嫌悪感マックスな青春~マジでお前ら近づくな~

黒虱十航

進路

そもそも親を人に会わせるというのが嫌だ。その理由はいくつもあるが母さんが小説家でなくても俺はそう思ったと思う。端的に言えば俺がこんな劣等種の子供であることを他人し知らせたくないのだろう。確かに養ってもらっているので感謝もするし今後も養ってもらいたいと思う。けれどもそれとこれとは別だ。そもそもラノベを認めることの出来ないような偏屈なやつが嫌いだ。勿論ラノベに合わない、読書に合わない、という人間も確かに存在する。逆に小難しい本がどうしても気持ち悪いという人間もいる。けれども俺が納得行かないのはその点ではない。大々的にラノベを否定することにある。これは八街にも言ったことなのだがラノベやアニメ、というのは小難しい小説より繊細なもので理想の姿である。モテない男子がハーレム系のラノベを欲するように足りないものを妄想の中だけでも埋めるためにラノベを読むのだ。面白さ、というのもその中の一つ。自分の日常に面白さが足りていれば面白さなんて求めないし知識が足りないから友達とあわせるためにラノベを読む。けれどもその中でもラノベの登場人物というのは摩訶不思議で繊細なのだ。少しのことで傷つくし実はぼろぼろだ。けれどももがいて助けを乞う。あれが人のあるべき姿なのだ。例えばファッションで言ってしまえばお勧めの組み合わせ、というのを着ればなんとなく様になる。あれはプロが考えているわけでこれは花束でも同じだ。プロが考えればある程度様になるので素人はそれを利用すればいい。ラノベの登場人物とは欠如していることのプロフェッショナルが考えた人物なのだ。だからいくらからだが受け付けなくてもそれを全ての人に押し付けて大々的に否定するのはよくない。だが、今回の場合は母親だけが悪いわけじゃない。将来の夢と進路。そんなものが思いつくはずも無いのだ。主夫になれれば個人的には別にいい。むしろ一生養ってもらうのだったら『ニート』だって十分だ。けれど流石にそれはまずい。俺を信じて今まで任せてきてくれたのだ。今ここで信用を失うのは折れとしても何の利益も無い。
「どうしたんだね?真面目な顔をして。らしくもない」
「らしくもないって何ですか。生徒が真面目に考えてるんだったら喜ぶべきところでしょ。不思議がられても困るんですが」
「ああ、それはすまん。だがいつも君が考えているときはいつもその場にいないかのような異次元の空間で考えているように見えるからな。」
「なんですか?それ」
意味が分からん。でも要約すればいつもとは違うってことだろう。もしそうだとしたらそれは思いやり部のせいだろうな。
「ま、いいですけど。」
「君はすぐに考えるからなぁ」
「まあ、それが俺ですからね」
「北風原もそうだしな。気をつけるんだぞ。君達の思考とかが通じない相手だって社会にはいるんだ」
「そんな化け物みたいな奴がいるんですか?」
「化け物自体実在するからな」
「そっすか。」
それだけいって俺は、教室に帰る事にした。個人的には教室の空気がギスギスしてるんじゃないかと思うと怖かったのだが案外、ギスギスは、していなかった、あくまでギスギスは、だが。
「なぁなぁ、昨日はしらけちゃったし今日、もう1回卓球行かない?」
「いや、それはない」
「卓球を2日続けてっていうのはきついだろ。久しぶりにボーリング行くか?」
「あー、今度で良いや。修ごめん」
この会話を聞くだけでも俺は変化が分かった。間違い探しの要領で聞けばいいだけだ。まだ情報が足りないのか本音を聞くことが出来るのは鹿渡のグループと東浪見のグループの東浪見以外の奴だけ。分かりやすく言えば東浪見の声だけ聞こえない。じゃあ、色はどうだ?こっそりと見ていると東浪見の周りのほかの奴らは気遣いの色になっていた。怒り、憂鬱。そういった感情も織り交ぜられていて醜い。何度もみたことのある醜い光景だ。実際に色が反映される俺の目を通せばマジで醜いしみてるだけで気持ち悪い。早く目を瞑りたい。東浪見の色をみるまではそう思っていた。けれど東浪見は不思議な色をしていた。正直言ってしまえばかなり危険な状況だ。ぐちゃぐちゃな色をしていたみているだけで醜い。ベースは怒りと悲しみだ。しかしその中に憂鬱、軽蔑、屈辱といった沢山の表情が見えている。まさか、女王様がここまで危険な状況になるだなんてちょっと予想もしてなかった。女王様も人間ってことだろうか。
「師匠?どうなさったんですか?」
「・・・おお、八街か。いや、別に。ちょっと考え事してた」
「流石師匠。朝から脳をフル活動させているんですね。」
あ、今、怒りの色が強くなった。これ、なんでだ?
「そんなたいしたもんじゃない。それより部活、入るんだってな」
「はい。お仕事もそこまで多いわけじゃないですし師匠のお傍で学ばせていただくには師匠と同じ場所で働く必要があるかと思いまして」
「なるほど。」
「師匠、本日からお夕飯をおつくりしに伺おうと思うのですが」
「は?何故だ」
「え?何故といわれましても弟子としての役目としか・・」
「いや、そこまでやらんでもいい」
「ですが、誉田先生は、弟子は師匠の食事を用意するのが定石だとおっしゃられましたのでやるべきだと思ったのですがまだまだ私の力が不足しているのでしょうか?」
「いや、そういうのじゃないんだけど悪いだろ?なんかそういうの。」
「いえいえ、遠慮なさらずに」
教室の視線がいたい。
「あ、じゃあ部室で食べるお菓子とか作ってきてくれよ。お茶とかもいれてさ。腕が上がったかどうかはそれで確かめる。」
「はい。そういたします。いつか、師匠に料理を振舞えるように日々精進いたします」
「そうしてくれ」
こんな風に女の子と一対一で話すというのもあまり無かったことだ。昔の俺は、避けていた。誰かの好意も大抵は偽物で相手側の勘違いでしかない。だからそんな偽物を受けたくなかったのだ。けれど今は違う。八街は俺に好意を向けてくることはあってもそれは尊敬の類だ。だから安心できる。まあ、今の俺は男の娘の類だから好意を向けてくる奴もいないだろうけど。
「あ、師匠。いつでもいいのですが今度ラノベを一緒に探してくださいませんか?アニメはお勧めをインターネットで探ってDVDを借りたのですがラノベは種類がありすぎて分からないので」
「おお、そうか。いいぞ。何ならこれ、読んでみるか?」
そういって俺が差し出したのは、キララの次に好きなアニメの原作「バルバル」である。バルカン星に行ってみたらバーストルバニカンが使えた、とかいう意味の分からんタイトルだが中身はむちゃくちゃいい。正直、逆タイトル詐欺だろってくらいだ。
「あ、有難うございます。このご恩わすれません」
そんな声は俺の大好きなベナの声で何か不思議な感覚だった。

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