能無し刻印使いの最強魔術〜とある魔術師は来世の世界を哀れみ生きる〜
EP.1 魔術師は未来を夢見て転生する
この世界には魔王、大賢者、英雄、など様々な言葉で語られるとある魔術師がいる。彼の名はアスト、世界最高峰の魔術師だ。
この世界では生時から手に付与されている刻印によってその者の能力が分かる。
炎系統の魔術を操作可能になる真紅の刻印、水系統の魔術を操作可能になる蒼藍の刻印、風系統の魔術を操作可能になる翠碧の刻印、回復、光系統の魔術を操作可能になる金色の刻印、闇系統の魔術を操作可能になる常闇の刻印、通常はこの5つに別れ、回復もできて応用性の高い金色の刻印が5つの刻印の中で1番優秀とされ、術者の意図によって発現する魔術が変化する常闇の刻印が1番弱小という扱いになっている。
だがこの世界には一億年に一人という確率で最強の刻印を持つものが現れる。それは星宝の刻印と呼ばれるものである。この刻印は先程述べた6つの魔術を操作可能になり、その威力は1を極めた刻印にも引けを取らない。そして、この刻印にはもう1つの特権がある。
――星宝魔術
この魔術は6つの魔術のどれにも属さない所有者唯一の魔術。その魔術は存在するであろうという予測で成立しているため実際の正体は術者本人しか知らない。
そして、この星宝の刻印を身につけているのが数々の異名を持つ魔術師、アストだ。そんな彼は現在『龍神』と称される伝説の龍の亡骸の前に居た。
「弱いな」
弱い、何もかもが弱い。魔王を倒してはや幾千年、俺は星宝魔術で延命しながら生きてきたが、いい加減つまらない。仲良くしていた王が何代も死に、友人も死んだ。彼女は.............聞かないでくれ。
不老不死とは実につまらないもので、この千年は10~20代までの王を看取るくらいしかやる事が無くなっていた。そんな時『龍神』が出現したと聞いて喜々として飛びついてみれば、わずか5秒で撃沈。所詮は神、ということなのかもしれない。
「............帰るか」
俺は転移魔術であらかじめ登録しておいた家に帰る。ここは地中深くのマグマ地帯に隣接する洞窟に幾千もの結界をかけて作った家、兼研究室。星宝魔術の実験をするために作っただけだが、気がつけば安らぐ母屋となっていた。
星宝魔術は100年で解明した。できることは無限大、未来視でも転移でも転生でも何でも来いだ。最初の100年でやることがなくなった俺はその後はずっと未来視で具体的に5000年単位での未来の観測に勤しんでいた。今日も未来視で見てみるとしよう。
彼の両目に魔法陣が浮かぶ。次の瞬間彼の脳内に直接映像情報が流れてきた。そして彼は見てしまった、まだ彼が見た事のない魔術の"ような"物を。曰く、その世界では物体が自由に空を飛びまわっている。曰く、その世界では機械のようなものから火が吹きでたり、機械が言語を話している。
なんだ............あれは。魔法陣が浮き出ていないにもかかわらず鉄の塊が空を飛んでいたぞ!?内部に飛行魔術を施しているようにも見えないし、そもそも飛行魔術を使えるのは俺だけだし..............
それに機械が炎魔術を使っていたぞ!?あれも内部に仕込んでいるようには思えない、それに何より機械が喋っていた!!これは面白い!傀儡魔術も俺しか使えないはずなのに、未来はとても興味深い!よし、転生しよう、今すぐにでも転生しよう。
◇
ここはとある森の奥、転移魔法で移動してきたアストはその地面に魔法陣を書き込んでいた。
「これでよし、と。久々に体を激しく動かしたな..........」
転生魔術、これは100年の星宝魔術の研究中、60年かけて研究した魔術だ。これを発動すると、知識、能力、自我をそのままに用意された肉体へと乗り移ることが出来る。既に乗り移る体は用意してある。一応俺の幼少期、今から約2790年前の姿を魔術で作りあげた。ちなみに転生したあとの肉体は見えない力でどこかに消えるらしい。
「あとはこうして.............」
魔法陣の真ん中に土をかき分けて作った、人1人分だけ入れる土の棺桶に入り魔法で上から自分の石碑をかぶせる。自分で墓を作って自分でそこに入るというのは何かシュールだと思う。
あとは魔術を起動して完了だ。...........思えば転生に至るまで2800年、長いようで短かったな。別に未練はない、友人も家族も、ましてや伴侶なんてのはいなかったしな。今あるのは未来への期待と好奇心だ。転生後の世界はどうなっているのだろうか、楽しみで仕方ない。
「.............転生魔術発動」
そして俺は未来へ向けて転生魔術を発動した。
彼はひとつ間違えている。まず転生魔術に時代の設定はできない、つまりどの時代に生まれるかは運次第というわけだ。
彼が目覚めた先では彼の期待を大きく裏切ってしまうことになるが、それは追々語っていこう。ここから彼の物語が始まるのだから。
この世界では生時から手に付与されている刻印によってその者の能力が分かる。
炎系統の魔術を操作可能になる真紅の刻印、水系統の魔術を操作可能になる蒼藍の刻印、風系統の魔術を操作可能になる翠碧の刻印、回復、光系統の魔術を操作可能になる金色の刻印、闇系統の魔術を操作可能になる常闇の刻印、通常はこの5つに別れ、回復もできて応用性の高い金色の刻印が5つの刻印の中で1番優秀とされ、術者の意図によって発現する魔術が変化する常闇の刻印が1番弱小という扱いになっている。
だがこの世界には一億年に一人という確率で最強の刻印を持つものが現れる。それは星宝の刻印と呼ばれるものである。この刻印は先程述べた6つの魔術を操作可能になり、その威力は1を極めた刻印にも引けを取らない。そして、この刻印にはもう1つの特権がある。
――星宝魔術
この魔術は6つの魔術のどれにも属さない所有者唯一の魔術。その魔術は存在するであろうという予測で成立しているため実際の正体は術者本人しか知らない。
そして、この星宝の刻印を身につけているのが数々の異名を持つ魔術師、アストだ。そんな彼は現在『龍神』と称される伝説の龍の亡骸の前に居た。
「弱いな」
弱い、何もかもが弱い。魔王を倒してはや幾千年、俺は星宝魔術で延命しながら生きてきたが、いい加減つまらない。仲良くしていた王が何代も死に、友人も死んだ。彼女は.............聞かないでくれ。
不老不死とは実につまらないもので、この千年は10~20代までの王を看取るくらいしかやる事が無くなっていた。そんな時『龍神』が出現したと聞いて喜々として飛びついてみれば、わずか5秒で撃沈。所詮は神、ということなのかもしれない。
「............帰るか」
俺は転移魔術であらかじめ登録しておいた家に帰る。ここは地中深くのマグマ地帯に隣接する洞窟に幾千もの結界をかけて作った家、兼研究室。星宝魔術の実験をするために作っただけだが、気がつけば安らぐ母屋となっていた。
星宝魔術は100年で解明した。できることは無限大、未来視でも転移でも転生でも何でも来いだ。最初の100年でやることがなくなった俺はその後はずっと未来視で具体的に5000年単位での未来の観測に勤しんでいた。今日も未来視で見てみるとしよう。
彼の両目に魔法陣が浮かぶ。次の瞬間彼の脳内に直接映像情報が流れてきた。そして彼は見てしまった、まだ彼が見た事のない魔術の"ような"物を。曰く、その世界では物体が自由に空を飛びまわっている。曰く、その世界では機械のようなものから火が吹きでたり、機械が言語を話している。
なんだ............あれは。魔法陣が浮き出ていないにもかかわらず鉄の塊が空を飛んでいたぞ!?内部に飛行魔術を施しているようにも見えないし、そもそも飛行魔術を使えるのは俺だけだし..............
それに機械が炎魔術を使っていたぞ!?あれも内部に仕込んでいるようには思えない、それに何より機械が喋っていた!!これは面白い!傀儡魔術も俺しか使えないはずなのに、未来はとても興味深い!よし、転生しよう、今すぐにでも転生しよう。
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ここはとある森の奥、転移魔法で移動してきたアストはその地面に魔法陣を書き込んでいた。
「これでよし、と。久々に体を激しく動かしたな..........」
転生魔術、これは100年の星宝魔術の研究中、60年かけて研究した魔術だ。これを発動すると、知識、能力、自我をそのままに用意された肉体へと乗り移ることが出来る。既に乗り移る体は用意してある。一応俺の幼少期、今から約2790年前の姿を魔術で作りあげた。ちなみに転生したあとの肉体は見えない力でどこかに消えるらしい。
「あとはこうして.............」
魔法陣の真ん中に土をかき分けて作った、人1人分だけ入れる土の棺桶に入り魔法で上から自分の石碑をかぶせる。自分で墓を作って自分でそこに入るというのは何かシュールだと思う。
あとは魔術を起動して完了だ。...........思えば転生に至るまで2800年、長いようで短かったな。別に未練はない、友人も家族も、ましてや伴侶なんてのはいなかったしな。今あるのは未来への期待と好奇心だ。転生後の世界はどうなっているのだろうか、楽しみで仕方ない。
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コメント
ペンギン
鉄の塊か浮いている、は飛行機の事ですかね...?
ペンギン
失格紋とは似てるけども転生の動機とかが全然違うような気が...しなくもない
海神龍激
その世界って地球...
リムル様と尚文様は神!!サイタマも!!
失格紋に似てる……最強の紋章が最弱にされる…………だけど面白い!!!!!!ガンバ!
seabolt
自ら転生できるという設定は面白いてます