嫌悪感マックスな青春~マジでお前ら近づくな~

黒虱十航

ポイント

教室内は、既にゴールデンウィークに向けて浮かれていてとてもイライラする。今日が5月2日だから学校で打ち合わせをするなら今日が最後だ。よって俺も様々な打ち合わせをしておかなければならない。まあ、ハチが耳が聞こえないってことでメアド交換したから大丈夫だけど求名と鹿渡には、しっかりと話して置かなければならない。とはいえ鹿渡に話しかけると言うのは難易度が高すぎるので北風原に全部任せたわけだし北風原にいって置くぐらいの事はするべきだろう。
『悪い。前に言ってたやつだけど鹿渡も行くことになったから色々説明しといてくれ。俺、立場的に話しかけにくいし』
『私も結構話しかけにくい立場なのだけれど・・・。』
『そうか?でも俺よりはましだろ?』
『そうかもしれないけれど・・・そもそも鹿渡君が来るということ自体意味が分からないのだけれど。今回は思いやり部で行こうという話しでしょ?』
『ほら、友達作りだったら鹿渡と上手く話せればもう、達成したようなもんだろ?』
『じゃあ、部室でまた話しましょう』
そんなやり取りをするが結果的にはメールでは説得できなかった。まあ、何となく予想してたしそれは別にいい。けれどこうやって女の子とメールをしていて少しだが口角が上がっている自分に気付いた。危うく微笑みそうなほどに気が緩んでいて感情の調節が上手く行っていなかった。
「猫実。仕事を頼みたいのだが・・・」
「何でですか。」
「何でじゃない。学級委員だからだ。」
「えーそれってブラック過ぎませんか?っていうかハチは?」
「ハチ?」
「あ、ああ八街。八街に頼めばいいじゃないですか?」
「ふっ」
俺が言うと何故か先生は微笑んだ。ちょっと軽くいらっとした。何でこの人はあの頃から母親のような眼で俺をみてくるんだ。この先生は俺が唯一上手く扱えなかった先生で今まであった先生で一番厄介な先生だ。母さんや春と面識もあるし全くめんどくさい。
「八街にはもう頼んだ。君も早く行け」
「はぁ。どこ行けばいいんですか?」
「ああ、地下に事務室があるからそこに行ってくれ」
「・・・・それって使われてるんですか?」
「いやかなり汚い。だがそこにどうしても取りに行ってもらいたいものがあってな。午後の授業までに取りに行かないと間に合わんから急いでくれ」
「え?・・・・あぁ・・」
そういわれて時間を確認すると既に昼休みだった。さっきまで憂鬱な気分になっていたせいで時間感覚がおかしくなってしまったか。
「そうっすね。じゃあ行ってきます」
「おう。頼んだ」
俺が席を立ち歩き出そうとするとぽんぽんと優しく強めに先生が俺の腰を叩いた。ちょっと痛い。痛いぐらいがちょうどいいとかそういうことは無く普通に痛い。まあ、後ろにもある程度筋肉ついてるしそこまでじゃないですけどね。それにしても学級委員というのは内申点目的の奴がなるものだと思ったがなんだかこうやって自分が体験してみるとそうとは思えないものだ。普通にだるいしめんどくさい。これ、内申点があってもやってられない。マジ働きたくないわ。
「あ、そうだな。猫実。私も行くからちょっと待て。」
俺が教室のドアをあけようとすると後ろからそんな声が聞こえた。振る返る必要も無く先生なのだが一応怪しまれない為にも振り返っておく。人は印象が9割というしな。こういう時振り返っているほうが印象もよかろう。大抵は印象操作でどうとでもなるのだ。
「なんすか?俺仕事するんですけど」
「ああ、分かってる。私の暇つぶしに協力するのも仕事だ。どうせ道も分かりにくいんだし私もついて行くから面白い話でもしろ」
「うわぁ、でたよ。何ですか?ブラック企業ですか?」
「嫌か?」
「そりゃそうですね」
大体、面白い話という定義が不確定なのだ。相手が何を話して、と具体的に提示してくれたならコミュ障では無い俺は、快くは無いもののいらっとする程度で収まっているだろう。しかし、面白い話、という不確定なこといわれてもちょっと困る。結構困るまである。
「そうか。なら私から話題を提供してやろう」
「そりゃありがたい。」
俺が相槌にもならない言葉を返すと「んんっ」と咳払いをしてから先生が口を開く。そういった動作は目で見えてはいないけれども上品で独身貴族なのがもったいないと思うほどだ。まあ、結婚なんていうのはほんとに不確定で気持ち悪いものだし気持ちが分からなくもない。そもそも結婚だなんて響自体だめだ。何か結婚と出勤って雰囲気似てるじゃんか。昏睡の昏に女偏とかなんかちょっと怖いんですけど良いんですかね。
「どうした?腐り始めてるぞ」
「どこが腐ってるって言うんですか。」
「その人の放つオーラというのは目に見えなくても何となく感情を映し出すんだ。また、変なことを考えてるんじゃないのか?」
「ぐ・・・・ほら人間は考えるなんちゃらですから」
「重要なところがかけてるな」
実際心理学者の言ってることなんてうろ覚えばっかりだ。元ネタを織り交ぜたって気付くやつは少ないから俺、そういうのは覚えない主義なんだ。
「で、何すか?」
「っふ。まあふれあい会のことだ」
「ふれあい会・・・。ああ、確かクラスでやるっていってましたね。」
「ああ。ちょうど君の努力によって求名も教室に来るようになったしぴったりだからな。私は結構期待してるからな。君は面白いことを考える。」
「そうすか・・・・・。そりゃどうも。それだけですか?」
なんだか照れる、だなんてことはない。求名をあの部屋から引きずりだしてきたことが正しいのか俺は各章がもてないしそれによって狂ってしまう可能性だってある求名の学校生活だ。讃えられることをしていないのはどう考えたって明らかだ。
「いや違う。これは、今度、北風原たちに話すんだがな」
「じゃあ、そのときに言って下さいよ」
俺がポツリと言うと先生は怪訝そうな顔をする。
「君達思いやり部は私の奴隷のようなものだからな。ふれあい会を含め行事全般で君達には生徒会と共に協力して実行委員会をやって欲しい」
「それって生徒会と思いやり部以外にもやる人いますよね?」
「いいや。今年から有志の人間でつくる実行委員会制度はやめた。内申点狙いの奴がなったらつまらないからな。」
「それでもいいと思いますけどね」
そういいながらも何となく腑に落ちた。


結局行事を無茶苦茶頑張ってるように見えても内申点というものが俺たち子供には絡み付いてきていてどこまで本気でどこまでポイント稼ぎかわからない。例えば掃除好きの奴が教室を一人残って掃除していたとしてそれが趣味でやってたとしても腐った目ならポイント稼ぎにしか見えない。腐った目と歪んだ目は違うもので俺はそう見えたりはしない。けれどもそれを予測できてしまう時点でどこかでそんな風に思っているのだ。

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