嫌悪感マックスな青春~マジでお前ら近づくな~

黒虱十航

ペナルティー

人生
人生とは何であろうか。そう尋ねられれば多くの人間がこういうはずだ。人によって違う、と。それも沿うであろう。何しろ彼らは主に群れるのだから。ただ群れるだけでなく群れない人間の生活の邪魔をするのだから。この世には平等なんか存在しないのだ。例えば、人は一人では生きていけない、だなんて言葉が存在する。しかしよく考えて欲しい。太古から人は群れていたわけではない。元々は群れず、群れても極小規模の集団だったのだ。アダムとイブだって共に男女唯一の存在だ。だが、いつからか一人で生きるよりも群れたほうが楽だと思った人間から群れ始めいつしか群れることが正当化され始めた。だがな。よく考えて欲しい。人は一人でも生きていける。農業をするとして一人分の食料しか作らなくて言いのだったらどれだけ楽だと思う?確かに群れるほうが楽かもしれないけれど生きて”いけない”というほどでもない。そんなことをいう連中は群れるというぬるま湯につかっている奴らの戯言でしかないのだ。
そんな奴らに限って一人のほうが楽だ、だなんて本気で言ったり「一人で居たいだなんて甘え」だのと言い出すのだ。もしも一人が楽だと思うならば一人になれば良い話だし何より彼らが一人でいる平穏を邪魔しているのだ。そして何より俺は集団でぬるま湯につかっているほうが甘えだと思うのだ。もしも違うというのなら言ってみてほしい。どんな論理であろうと論破してみせる。なぜならば群れて甘える、というのを正当化することが悪である、だなんて当然の論理であるからだ。逆説的に考えて群れを正当化せずぼっちを貫く俺こそジャスティス☆正義である。正義は必ず勝つ!!といわれているのだから人生の本当の勝利とはぼっちのように世間から冷たい目で見られることにあるのではないだろうか。つまりぼっちこそが人生の勝ち組であるといえよう。そんな勝ち組の選ぶ将来も勿論勝利の職業である。働かずに悪である社会から冷たい目で見られけれどもただ怠けるわけではない専業主夫こそ勝ち組の職業である。
専業主夫はいい。
社会に出ないことにより勝ち組の我々が冷たい目でみられることも無くなりさらに残業という悪に屈する行為をする必要も無い。さらにただ働かないわけでなく奥さんに家事をしなくてよいという利益を与える為完全なウィンウィンの関係が成立するのだ。
結論をまとめると勝ち組の俺はこの高校生活3年間でお金を持ち、寂しい思いをする独身キャリアウーマンの方々に貰ってもらえるように学歴とマダムキラースキルを得ていこうと思う。強いては教員の皆様にも是非そういった教育をして欲しいと思う。愚かどもよ思い知れ。俺こそヴィクトリーだっっ!!


正直自分でも何を言っているか分からなくなっている作文を書き上げてその日は眠ることにした。
うむ、やはり流石だな。よくよく考えると世間へのアンチテーゼと専業主夫の需要の低下を考えてある素晴らしい作文だ。将来は専業主夫になろうかなぁ。


翌日、登校してすぐに誉田先生にそれを提出した。すると何故かこめかみをぴくぴくとさせる。顔は明らかに笑っている。とても面白がっている様子だ。
「あのな、猫実。どうしてそうなった?」
「いやどうもこうも人生について書けといわれましたので人生について攻略論を展開しただけです」
「いや、作文のことじゃない。まあ作文についても言いたいことはあるがそれよりもその思考がどこから来たのかと聞いているんだ。3年前はもっとまともだったじゃないか。猫を被ってはいたものの、な。あれについてはかなり心苦しかったから変わって欲しいと思った。だから変わってくれてうれしいよ。だ・が・なこれについては喜びがたい。むしろ変わりすぎだ。何があったらそんな風に変わるんだ。」
「そんな風といわれましても俺はこういう人間です」
いや、ほんとにこの人なにいってるの?まあ、言わんとしてる事は分かる分かっちゃうのかよ。いやホントに分かってはいるんだけどね。それとこれとは別じゃん?怒ってるっていうかこれは呆れてるな。
「そうだったのならばそんなのは捨ててしまえ。高校生のうちから専業主夫になるためにマダムキラースキルを身につけ学歴をつけるために勉強するだなんて考える馬鹿がいるか。」
「いますよ」
「どこに?」
「ここに」
「貴様、流石に旧知の仲とは言えど容赦しないぞ。知ってるか?ここの校訓は、抑圧抑制制御なんだ。生徒が誤ったほうに行くぐらいならばどんな方法を使っても引き戻すのが教師の役目だ。」
「いやそれは自分で自分を制御しろってことでしょうが。むしろ先生こそ変わりすぎ」
「私こそこういう人間だ」
誉田先生は、そういいながら赤いばつを書いた原稿用紙を机に叩き付けた。さて、ここでどんな言葉が飛んでくるか分かる人手をあげて。はーいはーい。分かります。
「まあいい。君が面白くなってくれてうれしいからな時に猫実。君に合わせたい人がいるんだが」
「会いたくありません。俺はいつもオンリーワンなんです」
「そうか。ならば作文の書き直しを命じよう。確かにちょっと教育上よろしくないだろうしな。それにこんなことを考えたらお前がラブコメの主人公みたいになってしまうだろうしな」
「何を言ってるかわかんないんでけど」
「要するに書き直し。それでペナルティーを与える」
書き直しじゃとどまらない辺りが先生らしい。マジでちょっと酷いんじゃないの?3年前はふざけた作文書いても何も言われなかったんですけど。まあ人は変わるって事ですよね。はい、そうですか。
「なーに簡単だ。地下にある第2図書室の掃除をやってもらいたいだけだ。そこで私が君に会わせたい人も働く予定だしな。」
「えー、一人の方が楽なんですけど」
「それは猫を被る必要があるからか?私の目的は君に労働を強いることだけじゃない。君に会わせてみると面白そうな奴と君を会わせてみたいだけだ」
「まあ、クラスの中で阻害されないレベルに無難には過ごしたいんで。中学3年でぼっちは経験したんでわざわざ自分で望むことでもないですし。ていうか私情過ぎるだろ」
実際ぼっちがいいのだがだからといっていじめとかも面倒なのでカーストのなかで下の上ぐらいには位置しようと思う。だから若干猫を被る。それでいてぼっちという立場は守りぬく。その名もすぅブロックだ。それにしても会わせたい人とかろくな響じゃない
「ということで今日の放課後から毎日やってもらう。とはいえ今日は私が案内する。場所自体知られていないような場所だしな」
まあ、図書室の掃除なら問題ないしいいけどさ。それよりも早く帰らないとやばい。
「あの先生。俺が家の鍵を持ってるんで妹が帰れないんですけど。」
「そうか。なら大丈夫だ。妹さんの中学に電話して君が今日、帰宅するまでに時間が掛かることを伝える。妹も君と同じく猫を被ることが出来るんだろう?なら友達も多いはずだしそれぐらい大丈夫だ」
「・・まあそうですけど。分かりました。やりますよやります。じゃあ放課後に」
そう言い放って職員室を去った。はぁ、メンドイ。

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