命の残響

ふみゅうひぅ

第23話 血操の一族

木「………」

光「………ここか」


私達は冥王様が出発したあと、冥王様のあとを追うため、空間発生を待っていた
冥王様は空間を操れるが私達にはその能力がないのだ

そしてその間、向こう側にいる「彼ら」がどういう状況なのかを知るためにそれぞれで探りを入れていた

そして、月からある情報を得た
碧月を追っていった女の詳細だ

どうもただの人間じゃないらしい、私達は彼女に関わりがある村に向かっていた


木「……廃村か…?」

光「…………」


無限とも思える樹海を抜け、小さな村にたどり着く
恐らくここだ


木「…おい、霧でよく見えないけど、あれ人じゃないか?」

光「………声をかけてみよう」

木「出来るだけ人間っぽく接しろよ」


人影に近づいていく


光「すいません、この人を……」


写真を見せようとしたその時
違和感を感じ、ポケットから目を離し、その人影を見る


光「……これ、人じゃない」

光「彫刻………?」


赤色の透き通った人型の岩のようなものだった


木「気味悪いな………、帰るか?」

光「いや……何かある気がする」


その時だった


?「……あんたら……何者だ」


後ろから声をかけられる
振り向くとそこには老婆の姿があった


光「……初めまして、私達はこの方について調べてるのですが、この村の出身と聞きました」

老婆「………なるほどな、とりあえず家に来なされ。ここらは獣がいて危ない」


老婆の家で話を続けることになった


光「話の続きなのですが、この方についてご存知なのですか?」

老婆「……それは私の孫じゃ」

光「そうだったんですね」

老婆「それで、他に聞きたいことは?」

光「……変な話なのですが、彼女、何か変わったことって出来たりするんですか?」


少しの静寂のあと、老婆が口を開く


老婆「………やはりその話か」

光「………」

老婆「話してもいいだろう……あんたらみたいなとてつもない雰囲気の者がここまで来るということは、何か起きているのだろう……。ただし、このことは孫には絶対に言うな」







老婆「まず、私達の一族の話をしなくてはならない。私達は「血操族」と言ってな、血を自由自在に結晶化させることが出来る。その能力を利用し、狩りを行い生き延びてきた」

老婆「ただ、はるか昔はそんな能力なんて無かったのだ。そんなある日、敵対しているもう一つの一族に襲われてな……。やつらは特殊な武術を修得していたのだが、その頃の血操族には何の能力もなく、皆殺しの目にあった」

老婆「辛うじて生き残った数人の一族の青年は邪神に出会う。そしてこう願ったという」


「我ら一族に彼らに対抗できる力を、みんなを守れる力を下さい」


老婆「すると邪神はこう答えた」


「私の夫になるのなら応えましょう」


老婆「そして契約は成立した。その「対抗できる力」が血操の力だ」




老婆「しかし、その特殊な能力ゆえに、次は様々な種族から狩られてしまってな……」

老婆「外に赤い人形があっただろう。私達は死ぬとああなるんだ」

老婆「美しい色じゃろう………」



老婆「そして、その数人の生き延びた血操族は小さな村を作り上げた。それがここじゃ」




光「………それって大昔の話ですよね。彼女はどうしてこの村を………?」


老婆「……私が逃がしたのだ」

木「まさか…」

老婆「そうじゃ、また襲撃されたのだ……。沢山の人が死んだ」

老婆「私はまだ幼い息子を逃がし、隠れていた」

老婆「本当は一緒に逃げたかった…いや、この村から出て欲しくはなかった」

老婆「息子には力のことは一切話しておらん。血操が出来ないようにな……」



老婆「だから孫にもこのことは話さないでくれ……。自傷の痛みが消えるわけでもなく、痕も残る……」


光「……わかりました」




老婆「……あんたらに、頼みがある」

光「何ですか?」

老婆「私はもう時期死ぬ。あんたが持っているその刀で、私の腕をもいでくれ……」

光「……!?」

老婆「頼む」

光「……わかりました」


私は頼まれた通り、腕を切り落とした


老婆「ぐあぁっ……」


すると、切り落とした腕は短刀の姿で結晶化した


老婆「………ありがとう、頼んだよ」


そういうと家から出ていってしまった


木「あんなに出血してるというのにどこへ……?」

光「結晶化させないところを見ると、死を悟ったな……」





木「……行こう」

光「……ああ」


扉を開けると、さっきの人形の隣にもう一つの人形が出来ていた

よく見るとどちらとも指輪をしていた




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