命の残響

ふみゅうひぅ

第19話 嬌声と狂声

僕「…………」

僕「……あんた、何者だ」

狂気「うふふ……ふふ」

僕「あの時、あの女から僅かに感じた恐怖、お前だな……」

僕「あの女に取り憑いたのか?」

狂気「違うわ………」


狂気「私は「私」。愛でもあり、狂気でもあり、異常でもあり、本能でもある………」

僕「僕達をどうするつもりだ…!!喰い殺すのか!?」

狂気「ええ、「喰らう」わ」


口付けをされる


僕「!!?」

狂気「あなたもあの子……愛してるわ……」

僕「な、何を……」


局部を触られる


僕「ひゃっ……」

狂気「……最初はあなたが嫌いだった。人間としての彼を殺そうとするから」

狂気「でもね……あなたも彼……その事も彼なのよね………」

狂気「それに、あなたという、内面彼の中にいる彼……、あなたなら誰にも見られず、色んなことが出来る……ありがとう……」

僕「やっ………やめて………、ごめんなさい……」

狂気「うふふ……かわいい………」

狂気「いつか「私」にもやらせてあげたいわ、こんなこと」

僕「ぼ、僕に手を出すな…!!」


こいつ………人間リミッターなんて甘っちょろいもんじゃない……!
僕達を丸呑みするつもりだ……!!

なんて女………

もう、だめ……


とろけそう………


狂気「ほらほら、素直に彼と仲良くしなさい……そしたらもっとスゴいコト、してあげる……」

僕「あっ……あ……」


いや、違う

この人は………!


僕「………お姉さん」

狂気「え……」

僕「……もう少し、待ってよ」

狂気「あなた………」

僕「全部……分かったから…お姉さんの気持ち」

狂気「………」

僕「頑張って美味しい果実になるから、熟すのを待ってね」

狂気「………ふふ」


僕「……僕は、いないといけないんだ」

僕「さっきみたいに、守らないといけないんだ」

狂気「……やっぱりあなただったのね」

僕「僕は黯。それも王族の強力な力。人間の血が混じり、汚れちゃったけど…」

僕「お姉さんを感じたら、なんだか逆に強くなるような気がしてきたよ」


僕「これが………人の強さなんだね……。好きな人のために、自分を狂人にしてでも守るなんてさ……」


狂気「………ありがとう」

狂気「でも、ごめんね」

僕「……え?」


狂気「…素直になってくれたあなたを見たら、味見したくなったわ……!」

僕「お……お姉さん……そんなに我慢してたの……?」


声が震える……


狂気「…あは」

狂気「あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは」


こ、この人、ヤバい……

に、逃げなくちゃ……!!

僕でもある僕が、今ここで襲われたら……


下手したら僕が淫らな子に育ってしまう……!



狂気「逃げ場なんてないのは君が1番よく知ってるでしょお?大人しく横になりなさいぃぃぃ!」


恐怖で涙が出てくる

なんでこんなことになってしまったのだ
どっちかって言うと僕の方が狂気的なはずなのに……
そんな僕を凌駕するあの狂気……


あのお姉さん、変態だよ、僕!!


頭を使うんだ、僕……


僕「…………グスンッ」

狂気「………え?」

狂気「え?え?泣いちゃった……!」

狂気「ご、ごめん!そんなに嫌だった!?」


いや、嫌というか怖い
……だめだ、堪えろ……自分…


僕「……お姉さん……僕を旦那さんにするつもりでしょ……?」

狂気「ま、まあ………」

僕「もう少し……待ってよ………、僕達、まだデートもしてないよ………?」

狂気「………」

僕「お姉さんとの時間、ちゃんと楽しみたいな………」

狂気「君………」

僕「焦らなくても、僕はお姉さんの傍にいるよ。だから少しずつ味わってください……」

狂気「…………」


よし、我ながら素晴らしい宥め方だ……


狂気「…ごめん、私……あなたの気持ちを無視して………」




狂気「ごめんなさいっ!!」

僕「うぶっ!?」


物凄い力で抱きしめられる



碧月「すー……すー……」

お姉さん「碧月くん………お姉さんが守ってあげるから………。おやすみ……」

ギュッ

碧月「ん………」





僕「お……ね……しゃん……ぐるじぃ……」

狂気「ごめんね?もう怖がらせたりしないからね?だからキスぐらいしてね?ね?」

僕「じ…ぬ……」

だめだこの人

恐怖の塊だ



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