嫌悪感マックスな青春~マジでお前ら近づくな~

黒虱十航

家にたどり着くころには、既に夜になりかけていた。具体的には7時ごろだ。場合によっちゃもう夜だ。人が多い道を避けるために遠回りしたりしてたらこんな時間になってしまった。あと、ちょっとイライラしてたっていうのもある。人に関わったせいでこんなことになってわざわざ手を施す羽目になった。そんなめんどくさい事、人に関わらずに一人でいれば起こらないはずなのだ。けれども、関わってくるから。望んでもいないのに関わってくる奴がいて関わらせようとするやつがいて。それがいけないのだと改めて気付いた。見失い始めていた自分を取り戻したんだろう。
「たでーまー」
「おお、お兄ちゃん。」
ドアをあけるとなんだか異様なにおいがした。常人なら気付かないレベルのにおいだ。けれども俺にはわかる。何か、混ぜたらまずいのを混ぜてる。
「お兄ちゃんおっ帰り☆ってその背中の人どうしたの?お持ち帰りなの?ええ、あのお兄ちゃんがお持ち帰りかぁ。まあ、可愛いしいいんじゃない?」
「違う。お持ち帰りじゃないしそもそも俺は、お持ち帰りなんかしない。というかそもそも見てくれに騙されるな。この人は本気でやばい。」
「えぇ、女の子にそんなこと言っちゃだめだよ。」
「いや、でもこの人は、女の子とか男の子とかそういうので括れないから。ほんとにやばいから。もうまじで。どこまで嘘か分からんレベルにやばい」
「え?なにそれちょっとよく分かんないんだけど」
「だな。俺も分からん」
事実、春をそこそこ育てたのも俺の周囲に煩わしい人間を減らすことが目的だった。だから頼まれてからすぐに受け入れたのだ。けれどまあ、結局すっ飛ばして教える羽目になり意味がなくなったわけだが。とはいえ、ハチも関わろうとしてくるスタンスはこいつと何ら変わらない。ただただ、尊敬したりさげすんだりしているように見えて俺をよくみている。よくみてはいるが何にも気付けていない。
「なんていうか、急に寝ちまったんだよ。で、家も知らんからここに連れてくるしかなかった。とりあえずは、俺の部屋に連れて行くしかないだろ。色々やることあるから出入りするけど寝る時は、リビング使えばいいし」
「うーん・・・まあそうだね。あ、でも今日暇だったから荷物置きにしてた部屋を掃除したよ?そっち使えば。」
「荷物はどこ置いたんだよ」
「荷物って行ってもほら、お父さんが荷物部屋って言っただけだし。実際、お兄ちゃんの荷物は無かったから。本が何かすごいあったけどそれだけ。ベッドもしっかりあったし。」
「なるほど・・・・・父さんの秘密部屋だったってことか。」
「そういうことみたい」
「じゃ、そうする。とりあえず掃除してくるから」
一応、俺が掃除しないと客室としては使えない。まあ、汚くても勝手に寝たこの人が悪いんだけどそれでも女の人を汚いところで寝かすのはまずい気がする。ほんとに神だったらその方がまずい。末代まで祟られそう。いや、そーでなくて。
「全く、信用無いなぁ」
そんな声を背にしながらリビングのソファーに生谷さんを寝かしてから父さんの荷物部屋に向かう。ドアをあけると「ぎぎぎっ」という音が聞こえてしまう。やっぱり使ってなかったんだな。父さん、最近家に帰ってきてないししょうがないだろうな。なんなら母さんも部屋から出てきてない。これは、食品を部屋に持ってって缶詰状態にする気だな。
「うわぁ・・・・・」
部屋を開けると結構埃が積もっていた。掃除した事務室に比べるときれいなほうだがほんとに酷い一礼を知りすぎている。
「それにしてもいい本があるもんだなぁ・・・・」
さっさと埃を集めて掃除し始める。すると結構古い名作があることに気付く。本の繊維とかから分かる。何年も何年も読み続けられていたものだ。ラノベの類は一切ないけれどどうにも興味がそそられる。俺にはどうしようもないんだがな。




さっさと掃除を終わらせて10分と掛からずにきれいになった。するとやはり本のほうに意識が向いてしまう。何とかして空間認識で文字が読み取れないものかと挑戦したがやっぱり無理だったので一冊だけ、一番古い本を本棚から取り出して部屋においてからリビングに戻って生谷さんを部屋に運ぶ。


「んんっ・・・・」
部屋のベッドに寝かせるとまたそんな可愛らしい寝息が聞こえた。まったくこういう女神みたいな可愛さには敵わない。それにしてもこの人はどこまで計算しているんだろうか。この寝息とかそういうのは多分計算して出せる声じゃない。少なくとも俺はそうだ。けれどこの人が計算で出してるのならそれは本当にこの人が人生の天才なのだろうと思う。もしくは、俺のような圧倒的な経験値を得たのか。そのどちらにせよ俺を超えているという事は俺を超える才能か経験値、もしくはその両方が無ければいけないということになる。それはほんとにすごいことだ。
「はぁ・・・・・・」
そんなことを思っていると本当に怖くなってくる。自分がどれだけ浅はかで下等であるのか思い知らされる気がする、だなんてまるで美しい物語の主人公みたいなことをいう気は無い。ましてやそんなことをいえるほど俺は傷ついていないのだ。


まあ、そんなことを考えていたって仕方が無い。そんなことを考えるぐらいならゲームしたり小説を書いたりしたほうがいいだろう。自分の部屋に戻ってかちかちとキーボードを叩く。目が見えなくても手がしっかり動かなくてもいらいらしていてもそれでも変わらないスピードでキーボードを叩ける。それはそれで一種の才能だし努力の賜物だろうと思う。小説を書く、というのは本当に文章力の上昇に圧倒的な効果をもたらす。ソースは小学生時代の俺。5年生でパソコンを得て5年生後半から中学1年生の序盤まで書き続けるとそれだけで圧倒的な文章力が得られた。勿論その前からもすごかったけど中1の頃に作文を書くと大抵、一時間で原稿用紙を数十枚かけるようになっていった。全国の国語の成績を上げたい子供の親は小説を欠かせるべき。その結果若干歪んだ性格になっても知らん。そんなことを考えているとすぐにその日の分のノルマの小説とレート対戦が終わった。

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