嫌悪感マックスな青春~マジでお前ら近づくな~

黒虱十航

悪魔はきっとスパイスとスパイスと化け物を殺す毒で出来ている?

「満足しましたか?」
「んー、そだね。久しぶりにこうやって買い物したし楽しかったかもね。君も結構面白いって分かったし。どうしよっか?テニスの前にお昼食べたいんだけど」
「あー、昼ですか。別に俺はいいですけど動く前で大丈夫ですか?」
アクセサリーショップから出てすぐにそんな会話をした。近くには結構、フードコートも多くなんならファミレスもあるようなので食べようと思えば十分に食べれる。だが、テニスは、結構激しく動くわけだから食べてからだと色々ときついものがあるようにも感じる。
「まあ、大丈夫じゃない?そんなたくさん食べるわけじゃないし。いつもここに来たら必ず行くところがあるからそこで軽く買ってからにしない?」
「そうですね・・・。でも俺、あんまり昼、食べないですから」
普段から昼飯なんて食べないし朝も基本食べないからお腹空いていない。
「そっか。いつも食べてないもんねぇ。」
「っ・・・・いつも、見てるんですか?」
「そりゃそうだよ。すごい面白いもん。八街ちゃんと求名ちゃん。すっごい可愛い女の子と話してるのに心の中じゃ拒絶してて、すっごい矛盾の塊だしねぇ。面白い」
「んんっ・・。さっさと行きましょうよ。混んできちゃうんじゃないですか?」
咳払いをしてからさっさと進むことにする。流石に追い詰めてはこないようで生谷さんは素直に案内してくれる。


しばらく歩いたところにハンバーガー系を売っているフードコートがあった。そこはチェーン店というわけじゃないがどうやら野菜メインのヘルシーなハンバーガーを売っているお店らしい。
「じゃ、ちょっと待っててくれる?買ったら歩いて食べるから」
「そうですか?じゃあ、待ってます」
店内で食べるなら俺は、何か買おうかと思った部分もあるのだが歩きながら食べてくれるならありがたい。俺は、外の電柱によっかかってしばし時間を潰す。その間にテニスの準備を軽くする。どうせなら出来るだけあの人の本気を見てみたい。


それにしても、案外おいしそうな匂いがするものだ。こういう匂いを嗅いでいるとおなかが空く気がする。普段から食べないので量を食べることはできないが少しぐらい食べてもいいかもしれない。今になって若干後悔しているもののとりあえず待っていると購入し終えた生谷さんが店から出てきた。
「結構掛かっちゃったね。ごめんごめん。お詫びにこれ、あげるから」
そういうと生谷さんはハッシュドポテトを俺に渡してきた。どうやら俺のために買ってきてくれたようだ。こういう気配りが本当に男前だ。
「あ、っじゃあ」
俺もその代わりに財布から代金を出そうとするが何故か止められてしまう。
「セットで買った奴だから気にしなくていいんだよ?」
「いや、でも悪いですし」
「・・・・・じゃあテニスで負けたほうが帰りにデザートを奢るっていうのでどう?そのほうが私もモチベーションが上がるし」
「・・・・・いいですけど」
もう、どう考えても自分が勝つという確信をもっていてじゃあそっちの時に奢ってもらってチャラにしようということだと思う。この完璧超人たる俺を随分と甘くみているものだ。まあ、これが人と神との差なのだろう。
「そう。じゃあ決まり。さっさと食べちゃって行こう?」
「そうですね」
話しながらもハッシュドポテトをもぐもぐと食べ、おなかが結構膨れたところでテニスコートにつく。どうやら1時間一人1000円でテニスコートを出来るらしい。中々いい施設だ。体がなまった時に結構便利かもしれない。
「・・・随分食べるの早いんですね」
「え?普通じゃない?むしろ君のほうが食べるの遅いしおちょぼ口だし可愛いよ。私より女の子っぽいんだよねぇ・・・」
「いや、それはないですよ。」
俺は、確かに男の娘だし可愛い。よく指摘されるから食べ方が可愛いのも理解できる。だから別にいいんだけどこの人より可愛いって事は無いと思う。
「そうかな?まあ、いいや。さっさと入ろ?」
「そうですね」
テニス系のアイテムはしっかりと借りられるため俺が二人分借りてついでに代金もしっかり払ってくる。こういう所を、生谷さんならそつなくこなすんだろうがその点はまだまだ未熟であると感じる。まあ、俺も弱気になっている場合じゃない。
「準備が早いねぇ。じゃ、やる前に準備運動でもしよっか。」
テニスコートに入り道具を渡すと着替えてきた生谷さんがそんなことを言ってから屈伸や伸脚、アキレス腱を伸ばしたりはねたりと準備運動を始めた。強者の余裕というのかすごくリラックスしていて少し癪だったが卓球に比べたらテニスは得意だ。アニメで取りあげられててかっこよかったからって言うのが9割で練習したが理由より事実が大事だ。鹿渡とやったところで卓球みたいに粘られる事はない。生谷さんに負けるという未来は、100%実現するとは限らない。
「君、テニス得意なんだ?」
「え、ああまあそうですね。ダブルスじゃなければ。テニスと違って広いところでやるので感覚的にはすごい運動してる感を得られていいですし」
「なるほど。そういえば、体育の選択もテニスだっけ?」
「っっ・・・そうですね。」
ちょうど一昨日、テニスとバトミントンで選択したばかりなので本気で情報源をぶん殴りたくなる。まあ、推理したって可能性もゼロじゃないだろうしハチと話してたりした記憶があるような無いようなおぼろな感じなので人のせいにするのはやめておく。
「んんんっ・・・。よし、じゃあウォーミングアップがてらラリーでもする?」
「そう、ですね。急にやっても泥仕合になりますし」
「とりあえず、2時間分はらったから1セットフルでやる感じでいい?」
「はい、異存は無いです」
「じゃ、軽くラリーして始めちゃお」
「うす」
そういってから生谷さんは離れて、ぽん、とサーブをしてきた。軽いって言ってただけあってとりやすく俺がよくやる接待プレーのようだった。ぽん、ぽんと心地よい音が連続して鳴って少しずつ激しくなってくる。まあ、いうほどじゃないけど。と、思っていると。
「え?」
俺のすぐ上をボールがすごいスピードで通り過ぎた。
「こんなもんでいいでしょ。さ、始めよ」
生谷さんに促され俺は、通りすぎたボールを拾う。いや、そんなことより今のすごくね?狙って俺の頭の上に打ったんだったらマジですごい。
「じゃあ、サーブ、先にやりますよ?」
「うん、さっさと始めよ」
きっとこれがスポ根だったらギリギリで追い詰められて俺が覚醒、勝利を収めてラスボス撃破、という流れなんだと思う。が、しかし。今回はそういうわけにもいかない。だって普通の人生だし。




そこからは、本気で疲れる勝負だった。目が見えないことのハンデを感じることは無かったが左右にボールを打たれ打ち返すのが精一杯だった。まあ、それでもある程度技術的なショットを打つこともままあった。しかし、全然決まらない。確認するとまだ、生谷さんは一歩も動いていないようだった。
「いいねぇ、いいねぇ、頑張れ」
「はぁはぁ・・・この・・・」
正直本気で涙目になりそうなほどにいじめられてるがそれでも俺は、体力があるわけでまだまだへこたれない。それどころかそこそこ集中力がいいところまで行って余裕が出来てきた。
「くっ」
やっとスマッシュするチャンスが到来し、見逃さずにスマッシュ。勿論、点が決まるとは思ってないが少しでも揺さぶれればと思ったのだが・・・・・・・
「おおやっと追いついてきた?いいじゃんいいじゃん」
俺がボールを打った先には見事に生谷さんが立っていた。そしてスマッシュをまるで浮いたボールを打つような感覚でゆったりと打ち返してきた。ジャンプして勢いのついた玉は「ぶーん」と、音を鳴らして進みコートに落ちた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
「大丈夫?結構消耗してるみたいだけど」
「いや、はぁ、はぁ、体力は全然あまってますよ。」
「そうやって頑張ると可愛くてお姉さんいじめたくなっちゃう」
そんな会話をしながらプレーを再開する。
「お姉さんって同学年だし体もお姉さんっぽくないしどこにお姉さん要素があるんですか?っと」
ボールを打ちながら余裕が出てきたので話しかけてみる。正直、この人、お姉さんっぽくはないんだよな。俺だから何となく分かるけど他の人には絶対わからない。
「いやぁ、こう見えて私、大人っぽいよ?色気あるよ?っよっと」
「ああ、まあ、それは分からなくも無いですね。んっっと」
ラリーをしながらもやっぱり俺がかなり劣っているのだと分かってしまうのだがそれでも話しかけて情報を知ろうとする。こっちばっかり知られるのは何かいい気がしない。
「でしょ?それにほら?完璧じゃない?私。だからお姉さんっぽいでしょ。まあ、自分で自傷してるだけだけどね。っよ」
「なんですかそれ。妹か弟、いないんですか?あっと」
ホントギリギリの勝負だが生谷さんが結構変わり者であることを理解出来た。あんな外見ロリでお姉さんを名乗っちゃう辺りラノベキャラっぽいがそれが事実、完璧超神であるからたちが悪い。


結局、当然のように俺は完敗してしまった。何か、ちょっとの差、何て次元じゃない強さだった。この人に勝てる人がいるのか甚だ不思議だ。世界一なんじゃねぇの?この悪魔。


で、まあ、負けたので帰りにスイーツを奢るということでシャワールームで軽くシャワーを浴びて道具を返却してから近くのカフェにいた。
「私はねぇ、チーズケーキと・・・ザッハトルテかな」
「あー」
どうせ奢るんだったら俺も出来るだけ食べちゃったほうがいいかもしれない。甘いもの好きだし。何かここ、おいしそうなスイーツが多い。
「じゃあ、俺はモンブランと紅茶ケーキ」
「おお、行くねぇ」
「まぁ。甘いの好きなんで」
店員さんに注文して待っている間に考えていた。


外見ロリで、ぷくっと膨れてそうなのに才色兼備の完璧超神。人の考えを見通し、恐怖と魅力を兼ね備える完璧な悪魔みたいな生谷猫真。女の子というには毒々しすぎて男の子というには暑苦しすぎる。男の娘とも言い難い何とも言えない存在だ。あえて呼ぶなら悪魔だろう。利きすぎたスパイスとパッと見ると甘そうで、けれども辛いスパイスと、どんな化け物もなだめて殺してしまう毒。それらで出来ているのが生谷猫真なんじゃないかと、若干失礼ながらも思った。

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