徒然なるままに

嘉禄(かろく)

Marigold



「…未来が見える。
君によく似た人が花畑の真ん中に立っている…これは、マリーゴールド。
とてもとても綺麗な花だ。」


君は別れ際に僕の手を取ってそう言った。
僕は素直に別れの言葉が言えなくて、ぶっきらぼうに返してしまった。


「…花は嫌いだ。
それに、そんな予知はいらない。
君は僕と生きるんだ。」


ぶっきらぼうなのは、本心を隠すため。
行かないで、一人にしないでなんて子供じみたことなんて言えるはずもなかった。

それを聞いた君は、悲しげに微笑みながら左右に首を振った。


「…無理なんだ、これは君が生きるためなんだ…××、君は逃げて。」


そう言って君は走り去っていった。
すぐに君ではない声が聞こえて、僕は慌ててその場から離れた。


それから数年後、僕は花畑に足を向けた。
満開のマリーゴールドが僕の周りで一心に太陽の恩恵を受けている。


「…君の予言はよく当たる。
君の言った通りになった、きっと満足げに笑ってるんだろう?
…マリーゴールド、花言葉は愛情と悲しみ…これは君から僕への言葉だろうか、それとも…」


そこで僕は口を噤んでマリーゴールドを背に歩き出した。


マリーゴールド、それは僕たちを表す花だと信じて。

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