異世界転移したら勇者になったんだが?
記憶喪失②
数十分すると、街は完全に元の姿を取り戻していた。
「さてと! それじゃあ、あの女の人を起こそうか!」
「そうだね! この人は何か知ってそうだもんね」
「ぐっすり眠ってますねー、すぐには起きそうにないですよ」
「んー、それじゃあ...」
ソウタが「ニヤリ」となにか悪いことを思いついたような顔をした。ソウタがこの顔をしたということは、おもしろい悪戯を思いついたということだ。
「この人の記憶を探っちゃおーっと!」
「え?」
ソウタはそう言ってシルの頭に手を置いて目を瞑った。創造魔法を使うためにイメージしてるんだろう。
「──Exploring THE Memoryッ!」
ソウタが唱えた瞬間、シルは緑色のオーラに包まれた。
「うん! 上手くいったみたいだね!」
「い、今、何をしたんですか!? というよりもなんて言ったんですか!?」
「《エクスプローリングザメモリー》って言ったんだよ! この人は色々なことを知ってそうだったから記憶を探っただけだよ!」
「...ん、ん~...ふぅ...誰かに記憶を探られるのはあまりいい気分がしないわね」
シルが眠そうに伸びをしてから、ソウタの方を見た。その目はまだ眠そうにしている。
「あ、ごめんね? 起こしちゃったね」
「別にいいわよ。私にできることならなんでもするわ」
「ホント!? じゃあなにしてもらおっかなぁ」
「...できればHなことはお願いしないでほしいわ」
「ソウタ! そんなことお願いしたらダメなんだからね!」
「そうです! 会って間もない人にいかがわしいことをしてはダメなんですからね!」
「え? なにそれ?」
ソウタがキョトンとした顔でみんなのことを見ている。
「あっ...」
「そういえば...」
ソウタの顔を見てセリスとメイは気づいた。それは、
「「今ソウタって子供じゃん(でしたね)!」」
「どういうことなのっ!」
今のソウタは純粋な子供、ということはそういう知識がなくてもおかしいことじゃないよね。いくら天才だといってもこの年齢では興味がないだろうし...
セリスが一人で考えているとき、ソウタはメイとシルに先ほどのことを聞いていた。
「メイ! シル! Hなことってなに!? 教えてよ!」
「だ、ダメですよ! ソウタさんはまだ子供なんですから!」
「そうだわ、お子様にはまだ早いわよ」
「...じゃあなんでさっき、『Hなことはお願いしないでほしい』って言ったの?」
「それは...言葉の綾というやつだわ」
「これが、『言葉の綾』。今度僕も使ってみよーっと!」
「「ふぅ」」
メイとシルは可能な限り今の純粋なソウタに、そういうことを教えたくなかった。教えてしまうと綺麗なソウタを汚してしまうからだ。なので、ソウタが他の事に興味を示してくれたのでホッと息をついた。
と、落ち着いた途端、
「それでさっきの事なんだけど...」
「そうです! シルさんの記憶を探ったんですよね!? 記憶を取り戻す手段はわかりましたか!?」
「え? あぁ、そういえばそうだったね! もちろんわかったよ!」
「記憶を探っただけでわかっちゃうなんてね、本当にすごい子だわ。...私の記憶を探ってわかったことはそれだけじゃないわよね?」
「どういうことですか?」
「それはねー...」
「私が自分で言うわ。簡単に言うと私はまたゲイネスに乗っ取られるわ」
「え!? ソウタさんが倒したんじゃなかったんですか!?」
「坊やが斬りかかった瞬間に逃げたのよ。でもまぁ、あいつの魂に少しだけ傷をつけることができていたからすぐには乗っ取りにこないはずよ」
「さすが五年後の僕だね! この刀も自分で造ったみたいだし、さすが天才の僕だね!」
「そう! それ! それだよ!」
「えーっと...どれ?」
私はソウタが自分のことを''天才''と言っていたのが聞こえたので考え事をしていたのをやめ、ソウタに詰め寄った。
「ソウタは自分のことを天才だって自慢するような人じゃなかったもん! それに魔法だって戦闘以外ではほとんど使わなかったし、この世界にも興味がなさそうだったもん! なのになんで今のソウタは誰かのために魔法を使ったり、警戒心とか殺気がゼロなの!?」
「なんでって言われてもなぁ。うーん、そうだねぇ...魔法を使うのはただの好奇心だし誰かのために魔法を使った覚えもないしなぁ。ていうかこの世界に興味がなかったの僕って!? 」
「全然興味なさそうだったし本人が自分で言ってたよ。メイも知ってるよね?」
「はい! でもなんやかんやこの世界の人のことを助けてますけどね!」
「へぇー、もっと五年後の僕のことを聞かせて!」
それから十分ぐらい私はソウタの知っていることを話した。すると、ソウタは何かを考えるように顎においた。
「何を考えているの?」
「なんで僕がそんな悪者っぽい言動になったのか考えてるの。何か聞いてない?」
「えーっと...」
「何か聞いてるんだね!」
「わっ!」
ガッ!っと肩をつかんできたので驚きながらソウタの顔を見ると、その目はキラキラ輝いていた。
そんな目で見てくるのはずるい...そんな目で見られたら断れないじゃん!
「今から話すことは記憶を失う前のソウタが話してくれたことだからね? 信じるかどうかは今のソウタ次第だよ?」
「うん!」
ソウタが元気よく頷いたのを確認して、私は記憶をなくす前のソウタから聞いたことを話した。
~~~~~~~~~~~~~~~~
話し終えるとソウタはまた何かを考えるように顎に手をおいて黙り込んでしまった。
その間、ソウタと一緒に話を聞いていたメイとシルとソウタについて話をする。
「ソウタさんって辛いことがあったんですね...」
「あの坊やってその辛いことがあったからこそ、あんなに男らしくなったのね」
「でも下手したらソウタは自殺をしてたかも...」
私も同じような目にあったことがあるからそのときのソウタの気持ちがなんとなくわかった。だけど、ソウタの心はたぶん誰よりも強いと思う。それとも...
セリスの考えがまとまりそうになった時、ソウタが大きな声で「あっ!」と言い出した。
「な、なに!?」
「どうしたんですか!?」
「やっとわかったんだ! セリスの話を聞いて、なんで僕はそのままやられたままじゃなくてやり返したのか!」
「へぇー、教えてくれるかしら?」
「うん! それはね...」
ソウタが焦らすように溜める。そしてとびきりの笑顔で言った。
「僕は天才でしょ? だから、まずはなんで僕がいじめられるかを考えたと思うんだ! でもたぶん原因がわからなかったんだと思う、それで殴られるままの僕の心は限界を迎えて、もう殴られたり舐められないようにするために、凶変したんだ! まぁしょうがないよねー、いじめてくる方が悪いんだし!」
そう言ったソウタはできないことがやっとできた子供のように満足げに笑っていた。
「さてと! それじゃあ、あの女の人を起こそうか!」
「そうだね! この人は何か知ってそうだもんね」
「ぐっすり眠ってますねー、すぐには起きそうにないですよ」
「んー、それじゃあ...」
ソウタが「ニヤリ」となにか悪いことを思いついたような顔をした。ソウタがこの顔をしたということは、おもしろい悪戯を思いついたということだ。
「この人の記憶を探っちゃおーっと!」
「え?」
ソウタはそう言ってシルの頭に手を置いて目を瞑った。創造魔法を使うためにイメージしてるんだろう。
「──Exploring THE Memoryッ!」
ソウタが唱えた瞬間、シルは緑色のオーラに包まれた。
「うん! 上手くいったみたいだね!」
「い、今、何をしたんですか!? というよりもなんて言ったんですか!?」
「《エクスプローリングザメモリー》って言ったんだよ! この人は色々なことを知ってそうだったから記憶を探っただけだよ!」
「...ん、ん~...ふぅ...誰かに記憶を探られるのはあまりいい気分がしないわね」
シルが眠そうに伸びをしてから、ソウタの方を見た。その目はまだ眠そうにしている。
「あ、ごめんね? 起こしちゃったね」
「別にいいわよ。私にできることならなんでもするわ」
「ホント!? じゃあなにしてもらおっかなぁ」
「...できればHなことはお願いしないでほしいわ」
「ソウタ! そんなことお願いしたらダメなんだからね!」
「そうです! 会って間もない人にいかがわしいことをしてはダメなんですからね!」
「え? なにそれ?」
ソウタがキョトンとした顔でみんなのことを見ている。
「あっ...」
「そういえば...」
ソウタの顔を見てセリスとメイは気づいた。それは、
「「今ソウタって子供じゃん(でしたね)!」」
「どういうことなのっ!」
今のソウタは純粋な子供、ということはそういう知識がなくてもおかしいことじゃないよね。いくら天才だといってもこの年齢では興味がないだろうし...
セリスが一人で考えているとき、ソウタはメイとシルに先ほどのことを聞いていた。
「メイ! シル! Hなことってなに!? 教えてよ!」
「だ、ダメですよ! ソウタさんはまだ子供なんですから!」
「そうだわ、お子様にはまだ早いわよ」
「...じゃあなんでさっき、『Hなことはお願いしないでほしい』って言ったの?」
「それは...言葉の綾というやつだわ」
「これが、『言葉の綾』。今度僕も使ってみよーっと!」
「「ふぅ」」
メイとシルは可能な限り今の純粋なソウタに、そういうことを教えたくなかった。教えてしまうと綺麗なソウタを汚してしまうからだ。なので、ソウタが他の事に興味を示してくれたのでホッと息をついた。
と、落ち着いた途端、
「それでさっきの事なんだけど...」
「そうです! シルさんの記憶を探ったんですよね!? 記憶を取り戻す手段はわかりましたか!?」
「え? あぁ、そういえばそうだったね! もちろんわかったよ!」
「記憶を探っただけでわかっちゃうなんてね、本当にすごい子だわ。...私の記憶を探ってわかったことはそれだけじゃないわよね?」
「どういうことですか?」
「それはねー...」
「私が自分で言うわ。簡単に言うと私はまたゲイネスに乗っ取られるわ」
「え!? ソウタさんが倒したんじゃなかったんですか!?」
「坊やが斬りかかった瞬間に逃げたのよ。でもまぁ、あいつの魂に少しだけ傷をつけることができていたからすぐには乗っ取りにこないはずよ」
「さすが五年後の僕だね! この刀も自分で造ったみたいだし、さすが天才の僕だね!」
「そう! それ! それだよ!」
「えーっと...どれ?」
私はソウタが自分のことを''天才''と言っていたのが聞こえたので考え事をしていたのをやめ、ソウタに詰め寄った。
「ソウタは自分のことを天才だって自慢するような人じゃなかったもん! それに魔法だって戦闘以外ではほとんど使わなかったし、この世界にも興味がなさそうだったもん! なのになんで今のソウタは誰かのために魔法を使ったり、警戒心とか殺気がゼロなの!?」
「なんでって言われてもなぁ。うーん、そうだねぇ...魔法を使うのはただの好奇心だし誰かのために魔法を使った覚えもないしなぁ。ていうかこの世界に興味がなかったの僕って!? 」
「全然興味なさそうだったし本人が自分で言ってたよ。メイも知ってるよね?」
「はい! でもなんやかんやこの世界の人のことを助けてますけどね!」
「へぇー、もっと五年後の僕のことを聞かせて!」
それから十分ぐらい私はソウタの知っていることを話した。すると、ソウタは何かを考えるように顎においた。
「何を考えているの?」
「なんで僕がそんな悪者っぽい言動になったのか考えてるの。何か聞いてない?」
「えーっと...」
「何か聞いてるんだね!」
「わっ!」
ガッ!っと肩をつかんできたので驚きながらソウタの顔を見ると、その目はキラキラ輝いていた。
そんな目で見てくるのはずるい...そんな目で見られたら断れないじゃん!
「今から話すことは記憶を失う前のソウタが話してくれたことだからね? 信じるかどうかは今のソウタ次第だよ?」
「うん!」
ソウタが元気よく頷いたのを確認して、私は記憶をなくす前のソウタから聞いたことを話した。
~~~~~~~~~~~~~~~~
話し終えるとソウタはまた何かを考えるように顎に手をおいて黙り込んでしまった。
その間、ソウタと一緒に話を聞いていたメイとシルとソウタについて話をする。
「ソウタさんって辛いことがあったんですね...」
「あの坊やってその辛いことがあったからこそ、あんなに男らしくなったのね」
「でも下手したらソウタは自殺をしてたかも...」
私も同じような目にあったことがあるからそのときのソウタの気持ちがなんとなくわかった。だけど、ソウタの心はたぶん誰よりも強いと思う。それとも...
セリスの考えがまとまりそうになった時、ソウタが大きな声で「あっ!」と言い出した。
「な、なに!?」
「どうしたんですか!?」
「やっとわかったんだ! セリスの話を聞いて、なんで僕はそのままやられたままじゃなくてやり返したのか!」
「へぇー、教えてくれるかしら?」
「うん! それはね...」
ソウタが焦らすように溜める。そしてとびきりの笑顔で言った。
「僕は天才でしょ? だから、まずはなんで僕がいじめられるかを考えたと思うんだ! でもたぶん原因がわからなかったんだと思う、それで殴られるままの僕の心は限界を迎えて、もう殴られたり舐められないようにするために、凶変したんだ! まぁしょうがないよねー、いじめてくる方が悪いんだし!」
そう言ったソウタはできないことがやっとできた子供のように満足げに笑っていた。
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