能無し刻印使いの最強魔術〜とある魔術師は来世の世界を哀れみ生きる〜
EP.26 魔術師は入学する
そして1週間が経った、今日は入学式が執り行われる。俺は朝から退屈なのを表に出さないようにしながら学園へと向かっていた。
「なんかドキドキする.........」
「俺はそうでも無いが」
先程からアリスは緊張のあまり文字通り足が棒になっている。どちらかと言えば試験の方が緊張するはずなのだが、本人にしてみればそうではないらしい、まぁどうでもいいが。
「えっと、会場ってどこだっけ?」
「地図ぐらい見ておけ。こっちだ」
 仕方ないのでアリスの手を引いて敷地内を闊歩する。このゼルノワール学園は無駄に広い。というのも、学園なのに森があったり河川があったりと自然がとても多いからだ。そのせいで外周は約10kmにも及ぶ。
「着いたぞ」
「え?あれ、ここ.........?」
着いたそこは露呈した式場。外壁も何も無く、ただ椅子だけが並べられてある。.........と思うかもしれないが魔術的な仕掛けが施してある。これをこうすると、こうなる。
俺が逆証魔術を発動させると偽装された魔法が砕け散り真の姿が現れる。至って普通の、講堂入口がそこにあった。木造の入口は相当高価な素材なのだろう、魔力が宿っている。
「クルシュ君何を........」
「小細工を使っただけだ。あといい加減観察するのもバレているぞ」
「ほっほっほ、バレましたかな」
瞬時に俺の横に現れた白ひげを胸辺りまで生やした老人がこちらを向く。俺よりも少し高く、老眼のためか眼鏡をかけている。
「いつから気づいておられましたかな?」
「最初から。そうだな、入学試験辺りからか」
「ほほぉう、そこから気づかれていましたか。これは失敗」
「ね、ねぇクルシュ君、その人って.........」
「ふむ、申し遅れましたな。私はロンド・ゼルノワール、学園長をしておるものじゃ」
知っていたさ、明らかに魔力の量が周りとは桁違いだしな。それに新聞に掲載されていた顔と全く同じだ、気づかないはずもない。最もアリスは開いた口が塞がらないと言ったようだが。
「で、俺に何か用か?」
「何、将来有望な子の観察はいけませんかな?」
「俺の刻印が有望?ははっ、言ってくれるじゃないか」
「遠慮など言っておりませんぞ。素直に答えた............」
「ひとつ言っておくが俺の刻印は将来有望じゃない。もう完成しているからな」
「..........ほう?」
興味深そうに目を細める。その目からも興味がつたわってくる。どうやらこの学園長はすこし研究者体質が強いらしい。
「答えが知りたいなら見ておけ。俺を見る目があるやつの観察くらいは許そう」
「ほほ、なんとも。楽しみにしておりますぞ」
「じゃあな」
俺はそのまま踵を返して講堂のドアを開けた。すでに椅子は所々が埋まっており会話する声が至る所から聞こえてくる。俺は席に着席し適当に始まるのを待った。
「お、おいあれを見ろ!」
「王族が通るぞ!!」
誰かがそう叫んだ。その瞬間、扉が開け放たれ金髪の男女二人組が歩いてくる。赤髪に白銀の瞳を持つ男とロングストレートの金髪碧眼を持つ女は優雅に、周りの視線を集めるように闊歩していた。
「やれやれ、全く。王族というのは辛いね」
「最近少しうんざりしてきましたわ」
そんな小言を繰り返しながら歩いていくその男女は、1つ回りを見渡し空いていた適当な席に座った。しかしその輝きが失われることは無く、まだ周りの視線を集めている。
「凄いわねあの二人」
「王族なのだからそれぐらいの品格は持っていないといけないだろう。俺は気にしないがな」
「まぁ、なんともクルシュ君らしいわね..........」
その後始まった入学式だが、学園の説明と祝儀くらいだ。なんとも聞くに耐えないので面白そうなものまでは魔法で遊んでいたぞ。
「続いて、クラス発表に参ります。名を呼ばれた生徒は、ひとつ返事をした後起立してください」
なるほど、クラス発表はここであるのか。まぁなんとも恥ずかしい話だな、全員の前で能無しか能有りか見られるんだからな。
「ここで発表するの?」
「らしいな。別に俺はどのクラスでもいいが」
「クルシュ君と一緒ならいいなぁ............ なんて」
「何だ?俺と同じじゃないと心細いか?」
「ち、ちち違うわよっ!そ、そんなんじゃないわ!!」
「まぁなんでもいいけどな」
本当にどうでもいい話だ。アリスと離れるならそれはそれで仕方ないことではあるし、そこまでだと割り切る。たかが2年の付き合いでどうにかなるとも思ってないからな。
「Sクラス、クルシュ・ヴァルフォード」
「はい」
俺が返事をして立った瞬間、周りがざわつき始める。まぁもちろん小言の正体は俺への文句が大半だ。全く、少しは遠慮というものがないのか?ここの能無し共は。
「Sクラスは以上となります。引率の先生に従って移動してください」
「じゃあな、アリス」
「え?あ、うん.............」
結果としてアリスの名前は呼ばれなかった。学年5位ということでも関係ないらしい。まぁまたいつか会うだろう、学園内の広さは有限だからな。
案内された先にあったSクラスの横札の教室に入室する。どうやら適当な場所に座っていいらしく、俺は壁際の一番後ろに座った。なお、まだ担当となる先生とやらは来てないらしい。
「皆!いまここで自己紹介をしておかないかい!?」
そう叫んだのは金髪にエメラルドグリーンの男。いかにも雰囲気が明るい。いつの時代にもこういうやつはいるものだ。
「僕達はまだ会ったばかりだからさ、仲良くしておこうよ!」
まぁそれは一理あるな。やるなら外でやって欲しいものだが。基本的に誰とも話す気は無い。
「僕はエリク・サージェント、金色の刻印だ。よろしく!」
その自己紹介を皮切りに次々と自己紹介が始まった。もちろん退屈だったので寝ていたんだが、誰かに肩を叩かれた。
「.......ん?」
「次は君の番だよ」
なるほど、さっき1番初めに名乗ったやつか。まぁいい、ちゃっちゃ自己紹介して孤立するか。星宝の刻印の価値なんてゴミ以下らしいからな。
「えーっと、クルシュ・ヴォルフォード、星宝の刻印だ。互いに利点のある生活だけをしよう」
それだけ言って俺はまた眠る体勢に入った。これで孤立しただろう、さて、午後は何をしようか。
「なんかドキドキする.........」
「俺はそうでも無いが」
先程からアリスは緊張のあまり文字通り足が棒になっている。どちらかと言えば試験の方が緊張するはずなのだが、本人にしてみればそうではないらしい、まぁどうでもいいが。
「えっと、会場ってどこだっけ?」
「地図ぐらい見ておけ。こっちだ」
 仕方ないのでアリスの手を引いて敷地内を闊歩する。このゼルノワール学園は無駄に広い。というのも、学園なのに森があったり河川があったりと自然がとても多いからだ。そのせいで外周は約10kmにも及ぶ。
「着いたぞ」
「え?あれ、ここ.........?」
着いたそこは露呈した式場。外壁も何も無く、ただ椅子だけが並べられてある。.........と思うかもしれないが魔術的な仕掛けが施してある。これをこうすると、こうなる。
俺が逆証魔術を発動させると偽装された魔法が砕け散り真の姿が現れる。至って普通の、講堂入口がそこにあった。木造の入口は相当高価な素材なのだろう、魔力が宿っている。
「クルシュ君何を........」
「小細工を使っただけだ。あといい加減観察するのもバレているぞ」
「ほっほっほ、バレましたかな」
瞬時に俺の横に現れた白ひげを胸辺りまで生やした老人がこちらを向く。俺よりも少し高く、老眼のためか眼鏡をかけている。
「いつから気づいておられましたかな?」
「最初から。そうだな、入学試験辺りからか」
「ほほぉう、そこから気づかれていましたか。これは失敗」
「ね、ねぇクルシュ君、その人って.........」
「ふむ、申し遅れましたな。私はロンド・ゼルノワール、学園長をしておるものじゃ」
知っていたさ、明らかに魔力の量が周りとは桁違いだしな。それに新聞に掲載されていた顔と全く同じだ、気づかないはずもない。最もアリスは開いた口が塞がらないと言ったようだが。
「で、俺に何か用か?」
「何、将来有望な子の観察はいけませんかな?」
「俺の刻印が有望?ははっ、言ってくれるじゃないか」
「遠慮など言っておりませんぞ。素直に答えた............」
「ひとつ言っておくが俺の刻印は将来有望じゃない。もう完成しているからな」
「..........ほう?」
興味深そうに目を細める。その目からも興味がつたわってくる。どうやらこの学園長はすこし研究者体質が強いらしい。
「答えが知りたいなら見ておけ。俺を見る目があるやつの観察くらいは許そう」
「ほほ、なんとも。楽しみにしておりますぞ」
「じゃあな」
俺はそのまま踵を返して講堂のドアを開けた。すでに椅子は所々が埋まっており会話する声が至る所から聞こえてくる。俺は席に着席し適当に始まるのを待った。
「お、おいあれを見ろ!」
「王族が通るぞ!!」
誰かがそう叫んだ。その瞬間、扉が開け放たれ金髪の男女二人組が歩いてくる。赤髪に白銀の瞳を持つ男とロングストレートの金髪碧眼を持つ女は優雅に、周りの視線を集めるように闊歩していた。
「やれやれ、全く。王族というのは辛いね」
「最近少しうんざりしてきましたわ」
そんな小言を繰り返しながら歩いていくその男女は、1つ回りを見渡し空いていた適当な席に座った。しかしその輝きが失われることは無く、まだ周りの視線を集めている。
「凄いわねあの二人」
「王族なのだからそれぐらいの品格は持っていないといけないだろう。俺は気にしないがな」
「まぁ、なんともクルシュ君らしいわね..........」
その後始まった入学式だが、学園の説明と祝儀くらいだ。なんとも聞くに耐えないので面白そうなものまでは魔法で遊んでいたぞ。
「続いて、クラス発表に参ります。名を呼ばれた生徒は、ひとつ返事をした後起立してください」
なるほど、クラス発表はここであるのか。まぁなんとも恥ずかしい話だな、全員の前で能無しか能有りか見られるんだからな。
「ここで発表するの?」
「らしいな。別に俺はどのクラスでもいいが」
「クルシュ君と一緒ならいいなぁ............ なんて」
「何だ?俺と同じじゃないと心細いか?」
「ち、ちち違うわよっ!そ、そんなんじゃないわ!!」
「まぁなんでもいいけどな」
本当にどうでもいい話だ。アリスと離れるならそれはそれで仕方ないことではあるし、そこまでだと割り切る。たかが2年の付き合いでどうにかなるとも思ってないからな。
「Sクラス、クルシュ・ヴァルフォード」
「はい」
俺が返事をして立った瞬間、周りがざわつき始める。まぁもちろん小言の正体は俺への文句が大半だ。全く、少しは遠慮というものがないのか?ここの能無し共は。
「Sクラスは以上となります。引率の先生に従って移動してください」
「じゃあな、アリス」
「え?あ、うん.............」
結果としてアリスの名前は呼ばれなかった。学年5位ということでも関係ないらしい。まぁまたいつか会うだろう、学園内の広さは有限だからな。
案内された先にあったSクラスの横札の教室に入室する。どうやら適当な場所に座っていいらしく、俺は壁際の一番後ろに座った。なお、まだ担当となる先生とやらは来てないらしい。
「皆!いまここで自己紹介をしておかないかい!?」
そう叫んだのは金髪にエメラルドグリーンの男。いかにも雰囲気が明るい。いつの時代にもこういうやつはいるものだ。
「僕達はまだ会ったばかりだからさ、仲良くしておこうよ!」
まぁそれは一理あるな。やるなら外でやって欲しいものだが。基本的に誰とも話す気は無い。
「僕はエリク・サージェント、金色の刻印だ。よろしく!」
その自己紹介を皮切りに次々と自己紹介が始まった。もちろん退屈だったので寝ていたんだが、誰かに肩を叩かれた。
「.......ん?」
「次は君の番だよ」
なるほど、さっき1番初めに名乗ったやつか。まぁいい、ちゃっちゃ自己紹介して孤立するか。星宝の刻印の価値なんてゴミ以下らしいからな。
「えーっと、クルシュ・ヴォルフォード、星宝の刻印だ。互いに利点のある生活だけをしよう」
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コメント
べりあすた
すんごい上から目線なとこがすき