巨乳だらけの世界で、貧乳求め旅をする。

風切切羽

ノー貧乳、ノーライフ

「やっぱりね、貧乳こそが至高だと思うんだ。
あの膨らみかけっていうか、慎ましやかって言うか、夢があるって言うか、もう世界中貧乳になればいいのにと思うくらいだよ」
そう言って、僕、土田海斗は、熱く友人に語っていた。友人達は、あっそー、お前犯罪だけは犯すなよ、などと、反応も薄く犯罪者扱いされる事まである。大きくついた胸の脂肪の何がいいのかわからない、と、この世の巨乳好きを敵に回すようなことを考えながら、今日も学校で授業を受けていた。高校二年生となり、貧乳に全てを捧げかねないこの男は、青春と呼ばれるであろう時期を、ほぼ無駄にしながら過ごしていた。クラスでは、ロリコンと呼ばれている。貧乳とロリは違う!と叫び出したい程だが、そんな勇気は無い。言われるがままである。
「貧乳しかいないような世界ないかなぁ。」
などと、どうしようもないことを呟きながら今日も学校から帰る。
多分明日も同じようなことを呟きながら帰宅するのだと思うと、悲しくなってくる。
「なんで巨乳なんて作ったんだ、この世界の神様とやらは。」
と、呟いた途端、
「なんだとこのやろう!聞いてりゃ好き勝手言いやがって!」
と、頭の中に直接声が聞こえてきた。
「なっ、だ、だれだ!」
と、後ろを見ても誰もいない。あるのは今通ってきた道だけである。
しかし、声は止まらない。
「おまえ巨乳はあの包容力っていうか、隠れ見える谷間とか、服を着た時のあの押し上げるような主張とか、最高だろうが!」
つい言い返したくなったが、それを口にする前にその謎の声は言った。
「もう許さねぇ、てめーを巨乳しかいない世界に強制的に転生させてやるよ!」
と、言うと足下に魔法陣のようなものが現れた。
「巨乳の素晴らしさを知れ!」
の一声と共に、僕の意識は、闇の中へと吸い込まれていった。
どれくらいの間眠っていたのかもわからない。
体の節々が痛んだ。強制転生の負荷だろうか?
しかし、僕は頭の方に柔らかな感触があることに気がついた。深く沈み込むように包まれているような感覚だった。見上げた先にはどこまでも澄み渡る青い空が広がっていた。
「まじで異世界に来たの?」
取り敢えず、周りを確認しようと立ち上がろうと手をついて立ち上がろうとすると。
むにゅん

ん?


柔らかい?



むにゅんむにゅん


これは......


「いっっ?!?!?!?」

「へ、」
「変態ぃぃぃい」
と言う叫びを聞いたと思った瞬間、
強烈な平手打ちを喰らい、吹き飛ばされた。
手の下にあったのは、女性についている、二つのたわわな果実。
そう。
僕は女性達の上に倒れ込んでいた。
そしてその女性達は一つの共通点があった。
それは、

巨乳しかいない。

悲報、貧乳好きの変態、巨乳しかいない世界に転生させられたようです。

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