神の代理人
冥い道上で
 冥い闇の中、歩を進める。右も左も…前も後ろも分からない。進んでいるかもしれないし、戻っているのかもしれない。
どちらにせよ、この冥い闇の中をただひたすらに歩いていた。
 気の遠くなるような時間が過ぎた。しかし、不思議と疲れは溜まらない。身体が軽い。羽でも生えているようだ……。まるで死んでしまった様な感覚。しかしながら俺には死んだ記憶も死にそうになっていた記憶もない。
「……。ここは一体…。」
 気がつけばここに居て。気がつけば闇雲に歩いていた。なにかに導かれるわけでもなく、何かを目指すわけでもなく。
「ねぇ。もうそろそろいいと思うよ。彼等も諦めたみたいだし」
 不意に女の子の声がした。辺りは完全な闇に包まれているため、どこから発せられたか音を辿る。
「おいおい、そんなに驚かないでくれよ。傷つくよ私。」
「誰だ?何処にいる?」
「私はヘカテ。君の隣にいるよ。」
「なっ」
 左どなりに人の気配を感じ、身構えるとそこには綺麗な白い髪をした紅い瞳の女の子が優雅に佇んでいた。
「やぁ、どうも。」
「……。何者だ?それとここは何処だ?」
「んー。君は質問が多いねぇ。ここは冥界。私はその主。神様ってやつさ」
「……お前が?」
「そうだとも。」
 高校生のような出で立ちをした少女は胸を逸らすと偉そうに笑った。
「俺は死んだのか?」
「……?記憶……。無いの?」
「あぁ。」
「えぇ!?そんなぁ……。せっかく苦労してここまで連れてきたのに……。」
「連れてきた?どういう事だ?」
「あぁ…あいつか……。あいつのせいか……。」
「あいつ?」
「気にしないで。君の世界の神様達が非常に煩かったもんだからさ。」
「へぇ。ならなんで俺を連れてきたんだ?」
「んーと……話せば長くなるんだけど平気?」
「どうせやる事が無いからな話してくれ。」
 じゃあ。とヘカテは語りだした。
 昔昔…遠い昔。神界にはそれぞれの眷属を抱えた神様達がいました。
 神様達は万能神と呼ばれる一番偉い神様が創った世界の管理を任され、眷属たちを住まわせました。
 しかし、ある時万能神が『そろそろ次代の神が生まれてもいい頃合いだ。各々候補を探し、推薦せよ』と言いました。
 神様達は自分の眷属で1番力のある子を神子として加護を与え、競わせました。
「と、言う訳さ。私はあまり興味が無かったんだけど、万能神側はそうではなかったみたいで、眷属作って参加しろって煩くて」
「つまり、神々の代理戦争を子分にやらせる上で参加条件を満たす為に俺を無理やり連れてきたということか?」
「そう捉えてもらって構わない。」
「……はぁ。一体何種いるんだよ……」
「えーっと」
 指を折り、数え始めた冥界の女神を手で制し、聞こえないように耳を塞いだ。 
「総数は48億くらいで、神々は私を含めて13柱だね」
「神様一人あたり4億の眷属かよ」
「凄いよね〜。」
「何故俺を選んだ?」
「内緒。まぁ参加さえできれば私はそれでいいから。」
「勝利条件は?」
「12人の神子の殺害。」
「なるほどな。」
「言っとくけど超難しいからね。どの種族もトップクラスが護衛についてるし。神子自体神々の加護がついてる。それに…邪神だっているし……。」
「魔法や集団戦、はたまた戦争。何でもござれってことかよ面白いな。」
「……君、変わってるね。」
「お前にだけは言われたくない。」
「まぁ、頑張って。私も力を少し貸してあげる。」
 流れるような動作で空中に複雑怪奇な印を刻む。青白い稲妻のようなその文字はヘカテが綴るのを止めた途端。地面に大きな穴を開ける。
「それじゃあエントリーしようか。私達の神話戦争に。」
「あぁ。」
 成り行き…というか酷く流されてしまったが。今更どうこうできるはずもなく。12人の殺害……。
 その言葉の重みに潰されそうになっていた。
どちらにせよ、この冥い闇の中をただひたすらに歩いていた。
 気の遠くなるような時間が過ぎた。しかし、不思議と疲れは溜まらない。身体が軽い。羽でも生えているようだ……。まるで死んでしまった様な感覚。しかしながら俺には死んだ記憶も死にそうになっていた記憶もない。
「……。ここは一体…。」
 気がつけばここに居て。気がつけば闇雲に歩いていた。なにかに導かれるわけでもなく、何かを目指すわけでもなく。
「ねぇ。もうそろそろいいと思うよ。彼等も諦めたみたいだし」
 不意に女の子の声がした。辺りは完全な闇に包まれているため、どこから発せられたか音を辿る。
「おいおい、そんなに驚かないでくれよ。傷つくよ私。」
「誰だ?何処にいる?」
「私はヘカテ。君の隣にいるよ。」
「なっ」
 左どなりに人の気配を感じ、身構えるとそこには綺麗な白い髪をした紅い瞳の女の子が優雅に佇んでいた。
「やぁ、どうも。」
「……。何者だ?それとここは何処だ?」
「んー。君は質問が多いねぇ。ここは冥界。私はその主。神様ってやつさ」
「……お前が?」
「そうだとも。」
 高校生のような出で立ちをした少女は胸を逸らすと偉そうに笑った。
「俺は死んだのか?」
「……?記憶……。無いの?」
「あぁ。」
「えぇ!?そんなぁ……。せっかく苦労してここまで連れてきたのに……。」
「連れてきた?どういう事だ?」
「あぁ…あいつか……。あいつのせいか……。」
「あいつ?」
「気にしないで。君の世界の神様達が非常に煩かったもんだからさ。」
「へぇ。ならなんで俺を連れてきたんだ?」
「んーと……話せば長くなるんだけど平気?」
「どうせやる事が無いからな話してくれ。」
 じゃあ。とヘカテは語りだした。
 昔昔…遠い昔。神界にはそれぞれの眷属を抱えた神様達がいました。
 神様達は万能神と呼ばれる一番偉い神様が創った世界の管理を任され、眷属たちを住まわせました。
 しかし、ある時万能神が『そろそろ次代の神が生まれてもいい頃合いだ。各々候補を探し、推薦せよ』と言いました。
 神様達は自分の眷属で1番力のある子を神子として加護を与え、競わせました。
「と、言う訳さ。私はあまり興味が無かったんだけど、万能神側はそうではなかったみたいで、眷属作って参加しろって煩くて」
「つまり、神々の代理戦争を子分にやらせる上で参加条件を満たす為に俺を無理やり連れてきたということか?」
「そう捉えてもらって構わない。」
「……はぁ。一体何種いるんだよ……」
「えーっと」
 指を折り、数え始めた冥界の女神を手で制し、聞こえないように耳を塞いだ。 
「総数は48億くらいで、神々は私を含めて13柱だね」
「神様一人あたり4億の眷属かよ」
「凄いよね〜。」
「何故俺を選んだ?」
「内緒。まぁ参加さえできれば私はそれでいいから。」
「勝利条件は?」
「12人の神子の殺害。」
「なるほどな。」
「言っとくけど超難しいからね。どの種族もトップクラスが護衛についてるし。神子自体神々の加護がついてる。それに…邪神だっているし……。」
「魔法や集団戦、はたまた戦争。何でもござれってことかよ面白いな。」
「……君、変わってるね。」
「お前にだけは言われたくない。」
「まぁ、頑張って。私も力を少し貸してあげる。」
 流れるような動作で空中に複雑怪奇な印を刻む。青白い稲妻のようなその文字はヘカテが綴るのを止めた途端。地面に大きな穴を開ける。
「それじゃあエントリーしようか。私達の神話戦争に。」
「あぁ。」
 成り行き…というか酷く流されてしまったが。今更どうこうできるはずもなく。12人の殺害……。
 その言葉の重みに潰されそうになっていた。
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