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会社員(26歳)の俺にJKのストーカーがいるんだが。

伏見キョウ

2.俺とJKが出会い2週間ほどたちました。-2



  大晦日の夜11時30分過ぎ。
  今日買った同人誌の大半を読み終えた。
  ずっとつけてあったテレビでは男性アイドル達によるカウントダウンコンサートの生中継が行われている。
  テレビに映る男性アイドルは俺と同年代のやつや、俺の上司ぐらいの年の人もいるがさすがアイドル。みんな年齢を感じさせないような見た目やダンス。
  ファンの大半は女の子だ。
  客席がテレビに映る。ほとんどが若い。もちろん、俺よりも年上のかたもいるが。
  若い子を見ていると、つい数時間前のことを思い出した。


  駅で見かけた俺をストーキングして部屋の前で待ち伏せして告白してきたJK 花園鈴鹿。
  一目見た瞬間、可愛いと心の底から思った。
  ギャルゲーなら一番に攻略して全ルートエンディング見るまで仕事は休みたいぐらい。
  けどさ、ねぇ。出合ってまだ数時間だし、今後関わってあの子のこれからに影響を出すのは嫌だしな。
  さっさと忘れよう。
  



  ボーッと男性アイドルのカウントダウンコンサートの生中継のテレビを見ていたらいつの間にか20分も過ぎてた。
  その時、玄関の方で小さな音がした。
 



 コン。




  多分気のせいだろう。
  視線をテレビに戻す。




  ゴホッ、ゴホッ。




  人が咳をするような音が二回。






  ゴホッ、ゴホッ、ゴホ、ゴホ……。






  うん、明らかに音がする。
  こたつから出て、玄関に向かう。
  玄関のドアの小窓から外を見る。
  窓から見えたのは……


  顔を赤くして咳き込みながら倒れている花園鈴鹿だった。
  しかも服は俺と話したときの格好、セーラー服しか身に付けていない。マフラーやコートといった防寒具は一切なし。
  

  「鈴鹿っ!??」


  慌てて玄関を開けて、通路に飛び出る。
  花園鈴鹿の上半身を支えるようにして起こしてやる。


  「あ、数時間前はお世話になりました……。実は1つお伺いしたいことがあってずっと待ってました。」


  「ずっと?!とりあえず部屋上がりなよ、体調悪そうだし。」


  「いえ、大丈夫ですよ。お気にならさず……ゴホッゴホ。」


  「全然大丈夫じゃないよね、ちょっとごめんね。」


  頭に?マークを浮かべている鈴鹿をひょいと持ち上げる。いわゆるお姫様抱っこで。


  「あ、あの、ちょ、だだだだ大丈夫ですから、おおおおおひまふ、おりますす!!」


  急に騒ぐ鈴鹿。
  

  「ほら、通路で騒ぐと近隣の人に迷惑だから。」


  「分かりました……」






  ややムスッとしてる鈴鹿をリビングにつれてきて、ソファの上に降ろしてやる。
  「こたつの方がいいか?」
  「いえ、大丈夫です。」
  俺は鈴鹿の座っているソファの前にあるこたつに入る。
  さっきやっていたテレビに目をやるといつの間にか年を越したらしい。
 「なぁ。」
 「はっはい?!」 
  なんて呼べばいいのか分からないので適当に呼ぶ。玄関の前で倒れていたときは、慌てていたので名前を読んでしまったが。
  「新年を迎えたらしいぞ。あけましておめでとう。ちなみに遅くなったが、俺は長江悠志っていう。」


  「あ、あけましておめでとうございます。悠志さんって言うんですね。」


  ご丁寧に頭を下げて挨拶してくれた。
 

「うん。ところで何でさっきあそこに倒れてたの……?」


 「そ、それは……。
私、一旦は帰ろうとしたんですね。自転車で駅からここまで来たので。けど、自転車乗ろうとしたら……。 なんか一気に悠志さんを電車で見かけたときのこと思い出しちゃって。出会ってからは本当に時間はたってないんですけど、電車であのとき、あのとき、見た瞬間に……。」
















 「長江悠志さんを見た瞬間に人生で初めて心臓を射抜かれたような、すごいドキドキを感じたんです!」




















 部屋の前の通路で会話したときのようなにっこりとした笑み。
 あぁ、ギャルゲーならここでエンディングなのに。
 まだ言いたいことがあるようで、言葉を続ける。




 「それで、もう一回、お知り合いという形でもいいので繋がっていたいと思ってお部屋の前で待たせていただきました。そしたらちょっと寒さが厳しくて、軽く風邪のような症状が出て来て……。」




  ん?大分話したいことは分かった。


 「ちょっといいかい、花園さん。」
 

  「花園さん、なんて他人行儀すぎますよ!鈴鹿って呼んでください!どうしました、悠志さん!!」


  「君の言いたいことはだいたい分かった。けど、何で部屋の前で待とうとしたの?別に後日、日を改めてくればよかったじゃん。」


  「そんなの簡単ですよ!悠志さんみたいな素敵な男性なら、毎日たくさんの女の方とお会いすると思うんです。それで、私のことはあっという間に忘れてしまいます。だから、出会ったその日の内にと!!!!!!!」


  なんだか俺の評価がものすごく高いけど、そこは今は気にしないぞ。


 「それで……お知り合いだけにでもなってくれませんか?」


  「本当の目的は?」


  「お知り合いから徐々にステップアップしていずれは交際をしたいです。」


  うーん、話してる限り、俺を陥れようとは思えない。
  まぁ、何かあったらあったでその時に考えよう。


 「いいよ。」


  「えっ?」


  「交際を前提にお知り合いになってもいいよ。」


  「え、え、え、え、ほんん、とてててですか?!」 
 



 「うん。よろしくね、鈴鹿。」


 「は、は、はいっ!」 




  無事に1月1日に『お知り合い』になった俺たち。
  雑煮を作って、テレビを一緒に見て雑談をしたりして、時間を潰した。








  朝日が出てくる頃に、鈴鹿を途中まで送っていく。
  とはいえ、俺のマンションから徒歩で20分くらいだった。本当に近い。




  「あ、ここら辺で大丈夫です。送っていただきありがとうございました。」


  「じゃあ、何か連絡したくなったら、これ。」
  携帯の連絡先を書いたメモを鈴鹿に渡す。


  「え、いいんですか?!嬉しいです……。あとで連絡しますね。」


  それでは。と俺に一礼して自転車を押して歩く鈴鹿の後ろ姿を見送る。




  「あ、悠志さーん!!」


 急に鈴鹿が振り替えって叫ぶ。
   



  「なんだー。」


 「言ってなかったんですけど、私、ストーカー体質なんです!!それでも大丈夫なんですよねっ!」


  可愛くウインクしてまた前に進み出す鈴鹿を俺は呆然と見ていた。
 まさか、まさかとは思っていたけど、本当にそうだなんて。




  そうして、数日後、会社が始まると毎朝のように鈴鹿は起こしに来るようになったのだ。
  ちなみに鍵は渡していない。
  鈴鹿が自分で作ったのだ。さすがストーカー。








  



 


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