嫌悪感マックスな青春~マジでお前ら近づくな~

黒虱十航

思いやり部と友達1

掃除も終わりあだ名決めも終わり自習時間と銘打たれた自由時間は、終焉を迎えた。と、なれば昼休みになるのは、明らかでリア充たちは、自由時間から続いてべちゃくちゃと話していた。全くどこまでが自身が望んで会話しているかも分かっていないくせによくも会話するものだ。まあ、それが腐った愚かな人間の定、というものもあるけどな。
「師匠は、お昼、どうなされてるんですか?」
「あー、基本的にはあんまり食べないな。ゲームやったり曲聞いたりしてる」
「空腹状態にはなられないのですか?育ち盛り食べ盛りの高校生は、食べても食べても空腹になるとお聞きしたのですが」
「誰に聞いたんだ?」
「両親です」
「お前の親御さんのいってる事は間違いじゃないな。でも、俺は結構特殊なんだよ。腹減ったも我慢ぐらい出来るし寧ろあんまり食べないような期間が続いたから量、食べられないんだ」
事実である。体を鍛えた時、というのは勿論のこと春が生まれる頃なんて父親が忙しくて食事が作れなかったのである程度カップめんを買っておいていたのだが正直、そこまで量が多くなくて食べると逆に食欲に火がつくし3歳児が買い物に、というのも無理な話なのであまり食べないようにしていたのだ。そのせいであまり食欲は湧かない。ただ、母さんが帰ってきてすぐに作ってくれたオムライスだけはわすれられない。やだ、それ何。俺ってすごいけなげな少年じゃん。
「あ・・・・・・では、メロンパンは余計なお世話でしたか?」
「いや、それは軽いティータイムの茶請けみたいな感じでOKだろ。俺、甘いもの好きだしな。お前は気にしなくていい」
俺がそういうと八街は、俯いて両手の人差し指をちょんちょんさせていた。
「どした?」
「いえ、あだ名で呼ばれないほど私は未熟なのだと実感いたしました。もっと精進し師匠にお認めになっていただけるようになります」
「いや、すまんすまん。わすれてただけだから。でも、人前でその名前っていうのもなぁ」
「そうでしょうか?師匠の付けてくださったお名前ならば何でも許されるかと思いますが」
この許されるが赦されるだとちょっと洒落になんないレベルだった。まあ、人前で女の子に「ハチ」とかいうのは如何なものかと思う。
「そんなもんか。まあいい。それだけか?」
「はい、私は食事を用意しておりますのでしばしのお暇を頂きます」
「別に24時間師匠に付きまとわなくてもいいから。」
「そうでしょうか?では、失礼いたします」
何か、弟子というものを勘違いしているハチこと八街であったが元気そうで何よりだった。あだ名、というと利用するもの、みたいなイメージがどうしても定着しているのだが何だか弟子であってもあだ名をつける、というのがいいものなのだという感覚に包まれて不思議だった。


放課後。平和的なリア充たちの会話を聞きながら俺は席をたち第二図書室に向かった。活動日誌はとりあえず今日が終わってからでもよかろう、ということで書いていない。別にわすれていたとかそういうことじゃない。ホントだよ。
「師匠、お待ちください」
またも、背後から声が聞こえた気がした。これまで幾度と無視しているのだが流石にここまで来ると俺だってうすうす気付く。あと、この声は、天使の声なので聴けば一瞬で気付く。今までなら俺の脳が一気がいかれてしまったかと思ったが流石に弟子にまでなると自分の脳にも自信が持てるというものだ。
「ハチ、どうしたんだ?」
「いえ、図書室までお供しようかと思いまして」
「そうか。まあ、それぐらいなら別にいいが止まるべきか止まらないべきか悩むから教室にいるときに声をかけてくれ」
「承りました。しかし、師匠。私なんかが声をかけてしまっては師匠の評判が」
「俺、そもそも下がる評判が無いから」
「そうでしたね。流石師匠。尊敬です」
これが計算でやってるんじゃないところが殴れない理由だった。北風原がやってたら本気で皮肉だと思うんだけどな。これが印象の効果である。
「ま、さっさと行こうぜ。」
ちょっとだけ、いらついたのでさっさと図書室に向かう。


俺たちが第二図書室にたどり着いたとき図書室の扉の前に何者かが立っていた。完璧なオーラ、作られた印象、自分への大きな自信。言うまでも無く北風原であるのだが不思議なポイントは全然中に入ろうとしないところである。
「なにやってんだよ?」
「え、えっとねぇ・・・っち猫実君か。ならそういうオーラを出しなさい。何故、あえてリア充オーラを出しているの?」
「なんだよその変わり身。別に深い意味はねぇよ。で、なにやってんの?」
「部室に改装しているのよ。あまりにも図書室感がすごいと依頼人も来ないでしょう?だから部室、と表記して依頼人が来るようにしてるのよ」
「そうか。なるほどな。俺的には依頼人が来なくてもいいんだけどよ。ま、いいや。さっさと中はいろうぜ。ハチがメロンパン買ってきてるからお茶でも入れて・・」
「部活をなんだと思っているの?」
「部活は部活だろうが」
「お茶でも入れてって明らかに休憩タイムだと思っていると感じたのだけれど」
「気のせいだろ。あ、先生がお前に渡せって言ってたぞ」
俺はそういって朝受け取った紙を渡す。それにしても本気で枚数が多いな。すごいかさばるんだけど。
「あら、有難う。じゃあ、中に入りましょうか。」
そんな会話をして俺達は第二図書室改め部室に入った。因みに本はそのまま。無茶苦茶多いので中に入ると第二図書室どころか図書館にすら思えるレベルである。


部室に入り保温されていたメロンパンをハチがあけて3人に取り分けている間に俺は買ってきたお茶を2人に渡した。流石にメロンパンだけというのもわびしいので飲み物ぐらいは買っておくべきであろう。それが紳士というものだ。明日にでもコーヒーを入れられるような器具をもってくるか。それか紅茶でもいいけどな。
「そういえばさっきメールで言ってた友好云々って言うのはなんなんだ?」
「師匠は、説明を受けてないのですか?」
「え?何のことだ」
「私から説明するわ。」
そういってから北風原はかばんからクッキーを取り出しお皿に取り分けた。皿までもってきてるって、絶対ティータイムにするの確定だっただろ。
「思いやり部の活動内容は主に二つあるわ。一つが学校内の悩みを抱える者を導きよりよい学校生活のために思いやりをもって行動する。」
「なんだ、その御立派な活動内容は。文面だけまともで内容がいまいち分からない」
「端的に言えば依頼に来た人の救済よ」
「最初からそういえばいいだろうが」
俺がそういうが完全に無視してきやがった。

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