嫌悪感マックスな青春~マジでお前ら近づくな~

黒虱十航

血と汗と涙は混ざったらえぐい匂いになる。

『まあ、なんだ、いまどきの事はよく分からんがとりあえず作戦を考えようぜ。まったく話をいちいちずらすんじゃねぇよ』
「コホン。猫実君?いって置くけれどこの部の部長は、私なのよ。もしも私がやめさせるといったらあなたはすぐにやめられるし逆にずっと入部することにもなるわ」
「それって何?この2週間が過ぎたら退部できるってこと?」
「そうよ。先生から聞いていなかったの?まあ、あまりあなたが私をイラつかせると私は何をするか分からないけれどね。ほら、この学校じゃあなたってそこまで権力ないでしょ?その点、私はこの学校で既に権力を持っているからあなたは、私の一声で完全な校内の敵として認定されるのよ?」
「ぐ・・・痛いところを・・・。まあそれは一つでも俺に勝ってから言うんだな。いつでも待ってるし。それにあれだ。2週間ぐらいなら俺だってがんばるっつぅの」
「何の話をしているんですか?」
『なんでもない。聞く価値の無いことだわ』
『ああ、ホントホント』
人の話をすぐ近くにいるのに理解できず混ざれないというのは、結構悲しいことだろう。けれども北風原だって八街に本性を明かしたくないだろうし俺だってわざわざ与太話をメールでする気は無い。脈路の無い会話ほど気持ち悪いものが無いのと一緒。あ、あとたまねぎもきもい。あのざっくりした触感がマジでやばい。おっと話をずらしてるな。俺の話逸らしスキルがカンストしそうでまじで怖い。
『それで具体的な話なんだけど』
一人で咳払いをしてから送信する。ここからは俺の案の説明だ。とはいえ努力というのを全面に押し出しているのであまり意味は無い。努力だなんて言葉はすごく曖昧でそれこそ”友達”とかいうのと同じようなレベルだ。友達をつくる努力、だなんて言葉はもう意味が分からない。まず努力をする時にはそこを考えることが大切だ。かのガンジー先生だって言っているではないか。速度を上げるばかりが、人生ではない、と。まあ、これだけ聞けば正直立ち止まって考えることも大切、みたいな意味に見えてしまうだろう。けれど俺は違うと思う。ゆっくりと立ち止まってはいけない。努力とは如何に加速するかにある。速度を上げるばかりが人生ではないのだ。マシンを改造して一気に加速し近道でゴールにたどり着く。それこそが正しい努力というものだ。因みにこれは、俺の言葉である。一応親が作家なんだしこれぐらいのセンスはある。体験談ってだけだが。
『努力って言うのは方針を決めて行うものなんだ』
『それぐらい八街さんも私も分かっているわ』
『いや分かってないだろ。S君がどんな努力したか想像してみろよ』
『さっき言ってたように歩幅を均等にしたり耳を鍛えたりそういうことでしょ?あなたさっき自分でS君のことを話してたじゃない。』
「わ、私もそこまで馬鹿じゃないよ?」
『いやそんなこと分かってる。』
『じゃあ何?』
早く教えろ、といった本音が見え隠れしているのはおいておこう。こいつはほんとに理解しているのだろうか。S君の努力を。努力って言葉はすごく便利な言葉だ。逃げるために『努力が足りない』だなんて風に使うし自分の力の無さを認めないためのツールとしてよく使われる。それが俺は大嫌いだ。
『努力っつぅのはお前らが思っているほど楽じゃないんだぞ?』
『早く教えないと八街さんが可哀想でしょ?』
自分が早く聞きたいだけなんじゃねぇの?
『まあ、単純に言ってしまうと努力っていうのは、まず自分を改造することから始まるんだよ。形を作ってそれでやっと努力を始めるだけの資格を得られる』
『どういうこと?』
俺のメールをみて北風原は反応するが八街なんかは、追いついてすらいない様子だ。まあ後でもう一度説明すればいいだろう。
『とりあえず不器用だから・・・体力が無いから・・・覚えが悪いから・・・とかいう基礎性能を自分への言い訳にして逃げるのだけは避けなければならない。』
「なるほど・・何となく分かりました」
やっと追いついたのか諦めたのか八街が相槌をしてくる。ふぅ、と一息吐いてまたメールを打つ。地下だから太陽を感じることすら出来ないがそれでも時間は、結構すぎていた。話逸らしすぎた。
『だから、まあ今日から一週間みっちりと教えていく。俺は主に頭脳系、北風原は姿勢、体力をやってくれ。ちょいちょいアドバイスはする』
『分かったわ「でもまあ、八街さんは姿勢はきれいだし体力だけになるのね」
「は?お前何言ってるの」
メールを打ってからつぶやく北風原に俺は疑問を持った。どこがきれいなのだろうか。俺には理解しかねる。姿勢は他のやつらよりは、ましだが結構くせがあるし手の位置とかはばらばらだ。しっかりとリア充っぽい姿勢にしないと舐められる。
『どうせ後で言うだろうからメールで言うけど八街は今のところ何一つ達成してないからな。5割も達成できている項目がないし。そうだな・・例えば腰だと・・』
そうメールで打ってから八街に立つようにジェスチャーをして八街も大人しくそれに従う。そして八街の型と腰に手を当てる。そして一気に力を入れる。
「ふぁ・・・」
「何しているのこの変態!!」
「違うって。今ので姿勢を矯正したの。腰なんかは結構くせがあったし肩も結構内重心に行ってたから直しておいた。これだけでもかなりリア充っぽくなる」
若干力を入れたので痛がったらどうしようかと思ったりもしたのだがそこは俺。母さんの気まぐれでマッサージをよくやらされてただけの事はあってかなり上手い。矯正が終わり一旦壁際によらせる。今度は壁に背中を付けさせて顎に手を触れる。
「ひぃ・・・」
「・・・・・・」
何故悲鳴が聞こえるのか謎な部分ではあるのだがそれはもうおいておくのが吉であろう。それはそうと北風原は何故睨んでいるのでしょうか。心なしか八街と北風原の脈拍が早くなっている。
「ほら、顎だって引きすぎると下を向くことになるから自然と気持ちも下に行くし引きすぎるのがくせになってると走ったりするのも辛くなる。かと言って上を向きすぎてもそれはそれでうざがられるだろ?八街の場合ちょっと引きすぎだな。」
そこまで言った所で八街を開放する。
「ねぇ、猫実君?」
「あ?何だよ。質問か?」
「いいえ、質問というわけではないのだけれど一つあなたに勝っている部分を見つけたわ。どうしようもないことではあるのだけれど」
「何だよ言ってみろよ」
「身長よ。あなた八街さんより低いじゃない。何センチなのよ」
「・・・・・160ない」
これが俺史上最大の敗北である。なにそれしょぼい。

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