嫌悪感マックスな青春~マジでお前ら近づくな~

黒虱十航

あだ名

「あら、随分と似合っているわね」
北風原が一言目に発したのは皮肉めいたその言葉であった。正直軽くいらっとするレベルには皮肉めいているのだがそれでも俺の忍耐があればこの程度なんてこと無い。このやろう、顔がよくなければぶん殴ってたのに振動だけで分かる美人だからいらっとするんだよな。
「五月蝿い。それよかお前、これどうしたんだよ。何でこんな小規模部活のために部活服なんて用意して。こんなのリア充の間でやればいいだろうが」
「サッカー部がユニフォームを着ることによって士気をあげ美術部が色んな色の絵の具を使うことによってそれっぽさをあげるのと同じ。部活は、規模に関係なく何となくそれっぽいものを用意することが大切なのよ。特にあなたみたいな不真面目君がいる場合にはね」
「何言ってるんだよ。八街の件は、ほぼ俺がやったしそれしか依頼来てないんだから俺、超真面目に働いてるだろうが。」
ホント、寧ろこの中じゃ一番働いてるレベル。まあ、八街の件は、俺の領分みたいなところがあったから上手く行ったわけだ。それだけであって次、どんな依頼が来るか、分からない以上調子にも乗っていられない。
「そうですよ。師匠は働いてます」
「そうね。すごく働いてくれてるわ。勤勉だわ。だから事務処理も全てお願いしたのよ」
「おい、その論理ぶっ飛びすぎだろ。確かに事務処理は得意だ。だが、そういうことじゃないだろ?そもそも書類関係は・・・」
そこまで、いって言葉につまってしまう。書面で来た場合、目が見えないし無理だろ、と言おうとしていたのだが残念無念また明日。こいつらに目が見えないことを言う予定はないしこいつらにいうぐらいならまず春に言う。さてじゃあ、なんて言い訳するか・・・・。
「何かしら。」
「・・・いやなんでもない。でも俺一人に任せるってのは酷いだろ?」
「勿論。だから私も手伝うわ。けれど当面は活動日誌だけだしそれならばあなたでも出来るでしょ?それより、今こうやって集まれたわけなのだし掃除しながらあだ名でも考えましょうよ」
「はい、よろしくお願いいたします」
「八街さんも私と猫実君の分を考えてくれるかしら。」
「承りました。では、掃除を始めましょうか」
「そだな」
あだ名を考える、とはいえまずは掃除だ。結局3人集まっても文殊の知恵な訳が無くむしろ残念なレベル。正直言って屋上は汚すぎた。俺の耳を駆使する必要も無く埃まみれできたない。ゴミも多かった。


「それにしても、あなたって本当に流石よね」
「何だよそれ。今更褒めたっていいこと無いぞ」
「褒めてるわけではないわ。むしろ男らしさがないことを引き合いに出して貶めているレベルよ。」
「何だよその高度すぎる皮肉」
「でも事実そうでしょ?」
「いえ、師匠は着やせするようで触ってみるとすごく男らしい体つきですよ。」
「え?」
俺を庇ってくれたのは八街な訳なのだが何で俺の体つきが男らしいと知っているのであろうか。触ってみるとっていつ触った?ここで回想ターイム。こいつに触られたとしたらいつか。答え、俺が教えてて倒れた時でした。一瞬で分かる問題ありがと。
「猫実君?洗脳もいつかは解けるのよ。そのときには一気に決定的な証拠が発見されて刑事罰に問われるのよ。だから早めに自首するべきだわ。逃げても無駄よ」
「何で俺が何かしたみたいになってるんだよ。」
「そうです。師匠は何もしていません。ただ私が少し痙攣してしまい、それを師匠が支えてくださったのです。それはもう温かい体でした」
「・・・・・」
北風原は無言で携帯電話を取り出した。
「待て、待てって北風原。お願いします待ってください」
流石に本気でやばいのでプライドも捨てて懇願する。もうほとんど掃除する気ゼロのような会話に見えるが口を動かしながらでもゲームしながらアニメみて本読んで小説を書くぐらいの事はできる俺だ。掃除も滞りなく進んでいる。
「俺はやってない。本当だ」
「犯人は皆、そういうのよ」
「八街。俺はお前に何もしてないよな?如何わしいことは一切してないよな?」
「はい。勿論です。私はまだまだ未成熟ですので師匠に何かされたりなどありえません。」
「・・・・そう。なら今回は不問とします。」
「ああ、それならいいんだけどよ。いって置くが俺はお前が思ってるより全然真っ当だし男らしいぞ」
「それが真実だから何ともいえないのだけれどでも女子力も高いでしょ?」
「んー、まあ、女子と会話をあわせるために知識つけたからな。けど、俺のは女子力って言うより嫁力って感じだろ」
「なるほど。流石師匠です。私も見習いたい」
「見習わなくてもいいのよ」
そんな会話をしながらも俺は埃を集め終わり次のステップに突入していた。ゴミを拾うのは、同時にやっていたので無駄な手間を省けてこれから仕上げに入るところだ。とりあえずざっとやってしまえば今回はいいので一応ぬれ雑巾をかけていく。
「え?何それ。」
「何って雑巾だろ。今の若いやつは雑巾も知らないのか?」
「馬鹿にしてるなら全力で潰しにかかるわよ?流石に返り討ちにあわないほどの力は、あると思うのだけれど。」
「まあ、お前の思考能力は、俺も買ってるからな。」
「・・・・そう。」
急に言葉をなくした北風原を無視してさっさと雑巾がけを済ませる。
「師匠は雑巾をいつもお持ちになっているのですか?」
「まあな。専業主夫なら当然だろ?」
「専業主夫、でございますか?」
「ああ。俺は主夫目指してるからな。」
「あなたならスポーツ選手でも何でも大抵のものにはなれるのにそんなものでいいの?」
「どうだろな。確かに俺は誰よりもスポーツは得意だけど愛とかそういうのがゼロなんだよ。サッカー選手って言うのはサッカーが好きな奴がなるもんだ。」
正直言って俺はなんにでもなれる。職業的には実力さえあれば勝ち上がっていける世界でなら確実にトップに立てるし運要素ばかりの世界でもおそらくトップに立てるだろう。けれどもサッカーが好きでもないのにサッカー選手になることを夢見る奴の邪魔をしたくは無い。レベルの低い腐った奴らであっても何かを好むという感情はもってもいいと思うのだ。
「さて、と。とりあえず掃除はあらかた終わったな。じゃあ、それぞれあだ名を提案していって気に入ったのでいくってことでいいか?」
「そうね。では、あなたから。」
「俺のあだ名か?」
「そうよ」
「師匠は師匠でよろしいかと思います」
「いや、それ北風原が呼べないだろ」
「猫でいいんじゃないかしら」
「何?お前は俺を人として見たくないの?まぁ、いいけどさ」
猫実だから猫、だなんていう単調なあだ名だがまあ、蔑称というわけでもないだろうしいいのが、普通に名前でいい気がする。
「俺は、名前でいいだろ」
「そうね。では次は私かしら。八街さんがおおとりだと考えるとそうなるものね」
「北風原でいいんじゃねえの。名前のままで」
「菜月姉さまは、如何でしょうか」
「2人とも採用でいいわ。」
そういう北風原の声はどこかすごく嬉しそうだった。何、こいつ。そんなにあだ名つけてもらって嬉しいの?あだ名とすら呼べないレベルなのに?
「じゃあ、八街だな」
「町でいいのではないかしら」
「ハチとかは?従順な犬っぽいし名前にも掛かってるし」
「師匠のあだ名がいいです」
「そ、そう・・・。ならいいわ」
「有難うございます。師匠」
そういう八街の声もやっぱり嬉しそうだった。何なの、こいつら。友達いないの?

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