にしているだろう。 今更ノコノコと元いた村には帰れなかった。

  「はぁ.......。ここ四日も誰と会っていないや。そろそろ街が見えてくるはずなんだけどなぁ.......」

    僕は今の自分が置かれている現状に嘆き、思わずため息を吐いてしまった。

    どうやら僕の住んでいた村はド田舎すぎて周辺には村や街はおろか、人っ子一人さえも見つからなかった。

    見つかったのは寂しい光景と魔物だけ。

    僕は悲しい現実を頭から振り払うと、足を止めて袋から双眼鏡を取り出した。

    もうすぐ日が暮れてしまう。暗い夜に人の手で整備がされていない道を歩き続けるのは、魔物達に『どうぞ食べてください』と言ってるようなもので自殺行為に等しい。

    とりあえず、何処かで野宿できる場所を探さないと。

「ん.......なんだあれ?」

    僕が袋から取り出した双眼鏡を覗いていると遠くから仄かに光る明かりが漏れていた。

    ふと、頭の中に希望を持った考えがよぎる。

    もしかしたら、あそこに人がいるのかもしれない。人がいれば、街や村の場所が分かる可能性がある。

    僕は急いで双眼鏡を袋の中にしまい、明かりの元へと駆け出した。



    ◆◇◆

 

「くそっ!  縄を解け外道共!」
「外道はてめーだよ!  よくも俺達のアジトを襲いやがって!」
 「そうだぞてめー!  お頭を殺した挙句、俺達が貯めに貯めていた金銭や酒まで消し炭にしやがって!  俺達はこれからどうすればいいんだ!」
「そんなこと知らん!  お前らの足りない頭で少しは考えてみろ!」 
「この女ぁ!」

    僕が明かりの漏れていた場所に着くと、縄で縛られて簀巻きにされている一人の赤髪の女性と、それを取り囲む四人の薄汚い男達がいた。

    女性と男達は激しく口論をしていて、今にも一触即発な雰囲気だった。

「まじかよ。初めてのエンカウントが山賊とかついてなさすぎるだろ.......」

    僕は頭を抱えて悩んだ。

    本当はこのまま見捨ててしまいたいが、もしかしたらあの赤髪の女性は街や村の場所を知っているかもしれない。 

 山賊にも聞いてもいいが.......あの薄汚い服装を見て分かるがまともな暮らしをしていない。言い換えれば人が多く暮らしている場所に住んでいないと言うことだ。

  最後に、僕だけで街や村にいつたどり着けるかは分からない。

    少々危険だが、やるしかないだろう。

    僕は頬を叩いて自分に喝を入れると、赤髪女性を助けるために動き出した。

「この女!   散々舐めた真似をしやがって!    少し身体にお仕置きが必要だな!」
「やめろ、モーブ」

    四人の中でいかにも頭が一番切れそうな男が、モーブと呼ばれた冴えない中年の男を呼び止めた。

「でもリーダー.......」
「モーブ、お前の気持ちは分かるがカマーセがそこにいる女を楽しもうとして、男の大事な部分を集中的に蹴り殺された事を忘れてしまったのか?」
「く、くそっ!」

    モーブは拳を強く握りしめて悔しそうに唇を噛みしめた。

「この俺達の討伐依頼を受けた冒険者こせいで俺達のアジトは壊滅してしまった。まぁ、幸いこの女は見てくれだけはいいから奴隷商人に売り払うか。俺達が楽しんでない純潔なら、さぞかし高い値段がつくだろうよ」

 その言葉を聞いた女性は不思議そうに山賊達を見詰めると、口からとんでもないことを言い出した。

「ん、んん?    お前らは私の身体が目当てなのだろう?    本当にいいのか盛りのついた豚共?     今、童貞を卒業しないでいつ童貞を卒業するんだ?    お前らみたいな豚を抱いてくれる女なんて、もうオークぐらいしかいないのだろう?」 

 火に油注いでどうすんだよ。

「ちくしょう!    リーダー、お願いですやらせてください!    俺、童貞を卒業したいです!」
「お前童貞だったのか。よくもまあ、さっきの台詞を堂々と言えたな.......」

 リーダーと呼ばれた山賊の男は呆れた顔でモーブを見つめた。その時から、僕は行動を移していた。

  今がチャンスじゃないか、と。

 僕は暗がりの中に隠れ、そのやり取りを見ながら腰からダガーを取り出すと、女性を助けるために行動を始めた。

  「瞬歩しゅんぽ

 体術のスキルにカテゴリされる技能のひとつ。瞬歩。
 一瞬で距離を縮めるシンプルながらも使い勝手の良く強い部類に入る技能だ。

    僕は一気に間合いを詰めて、山賊達の中心に躍り出た。

「なんだこいつ!?」
 「いきなり人が現れたぞ!」

    僕はダガーを構えると、女性のすぐ近くにいた山賊の男に狙いをつけて振り抜いた。

絶命剣ぜつめいけん!」 

 短剣術の技能、絶命剣。獲物の急所を狙い的確に攻撃を当てる技能。

    ダガーで背筋から下に掛けて抉り込み、男の命を容易く刈り取った。 

「俺は童貞を卒ぎ、くぼぉ!?」

    赤髪の女性のすぐ側にいた山賊の男は、口から血を吐いて崩れ落ちる。

「モーブ!?」
「い、いきなり殺しやがった!    この男、冒険者女の仲間か!?」

 僕はダガーを男の胸から素早く抜き取り、また別の山賊に狙いを定める。

  「閃刃せんじん

 同じく短剣術の技能、閃刃。素早い一閃を繰り出して敵を攻撃する単純な技。

 ダガーは綺麗な弧を描き、山賊の頸動脈を切り裂いた。山賊は鮮血を撒き散らしながらその場に倒れた。

「このクソガキ!」

  山賊の得意の得物であろう、厳つい形をした斧を僕に向かって振り下ろす。僕は小柄な体格で、勢いよく振り下ろされたあの斧を受ければ、ひとたまりもないだろう。

 だが、日々魔物と戦っていた僕らかしてみれば、目で追える程遅く、あまりにも温かった。

「ブレードブロック」

 再び短剣術の技能。ブレードブロック。その名の通り、攻撃を剣の刀身で防ぐ技術。

 僕はダガーで斧を受け止める。斧とダガーが激しく鍔競り合い、火花を散らす。 

「なんだと!?    そんな馬鹿な!?」
「鍛え方が違うんだよ! 閃刃!」

  斧を腕力で撥ね除けて、のまま喉を掻っ切った。 山賊の喉から血が盛大に溢れ、大地を汚した。
 
「最後の一人は、あんただ」
「なんだよお前……その動き、ただもんじゃねぇ」

    リーダーと呼ばれていた男は腰から剣を取り出して、僕にきっさきを向ける。

「僕はただの村び.......いや旅人だよ」
「嘘をつくな!」
「ばれたか……少し前まで村人でした」
「こいつ!   舐めやがって!」

 最後の山賊は僕に向かって勢いよく剣を横凪に振りかぶった。

    しかしその剣速は、遅い。

「ブレードブロック」

    再びブレードブロックを発動。乾いた音を立てて、僕は剣をダガーで受け止めていた。
 
「絶命剣!」

    そのままタガーを剣の刀身の上を滑らせて腕を掻い潜り、心臓を突き刺した。
 僕が差し込んだ刃は皮膚、肉、骨、心臓を貫ぬき、手に嫌な感触を伝えた。

「ぁ.......がァ……っ」

   最後の男は血を垂れ流しながらその場で倒れ込み、山賊はまたたくまに全滅した。残ったのは亡骸だけだ。

 僕はかつて人間だったものを見下ろし、少しだけ感傷に浸る。

 この世界では山賊や強盗、殺人鬼等、悪者はいくら殺しても罪にはならない。だけど、僕自身、人を殺すのはあまり気乗りしない。

 人を殺したら魔物とは違い、なんとも言えない不快感に襲われてしまうのだから。

「とりあえず大丈夫だった?」

 僕は屈みこみ、簀巻きにされてもぞもぞしている女性の縄を解き始める。

 ぬっ、これ固結びだな。山賊だからやっぱり結び方を雑なのだろう。結ぶ時はちゃんと蝶々結びにしとけよ、全く。

「動きに見蕩れて呆然としてしまっていた。助けてくれたのか少年。感謝する」

  女性はミノムシの体勢からお礼を言った。 正直、ありがたみがないが。

「僕の名はウェルトだ。それより、怪我はないか?」
「怪我は大丈夫、問題ない。そうか、少年の名はウェルトと言うのか。私の名はアシュレイと言う」

    赤髪の女性、もといアシュレイは解けた縄を両腕で引っ張って拘束から抜け出した。

「ふぅ.......久々の解放感だ。改めて礼をしよう、ウェルト」

    アシュレイの服装は黒いガウンとズボンを履いている。腰には火薬を詰める薬莢を収めるベルトが巻いた。

「いきなりで悪いんだがこの近くに街や村はないか? まあ、さっきの見てくれたら分かるけど、そこそこ腕は経つし。そこまで護衛するよ」
 
 目的を達成。とりあえず助け出したアシュレイから街や村の場所を聞き出そう。

「それはありがたい。私の武器は山賊に奪われた挙句、川の中に捨てられてしまっていたのだ」
「あー.......。結構酷いことするね」
「なあに、家には予備もあるし、捨てられたのは廉価品だ。気にもしてないぞ。ところで街、だったな。この近くには私が住んでいるネメッサの街がある。なに、三時間も歩けば着くぞ」


 そうして三時間後。僕はアシュレイに案内をされて、無事にネメッサの街へと辿り着いたのだった。



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コメント

  • ノベルバユーザー354552

    スタートからチートすぎてビックリ

    0
  • ノベルバユーザー240181

    こういう展開いらん!!

    0
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