嫌悪感マックスな青春~マジでお前ら近づくな~

黒虱十航

人気投票=序

職員室から出て教室に向かう。職員室から教室に向かうという最近いつも同じことをしているなぁって言う感じのことばかりしているのだが正直まずい。2週間後に書かなければならなくなった。無難に書けば許してくれるかもしくは他の人にするとか言い出すと思ったんだけどな。俺の嫉妬を買うために他の人に頼んで俺が「やっぱりやる」と言い出すんじゃないかという狙いを持った先生を華麗にスルーしてしまおうと思っていたんだけれどまあしょうがないであろう。教室にたどり着きいつものように俺の席に座ってホームルームまでの時間にキャラソンを聞いてからドラマCDを聴く。耳にイヤホンをはめて机に突っ伏して音楽を流した時。耳にはめたイヤホンを何者かによって外された。軽くいらっとしてその何者か睨みつける。
「えーっとそのすみません。ちょっと話したいことがあって」
「え?ああ・・・」
しかし、俺が本来聞く予定だった声と同じ声が聞けた。言わずもがな八街である。と、なるとメモが必須であるわけなのだが流石にメモで話すのも不自然だ。よく考えると昨日もおかしいのだがメモで話してると俺がまるで声の出せない人魚のように見えてしまうだろう。なのでメモにメアドを教えるように要求する内容の文を書いてみせる。理由も一応書いた。人魚云々じゃないけど。
「あ、そっか。えっと入力できますか?」
「ああ」
頷くとメアドが表示された画面を見せてきた。ゲームなどで鍛えられていた指でさっさと入力し終わったことを示す為に手でOKマークを見せた。登録したメアド宛に入力する。
『それで何のよう?』
「えーっと・・・」
俺のメールに合わせるつもりなのか八街もメールで返そうとする。
『別にメールでやらなくていい』
「そうですか?」
八街自身メールを使うのになれていないのかそれとも俺の指がカンストしているのか分からないけれど八街もメールを打つとタイムログが長い。
『それで?』
「えっと昨日話していたことなんですけど・・・」
昨日、話したこと。こいつが謝罪した件についてなのだろうか。俺自身にもよく分からないのだがなんの用があるというのだろうか。もしも謝罪することが目的ならば昨日済ませたであろう。それなのにわざわざ話しかけてくる辺りが意味分からない。
『昔のこと?』
「いやそうじゃなくて。あ、いやそのことも話したいんだけど」
『それは今度でいいか』
「はい。それで昨日のことで」
『昨日のことって?』
正直、昨日って言われても謝罪の件以外は思い浮かばない。
「ほら、なんというか・・・・お願いがあるって」
『ああ。何だ?』
「お願いって言うか誉田先生が言ってたんですけど北風原さんと猫実君がお悩み相談窓口みたいなものをやってるんですよね?」
『いや、分からん。仕事しろって言われたけど』
誉田先生が言っていた生徒会みたいなやつっていうのがもしかしたらそれなのかもしれない。それなら北風原に声をかければいいと思うのだがもしかしたら昨日ので少し苦手意識をもっているのかもしれないしそれ以上にスクールカーストでは最底辺と最トップ、月とすっぽん、天と地のようなものだ。単に話しかけづらいかもしれない。
「それで今日の放課後聞いてもらえないか、と」
『ああ、別に俺はいいんだけど仕事はいいのか?』
「仕事?」
『声優』
「え・・・・どうして分かったんですか?」
『言ってなかったか?八田町といえば期待の新人だし俺、超ファンだし。』
俺がそう送ると八街は、かなり目を丸くしていた。ちょっと驚いてるっぽい。そういえば八街、今日はそこそこ髪型も整えてきてる。スクールカースト底辺オーラはパッと見てない。けれどもどこか仲間の中にすら入っていないように感じる。
「ふぁ・・ファンなんですか?」
『そんな驚くことじゃないだろ。アニメ向きの声だし癒し効果マックスだし演技も上手い。泣く時の演技なんかはマジでやばい。八街さんの演じてるベナの声にもぴったりだしむしろベナの声が八街さんだからこそベナは、最高のキャラなんだ』
「・・・・・」
ちょっと語りすぎた。これでも10分の1くらいに要約しながら入力したんだけどまあ、目の前にガチオタがいたら引くな。まあ、俺もはがきを書くという仕事が待っているんだ。手書きだし時間と手間が掛かる。あんまり話してる余裕も無いんだけどベナの声優と何気ない会話をしていると思うとマジで心地よすぎて話を切り上げにくい。
「ありがと・・ございます。でもあんまりベナは人気無いですけど」
『何を言うか。みていろ?もうじきある人気投票で1位をとるのはベナだから。あ、そしたら特別アニメと特別文庫の作成も始まるのか。手間かけるな』
絶対に俺はベナを1位にしてみせる。その情熱を胸に抱いていると八街が話しかけてくる。
「仕事は、とりあえず無いので大丈夫です。よろしくお願いします」
そういうと八街はぺこりと頭を下げて行ってしまった。自分の席にってだけだが。まあ、いい。キャラソンでも聞いて癒されよう。ところで八街、どうやって歌ってるんだ?かなりリズムのとりにくい曲なんだけどな。まあいいか。


俺は、キャラソンを何度かリピートしながらはがきにあて先、氏名、住所、電話番号、郵便番号など必要な情報と投票するキャラ名をフルネームで書いていた。一枚につき1分。それでも1000枚やるに1000分掛かる。時間に換算すると16時間以上なんじゃないか?これはマジでやばいのだが1000枚どこじゃない枚数書きたいので少しでも早く書く必要がある。
「あの・・・」
「あ?」
話しかけてきた人間がいた。とはいえ俺に話しかけてくるのなんて限られていてむしろ一人しか居ない。八街である。俺としては、あんまり一緒に居たくないんだけど。
『どうした?』
「えっと人気投票のはがきかいてるんでしょ?もしよかったら何か手伝えないかな、と思って。おせっかいだったらいいんだけど」
「あー・・・」
なるほどな。まあ、俺的には手伝ってもらいたいものなのだが人気投票とはキャラへの愛であって何だか人に手伝ってもらうものでは無いと思うのだ。けれど無碍にするのもなんというか申し訳ない。そんなことを思えるぐらいには人間が腐ってないということだ。
『気持ちはありがたいけど書いたりとかは大丈夫』
「そうですか?・・・・」
そういうとどこか悲しげに八街は去っていった。まあ、そこまで興味は無い。別に八街町という人間自体が好きなわけではないのだ。俺はベナというキャラが好きなのであってその声をしている八田町という声優が好きなのだ。むしろかつての失敗の象徴である八街は苦手な部類だ。

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