感じるのは快楽だけ

白鹿

興味の快楽


犯人が部屋を出て行ってから15分くらいだろうか。
 
 
もしかして怒らせてしまっただろうかと不安になっていたとき、トレーにまた何かを乗せて部屋に入ってきた。
 
 
『待たせて悪いな。これあったかい緑茶だ。』
 
 
と言ってトレーをベッドの上に置いた。
 
『こぼれると危ないから動くなよ。すぐに机持ってくるから。』
 
 
と言ってもう一度出て行き机といすを運んできた。
 
 
そしてベッドの上のトレーを持ち上げ机の上に置いた。
 
いすは一脚しかない。
 
『悪いがベッドに腰かけて飲んでくれ。』
 
 
そう言い持ってきた椅子に腰かける。
 
そうしている間も足につながれた鎖が音を立てた。
 
 
飲んでいいぞというように手で示している。
 
 
じっとしている訳にもいかず、ベッドのふちに腰かけコップを手にする。
 
カップは温かかった。
 
 
犯人がコップに口付けてから俺も口をつけた。
 
あたたかいものが喉からおなかの中に落ちていく。
 
 
『それで、質問は何でここにいるかだったよな。』
 
 
犯人はコップを机の上に置きこちらに視線を寄せる。
 
 
先ほどから驚きっぱなしだ。
 
犯人と向き合ってお茶を飲むなんて想像もしないことだった。
 
雰囲気から察するに怒っているということはないようだ。
 
 
「はい。」
 
コップを机の上に置き犯人の顔を見つめる。
 
 
 
恐怖と期待で胸が膨らむ
 
 
 
『あまり詳しいことは言えないが、おまえは厄介な人間に目をつけらみたいだ。
俺はそいつに依頼を受けて、お前をここに置いている。』
 
 
どういうことかよくわからない。
 
 
厄介な人間?
 
目をつけられた?
 
 
どういう意味だろう。恨みを買ったということだろうか。
 
 
だからここに監禁されているのだろうか。復讐のため?
 
 
 
それに依頼を受けたとはどういうことだ?
 
 
この男が今までしたことは人に頼まれて、仕事として行っていたのか。
 
混乱する。
 
 
「俺はこれからどうなるんですか?」
 
 
気づくと口に出ていた。
 
一番の疑問だった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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