嫌悪感マックスな青春~マジでお前ら近づくな~

黒虱十航

始まり~3

俺は、たった一文を原稿用紙に書き、提出する為に席を立つ。まあ、これは誰かに見られたりもしないものらしいしならばこの程度の道化をしても問題ないだろう。覗かれたりさっきの会話を聞かれたりしてたらまあ、別だけど流石にそんな事はありえないだろう。隣の席でさえ、俺の字を読み取ることは難しいはずだし話だってささやく程度の声でしか話してなかったし耳元で言われただけだから内容を聞き取るのは不可能だろう。もし出来るのならばそれは俺並の聴力を持ってないと不可能だ。伊達に鍛えただけの事はある。だが、そう思っているのは愚かなことで立ち上がった瞬間隣の席の少女があせって動いたのに気付いた。その少女の名前も俺はしっかりと認知している。北風原菜月ならいはらなつき、それが彼女の名前だ。俺の隣の席である事は勿論だがそれ以外にも俺が目をつけていた理由はある。まず、彼女がおそらくグループの中心になりえないだろうという確信。そこから俺が女子グループとの突破口にするつもりだった。北風原が女子グループの中に上手に入り込んでくれれば後は、北風原と仲良くなりそこから女子グループとくっつく。まあ、俺の作る男子グループの中の男子一人を女子の誰かとくっつけてしまえばそれでもう、つながりが出来るのだが。それ以外にも俺が女子の誰かをとりこにしてしまえばそこからつながりを持つことも出来る。もしもみられたか聞かれたかしたのだとすれば彼女を突破口にするのはやめたほうがいいだろう。策があるのにわざわざ危険な手をとる必要は無い。何より、俺の人生方針だ。石橋を作って渡れ。壊れそうな策をわざわざ使うほど必要性が無い。抜かりない。あっちも特に反応は大きくなかったし広められる心配も無いだろう。広められたらそれはそれで冗談として武器にしてしまえばいい。先生をだました、とでも言えば何とかなるだろうな。教卓まで歩き原稿用紙をおくと先生は、そっと微笑んだ。それをそっと感じた。


授業が終わる。第1時間目は無事終わりもってきておいた有名なライトノベルを購入する。これならばこういう趣味の中学生が食いつくはずだろう。1ページ目をめくって時間を待つ。こういう終わったら読書、的なのはマジで困る。ポイント稼げないし休み時間まで話しかけてくるのを待つしかないだろうが。残念ながらこれがあと40分ぐらい。マジで精神的にきついのだがそれでも待つしかない。その間に朝のHR前に得た情報を更新してグループの中心人物になりうる奴と接触しなければならない。整理しよう。男子が桶谷進おけたにすすむ橋本遊星はしもとゆうせいの2名だろう。まあ、桶谷のほうは中カーストの中でグループの中心になれそうってだけで上位カーストでは無駄なので軽快すべきは橋本。まあ、それも俺の実力からすれば形無しなのでいいんだが要するにそういった人物を俺の周りにおけるかどうか、である。俺の周りは、しっかりとした人物で固めた強グループにする。強キャラだけを集める。そしてそこから派生させて中、下カーストの人間と接触する。どうだよ?無茶苦茶効率いいだろ?俺が考えた秘策である。これは小6で使った手段で既に試験運転が済んでいるので安定した手段である。俺がそんなことを考えている間にも次々と書き終えて行く。おそらく案外真面目に書いているのだろう。もしくは誉田先生の意図を読んでいるのか。だが、誉田先生の意図は本当に本音が知りたい、というだけのものだ。まあ、実際には文からそのまま探るわけじゃない。書いているときの姿や書くスピード。書いた文の量とペンの進み具合。そして内容がどこまで本音に近いか。それで分析しているのだろう。ほんの一瞬考えて迷わず長々と書いている人物は、おそらく話をそらしているはずだ。そんでもって本音とは何か、みたいなテーマに持ち込んで自分の本音から遠ざけようとする。逆に迷って短く書いた奴は3割ぐらい本音だろう。後の7割は簡単だ。3割が醜い部分で4割が損得勘定。醜い部分はまあ、色々あるがおそらく中坊ぐらいならば自己防衛が中心だろう。まあ、どこまで本音を密接に書いているかによってその人間の本音を探って性格を探る。全くよく出来た課題である。この人は素晴らしい。そんなことを考えながらまたページをめくる。読む気はないしただ読んでる風にすればいい。そんなことをしているとやっと退屈な40分が過ぎた。
2時間目。色々すっ飛ばした作文の課題ということもあって困りきっていた全員だったが2時間目に行われた教科書配布がやっと中学生になったのだという実感を持たせていた。俺は既にもっていたけど。その後2時間目は、誉田先生の話で終わった。中々興味深かった。主に話し方なんだけど。
3時間目。俺もわかっていたのだが自己紹介の時間になった。このときのために用意していた自己紹介に使う趣味とその他の項目。食いつきのいい話題を残すことでその時間が終わってから話しかけてくれるはず。番号順に自己紹介する面々。それらの内容も頭にインプットする。親指と人差し指を接触させながら自分の番を待つ。そして自分の番になり立ち上がる。立ち上がる時さえ集中しておく。それでも手抜き状態だが。
「猫実涼って言います。出身校はあきみ台小学校です。趣味はギターとかスポーツ全般とかアニメとか色々です。1年間、楽しく過ごしたいので皆さんよろしく」
最後、あえてため口にするのがポイント。ギターは音楽、スポーツは運動系、アニメはオタク向けの趣味だ。事実俺は、ゲームもアニメも好きだ。声優の声の変貌具合は感動するレベルだ。ギターだってある程度の曲は練習すれば弾けるしスポーツも結構できるほうだ。問題ない。誉田先生は哀れみの声を俺に聞こえるボリュームでのみ漏らした。前列の奴らが聞こえない声も俺なら聞こえるレベルの聴力が役に立った。
「はい次」
つまらなそうに誉田先生は次の自己紹介を要求した。その後の自己紹介も頭にインプットして3時間目も大過なく過ぎた。誉田先生のつまらなそうな声が俺にだけ「つまらない、そんな奴だったのか?」と聞こえてしまいそれがとても恐ろしかった。昔に受けたそれとは少し違っていてそれがさらに恐ろしかった。


――――――――ヤハリドコカオカシイ

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