徒然なるままに

嘉禄(かろく)

Post mortem birthday



「…よし、出来た」


俺は目の前にある、完成したばかりのホールのチョコレートケーキを見つめる。
プレートには『1歳おめでとう』と書いておいた、我ながらいい出来だ。


「…そうだ、蝋燭買ったんだっけ。さしてやろう。」


小袋から水色の蝋燭を選んで真ん中にさす。
こう見ると本当に真っ当な誕生日ケーキだ。


「…誕生日おめでとう、今日はお前が死んでから1年だ。だから、1歳おめでとう…喜んでくれてるかな」


1年前の今日、ちょうどあいつの誕生日…あいつは事故で死んだ。
双子でもないけど、生まれた時から一緒にいて一緒に育って同じ景色を一緒に見た。
体も心も魂も、全てを預け預かる関係性だった。

ふと思いついて蝋燭に火をつける。
少し煙が上がるのを見つめ、その煙がお前のところまで届くといいなと思った。

すると、突然吹かれたように火が揺らいで消えた。
俺は少し驚いたけど苦笑した。


「…なんだ、いるのかよ」


そっか、死んでも俺の隣にいてくれるんだな…。
1人の誕生日だと思ったけど、そうでも無いらしい。
あいつの笑顔が見えた気がして、俺も笑い返した。

お前が喜んでくれるなら、これからも祝おうと決めた。
俺がそっちに行く、その日までは祝ってやるよ。

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