誑かした世界に終わりを告げて

山永

エピローグ

あれから私は、失踪した私を迎えに来た殿下、レイノ、リアンに国王陛下の執務室へ連行された。
執務室では、国王陛下と父は勿論、結界が強化されたことに気づいた神官長がいた。


私が執務室に入ると、父が珍しく私に抱きついてきた。
あまりのことの驚愕する。しかし、父のか細く、「よかった」という言葉を聞き、どれほど心配させたのか分かり、涙が零れそうになった。


「ごめんなさい」


そう、言えば父は私から少し離れ、温かな笑顔を向けてくれる。
その温かな笑顔に涙が一筋流れた。


しかし、父の温かな笑顔はすぐに険しい顔になった。
瞳の中には怒気。
背筋に冷や汗が浮かび、周りを見るも、皆表情は違えども瞳の中には怒気がある。


これは、大人しく怒られよう…


そう思うしかなかった。


説教が終わる頃にはすっかり暗くなっていた。
家族四人で屋敷に帰宅すると、使用人たちが泣きはらした目で私を迎えてくれた。


よかった、よかった、と泣きはらした目から涙を流す使用人たち。
一人ひとりに「ごめんなさい」と謝ると、また泣かれてしまった。


収拾の付かない事態は、父の鶴の一声で収められ、へとへとだった私は自室に押し込まれた。






「聞きそびれてしまったのだけれど、リアンとあいつの関係って何?」


明かりを消した暗い部屋。誰も居ない部屋で私は疑問を口にした。


「あぁ、リアンはリアンだよ。ただ、前世の君が死んだことで、壊れたあの子の思念が少し乗り移っているだけ」


誰もいなかった空間に神々しい光が灯る。
それと同時に澄んだ声。


「そう」


返答がこないかもと思っていたが、この神は何気に律儀なようだ。


あいつとリアンの関係が分かった私は、一言しか言えなかった。
この世界に留まる私にはもう、あいつを救う術はない。
心の中であいつの来世は幸せであること願う。








少し未来の話をしよう。


魔力の無くなった私の噂は瞬く間に広がった。
しかし、殿下や国王陛下、リアヴィの町の住人、その他の人々が私の行動を認めてくれ、何故か私が結界を張り直した張本人ということまで広まり、英雄のような扱いを受けることになった。
魔力が無くなったことで殿下との婚約もなくなるかと思ったが、殿下の強い要望と民衆の強い希望により、殿下との婚約は継続。
私たちが20歳に正式に式を挙げることにまでなってしまった。


魔力探知に頼りっきりだったので、日常生活に少し支障をきたしたが、なんとか生活できている。


魔力が無くなったことで、私は新たな目標が出来た。
それは魔力無を迫害対象からはずすことだ。


計画は割りと順調に進んでいると思う。
たまに無茶をして殿下やレイノにお仕置きをされることがあるが…


リアンが私の側を離れないので、早々なにかあることはない。






雪の日、アスファルトに溶けた私の命は、アスファルトに浸透し、別の世界に溶け出した。
誑かした世界に終わりを告げ、新たな世界を誑かす。
詐欺師としてではなく、公爵令嬢のヴィーラ・ロズベルクとして。


fin

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