嫌悪感マックスな青春~マジでお前ら近づくな~

黒虱十航

そもそもさ

まだ、ホームルームも始まらないのでべちゃくちゃと喋っているリア充を目以外の4感覚で観察しているだけでも憂鬱な気分になる。一日きりとはいえまた、あの頃のような勤務をしなきゃいけないかと思うともうそれだけで・・・・・。そもそも女の子を何人か連れて男が俺一人で出かける、というハーレム的展開での外出の時にいい記憶が無い。あるときはその女子の奴が修羅場って色々考えなきゃいけなくて大変だったしあるときは告白の応援をしてるのが痛々しくて告白されたとき断り辛かった。全く、ラノベ主人公適性が無いんだなぁ、と感じてしまう。普通、ラノベ主人公が男なら冴えない男なんじゃないの?童貞ではあるけれど全然もてない、冴えないひねくれてる男子には程遠いんだよなぁ・・・・。机に突っ伏してそんなことを考えているが俺としても喜ばしい変化も確かにあった。
「むぅ、朝から疲れているのだなぁ。また我が入ってきたのに駆け寄ってこないだなんて珍しいものだ。おぬしが元気が無いと我の魔力にも害がある故な。しっかりするのだぞ」
「あぁぁ・・・。やったら上から目線だなぁ。別に体調が悪いわけじゃない。これがデフォルトなんだよ。お前こそちょっと前まで不登校だったくせに元気すぎるだろ」
「不登校ではない。図書室に登校していた。我は朝得意だしな」
「あーそうですか。でも吸血鬼って朝苦手じゃねぇの?」
「普通の吸血鬼はな。だが我は並の吸血鬼とは格が違う。レッドフードは常に心なる力を引き出すことが出来るのだ」
「あっそ」
「むぅ」
求名がいつもの謎の言葉を発する。ちょっとこの言葉の意味自体が分からないのだがそれでもこうやって朝から”教室”で求名と話すなんて事はありえなかったことだろう。この教室に求名を来るなんてきっと無く、第二図書室にずっといたのだろう。けれども第二図書室を部室にして求名が思いやり部に依頼をしたことで確かに少しだけ変わったのだ。俺はそれが別に嬉しいわけでもないが何だかほっこりしている自分もいた。
「師匠。お加減如何ですか?」
「お、ハチ。まあ、いつも通りだな。ま、教室は結構五月蝿いけど」
「リア充が、五月蝿いなど当然のことであろう?」
「・・・・・・お前、リア充とか言っていいのか?」
「何故?」
「いや、世界観って言うか設定って言うか・・・」
「むぅむぅ設定ではない。真理だ」
「むぅってなんだよ。むぅむぅ五月蝿いな。何か羊とか山羊的な動物なの?」
「むぅには色々意味があるのだ。これは、吸血鬼語であってだな・・」
「でたよ、困ったら○○語だっていって誤魔化すやつ。」
ホント、あれなんなの?日本語を誤用してるんだったら指摘されてすぐ認めればいいじゃん。「いやこれはあれだし。アルサー語っていう言語だから。そんなこともわかんねぇの?」とか冗談でも言う奴がいるといらっとする。
「ま、いい。ほらほら、席もどれ」
そういってシッシと手であっちに行けという様にする。
「むぅむぅ、全く我を邪険に扱うとはどういうことだ!」
「師匠。ゴールデンウィークに前にお約束していた本選びをお願いしたいのですが」
「あ、あぁ・・・・」
約束していた本選び。確か八街を救って完全に弟子に入ってから約束した。あれから何作か俺のお気に入りの本を貸して有耶無耶になってた。まあ、そこまで用があるわけでもないし問題は無い。ただ、俺的には、女の子と出かける、というのにトラウマがあるのだ。どうしてもあの頃のことを思い出してしまう。ハチとならそういう事はまず、無いのだと分かっていてもそれでも思い出して怯えてしまう自分の自意識が憎い。


確かにあの頃は誰かに好かれたこともあった。でも、それは俺の作ったキャラが好きだっただけで俺のことを好きだったわけではない。それは昔の八街にも言えることで逆に言ってしまえば八街も今の俺を見れば絶対にそういった感情を抱くはずが無いのだ。それを理解してはいる。けれども心のどこかで期待してしまっているのかもしれない。素の俺を好きになってくれる人間がどこかにいるんじゃないかと。もしホントに期待してしまっているのなら俺は自分を一度、戒めないといけないしそんなことが無いのだとしたら俺は、俺の中に巣食っているであろう化け物をしっかりと飼いならしてかごに入れなければならないだろう。
「師匠?」
「ん?んん・・ああ、大丈夫だけどいつにする?」
「えっと4日など如何でしょうか?」
「ああ、4日か。んんまあ、良いんじゃねぇか。俺は特に用事があるわけじゃないしな。ま、4人で出かけるのが翌日っていうのがネックな部分だけど」
「お嫌ですか?お出かけは。」
「いや、まあ別に嫌じゃないけどな。ただ正直言って俺、行く必要ないなぁって。三人で行ったほうが絶対楽しいだろ?」
「そうですか?私は師匠と出かけるの楽しみです。それに思いやり部の活動目的のひとつでもあるわけですし友達作りに励む、というのは必要ですよ」
「お・・・・・・ぉぅ」
不意打ちで楽しみです、だなんて言われたせいで言葉につまってしまう。結局ほんの少しでもドキッとしてしまっている自分がいることには、嘆かなければならない。軽く唇をかむ。だがいつまでもそうしてるわけにもいかず会話を続けるしかない。
「ま、まあ『友達作り』なんて俺はしたくないけどな。」
「そうですか?私は友達なんていなかったので部活で強制的だとしても友達みたいな関係で遊べるのも楽しいです・・」
「そうか・・・。ま、いつかそれが当たり前になるようにしないとな」
「はい」
俺が言った言葉に笑顔で答えてくれるハチをみることは出来なくても少しほっとするぐらいの事は赦されるんじゃないかと思う。
「じゃ、また部室で」
「はい。部室以外でもお相手してくださいね」
「んん・・・」
またしても急な純粋な言葉に驚くも、俺は音にもならないであろう返事をしてからハチと一度分かれてふわぁっと欠伸をした。
「ま、あの頃とは違うしな」
俺も、まわりも確かに違う。だから少し安心しながらいつものように音楽を聴く。そろそろ人気投票も結果が出るころだろう。

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