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セミになりたい少女と内気な僕

ノベルバユーザー173668

外の世界へ

僕が、セミちゃんの病室に入ると、セミちゃんが、
「どうしたの。顔真っ青だよ。」
と言った。僕は、
「何でもない。」
セミちゃんは、僕のことを心配してくれている様だ。しばらく、無言が続く、すると、セミちゃんが口を開いた。
「昨日は変なこと言ってごめんね。私はあなたの迷惑になることを考えていなかった。あれは、ただの私のわがままだったの。」
と言ってきた。僕は、覚悟を決めて、無理やり笑顔を作っていた。
「よし、外の世界にいくぞ。」
と言った。セミちゃんは、驚いた顔をしている。
「でも、そんなこと、したらあなたが…。」
僕は、
「そんなこと、気にしなくていい。さあいくぞ。」
 そんなことをしたら、どうなるか僕でも分かっている。カウンセリングがくびになるどころか、良くて誘拐犯、多分殺人犯になるだろう。僕は、セミちゃんをお姫様だっこをして、裏口から出っていた。
セミちゃんが、
「早く、戻ろう。そんなことしたら先生が。」
僕は、
「気にしないで。これは僕が自分の意思でやったことがから。」
 僕の目を見て、セミちゃんが、
「やっぱり、似ている。」
と呟いた。僕は、
「誰に?」
と言った。すると、セミちゃんが、
「秘密。」
と笑顔で言った。セミちゃんは、
「先生が私を連れていったことで、罪に問われたら、私が絶対に守るから。」
と言った。何とか、セミちゃんは、納得して受け入れてくれたようだ。
 僕は、セミちゃんの服を見た。病室の部屋着だ。女の子だから、おしゃれもしたいよな。まず、セミちゃんの服を買ってあげることにした。
 「いらっしゃいませ~。」
僕たちは服屋に入った。カッコつけっていい店に入ったが、思っている以上に高くて驚いた。やばい足りるかな、店を出ようかと思ったが、服を憧れの眼差しで見るセミちゃんを見るとそんなことできない。僕は、服のセンスがないので、セミちゃんと店員のお姉さんに頼むことにした。
セミちゃんは結局、ピンクのワンピースと服を買った。とても似合っている。お姉さんから金額を聞いたとき心臓が止まりそうになった。給料の40%だった。しかし、そんなセミちゃんを見ていると、そんな思いも吹き飛んだ。とても嬉しかった。
  その後、僕は、携帯の時計を見る、もう、13時か、よし、
「セミちゃん、何食べたい?。」
と言った、もう金額は気にしないことにした。すぐそこにある、回らない寿司屋を見て、
「あそこにする?」
と言った。すると、セミちゃんが、
「あそこがいい。」
と言った。指差した先を見ると、そこは何の変哲もない誰もが何気なく行くファーストフード店だった。僕は、
「本当にこんなところでいいの?」
と聞くと、セミちゃんは、
「女子高生ってこういうところで、友達と話すんでしょ、私も行ってみたい。」
と言った。僕は、セミちゃんと一緒にファーストフード店に入った。出てきた、ハンバーガーを食べた。まあ、おいしい。いつもの味だ。セミちゃんの方を見ると、おいしそうに食べている。そして、楽しそうに話す、制服の女の子達をぼんやりと見ていた。そして、僕に言った。
「楽しそうだね。私も、一回ファーストフード店で、誰かと何気ない会話をするのが、一つの夢だったの。」
僕は、ファーストフード店で、話すなんて、健康な人だったらすぐに叶う夢だろう。しかし、彼女には叶えることの出来なかった事だったと思った。
 その後、セミちゃんに連れられ、映画を観にいった。映画は恋愛ドラマで見ているこっちが恥ずかしくなった。セミちゃんは目をきらきらさせて映画を見ている。セミちゃんは、
「私も恋したいな…」
と呟いた。僕は、セミちゃんに、
「そうから年頃だもんね。」
と言った。セミちゃんは、
「先生は誰かと付き合ったことあるの?」
と言った。僕は、
「ないよ。」
と言った。そしたら、セミちゃんに、
「だから、先生の外の世界の話に恋愛がなかったのか」
と言った。これは明らかにからかっている顔だ。僕は、
「からかうな。」
と言った。すると、セミちゃんに
「上映中はおしゃべり禁止!」
と言った。セミちゃんは、
「また、見に行こうね。」
と言った。僕は、
「今度は、恋愛以外な。」
と言った。
 もう、日が遅くなり、ホテルに泊まることにした。チェックインを終えて、夕食を食べに行った。普段じぶんも食べないような豪華な飯が出てきた。ステーキら、フカヒレやら。セミちゃんは、
「外の世界の晩飯は、こんな豪華なご飯が毎日出てくるの?」
と喜んでいる。僕は、セミちゃんに、
「そんなことないよ。僕なんてカップラーメンばっかだし。」
と言った。セミちゃんは、
「カップラーメン。先生がよく話していたやつだね。明日の朝食はそれにしよう。」
と言った。僕は、ステーキを一口食べた、高級なだけあり、とても美味しい、セミちゃんが、
「美味しい。これならいくらでも食べれるね。」
と言った。僕が、全てコース料理を食べ終わり、セミちゃんの方を見ると、ほとんど残っていた。セミちゃんは、
「ごめんね。折角高いお金を払ってくれたのに。」
と謝ってきた。僕は、
「いや、大食いの僕でも、多いとかんじたから、女の子は食べ切れないよ。」
と言った。本当は大食いでも、そこまで、多いと感じたわけではないのだか。
  ホテルの部屋に着くと、セミちゃんは直ぐに眠ってしまった。きっと疲れたのだろう。起こす訳にも行かないと思い。直ぐに電気を消して、寝床に着く、僕は、セミちゃんは元気そうだし、きっと大丈夫だよね。と思った。しかし、夜中の2時頃、
「ゴホゴホゴホ」
と咳が聞こえる。僕は、
「大丈夫?」
と聞くと、セミちゃんは
「大丈夫。」
と言った。しかし、口を抑えていた手は、真っ赤に染まっていた。僕は、起きて急いでセミちゃんにタオルを渡した。セミちゃんはそのあとも咳を続けていた。僕は、
「やっぱり…」
といいかけたとき、セミちゃんは、遮るように、
「これは、私が決めたとことだから、大丈夫。」
と言った。そうだ。これは僕の決めたことだ。こうなるのは想定していたことだ。ここで僕が逃げてどうする。僕は、セミちゃんに、
「明日どこに行くか考えておいて。」
と言った。その後もセミちゃんは、咳をし続け、心配で眠れなかった。
 次の日の朝、カップラーメンを食べた。お気に入りのシールド味だ。セミちゃんは、気に入ったらしく、
「また、食べよう。」
と言った。
 朝食を終え、セミちゃんは、
「お寺を見に行こう。」
と言った。その後、京都に行きセミちゃんと一緒に行きお寺、お城など日本の歴史に触れた。セミちゃんは、歴史に対してとても博識で、意外な趣味について知ることができた。僕は、
「セミちゃんって、歴史に詳しいんだね。」
と言った。セミちゃんは、
「暇なとき、ずっと本を読んでいたから。」
と言った。僕も、少し歴史について勉強しようと思った。
その後旅館に泊まり日本の和食を楽しんだ。夜、セミちゃんが、トイレに行き、中から咳の音が聞こえてきた。心配だったが、僕から隠そうとしているのが分かったので言葉にせず胸の中に留めておいた。3日目朝食の味噌汁を食べながらセミちゃんは言った。
「遊園地に行きたいな。」

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