嫌悪感マックスな青春~マジでお前ら近づくな~

黒虱十航

求名蜜

求名蜜。その名を俺は聞いたことがある。むしろ詳しいほどだ。その名はオタクなら大抵知っているレベルに轟かされていてちょっと俺も自分を疑ったレベルだ。


求名蜜という奴には幾つかの面がある。その一つの面というのが天才脚本家である。天才脚本家、求名蜜が誕生するきっかけを作ったのは有名アニメ「愛の消失」の実写ミュージカル化をする企画である。その企画の目玉の一つに脚本の一般公募というのがあった。何でもファンの視線から作った脚本のほうがより適しているであろう、という考えだったらしい。が、うたを考えないといけないこともあって応募者は少なく応募者がいてもあまりレベルの高いものじゃなかった。そんな停滞した状況で登場したのが求名蜜であった。求名の出した脚本はすぐに審査を通りミュージカル化された。しかもそれでミュージカル化された愛の消失は、稀に見る大ヒットだった。脚本のクオリティの高さから満員御礼の大ヒットだった。だが、それだけじゃ終わらない。
二つ目の面、というのが天才監督である。あまりにもいい脚本を書いた求名蜜は、ファンの目線からみた副監督の役割を与えられた。そのときの心境は俺にも分からないがそれこそ無茶苦茶、正確なアドバイスでミュージカルのレベルを格段に上げた。そのとき有名じゃなくパッとしなかった俳優も求名によって今じゃ大人気俳優だ。
三つ目の面も勿論ある。それが天才歌人である。求名は、非常に美しい日本語を使い三十一文字の愛を語る短歌作りに長けていた。今では確か詩集の短歌版を発売するレベルだったと思う。歌集っていうんだっけかな。まあ、それについてはあまり興味ないのだが無茶苦茶きれいな日本語で愛を語っていて印象に残っている。
と、いうのが今まで知っていた求名蜜の情報だったわけだがまさか自分と同年代とは思わなかった。俺もまあ、文学には長けているがそれでもこいつほどかどうかは分からないレベルだ。何より脚本というのは普通とは違う部分がある。こんな天才だ。確かに部屋の一つや二つあげてもいいぐらいだろう。
「まあ、いい。とりあえず縄を解く。叫んだり暴れたら気絶させるからな」
「ぐぅ・・。分かった。」
俺は、そういって縄を解く。全身の縄を解いて一応身動きが取れるようにして目隠しも外した。すると無茶苦茶睨んできていて色もすごい荒々しかった。
「おぬし、我が真なる力を知っての所業か?ならば我が極炎魔法で」
「いや、すまん。ちょっとイライラしてた。」
「む・・・くっくっく。ならばいい。」
そういいながらも求名の色は恐怖、怯えの色に変わった。これはやばい。明らかに無茶苦茶怖がられている。まあ、さっきまでの所業を省みれば当然のことだろう。
「えーっと求名さん?あなたは何でここにいるの?」
「言ったであろう?我はこの学校の王にこの部屋を好きに使ってよいといわれているのだ。その代わり1年生から普通に3年間登校することを条件にな。しかし、我は愚民共となど会話できないのでな。朝、チラッと顔を見せてからずっとここで本を読んでいるのだ」
「それって・・・・」
「軽い不登校じゃねぇの?」
「欠かさず登校しているのだ。不登校する輩と一緒にするでない。しっかりと1年D組に所属してる」
「は?俺と同じクラス?知ってたか?」
「いえ、私も一切知りませんでした。」
それにしても1年D組はキャラ濃いなぁ。リア充神が2人いるだけでなく俺という奴までいてハチまでいる。これはちょっと濃すぎるので普通の先生なら目立たないのだが誉田先生だから全然存在感が消えていない。それをみると何か流石だなぁって感じになる。
「まあ、それはいいわ。それで、求名さん。何か依頼があるといっていたけれど?」
「やっぱ聞こえてたんじゃねぇか。」
「五月蝿いわね。細かいところで五月蝿いからモテないのよ」
「いや、そういうこと話すなよ。いろいろめんどくさいから」
俺の過去を思い出してしまって辛い。まあ、あんなのはあっち側の勘違いだから別にいいんだけどね。はぁ、嫌なことを思い出した。
「なんなのだ?急に彼は嫌な顔をし始めているが。奴が魔王なのか?」
「違うっつぅの。それより早く依頼を言えよ」
「師匠、お加減がよろしくないのですか?今日はもうお帰りになられますか?」
「あ、いやすまん。ちょっと混乱してた。まあ、とりあえず今日は帰っていただくか?」
「いやなのだ。我は、後回しにするなど嫌なのだよ。それはそうとおぬし達、なにやらおいしそうなものを食べているな?」
「あ、ああ今は、ちょうどティータイム中なんだよ。で、どうする?帰ってくれるならそうしてもらいたいんだけど」
「おぬし、聞いていたのか?我は、この部屋の主であるぞ」
「ああ、そうだっけ。いや、でもいいだろ?もう、ここ部室だし」
「うむむ・・・・。部室だと?話が違うではないか。まあ、この際どうでもいい。それより依頼だ。愚民共に我が依頼を授けてやろう。」
やばい。こいつ、無茶苦茶うざったいマジで殴りたいんだけどやっぱり顔がいいので殴れない。全く、俺の周りの奴は可愛いやつばかりだからいらいらする。ストレスで円形脱毛症になりそうで怖い。いや、もうストレスはこりごりなんですけど。
「依頼ねぇ。何だ?」
「くっくっく。我が依頼を受けられるなど人間として名誉のことだぞ。ありがたく思うんだな。」
「早く言わないとマジでキレるぞ」
「ひぃぃ・・・・」
「師匠、流石です。同年代の女の子を体を動かさず表情とトーンだけで脅し怖がらせるなんて中々出来ることじゃないです。」
「こやつ・・・・・・なんなのだこいつは。女子のくせに男子の制服着ているしさっきから言葉遣いも男っぽいし何より怖い。我が極炎魔法に焼かれたいというのか?」
「あ?」
ちっとイラっとした。女子だと・・・・・怖いだと・・・・・。マジでこいつ、ぶん殴られたいのかな?それならそれでいいよ。可愛い顔であろうとぶっ壊してやる。
「求名さん。その男の見てくれに騙されてはいけないわ。」
「男?まさか。こんな可愛い子が男の子な訳ないだろう。我よりも可愛いじゃないか」
「いや、そこまでじゃないだろ。ちょっと可愛いかもしれないけどそれでもどう考えても男に見えるだろ?特にほら、俺、オーラとかは基本異常だし」
「確かに。おぬし、表情操作スタイルチェンジは得意なようだが表情の元はやたらと腐っているからなぁ。言われてみれば」
「表情が腐ってるってなんだよ」
「男っぽいということですよ、師匠」
なんだかすごく新鮮なんだけど。これが落としてから下げる手法な訳ですね。うむ、なるほどな。騙されちゃう人の気持ちが分かった。

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