甘い甘いひととき

秋原かざや

甘い甘いひととき

硬くよく冷えたカテラーナの欠片を、木べらでひとすくい。
 白いプレートに一つ、乗っかった。
 今、黒い熱せられた丸い天板の上に、うっすらと生地を敷く。
 あっという間にそれは焼けて、ゆっくりとやぶれないように慎重に焼けた生地を裏返し。
 両面焼いたのを、そっと台から降ろし、別の皿に乗せた。
 別に用意していた生クリームとクリームチーズを取り出し、その生地ににゅにゅーっと乗せていく。
 絞り袋だっけ? これ?
 けれど、結局それをたたんでしまうから、綺麗に乗せても意味はない。
 意味はないが、それでも、綺麗に乗せたくなる。
 綺麗にたたまれたそれを、またあの白いプレートの一角に置いた。
 とろーりと、事前に作っていた苺のソースをかけて、クリームも少し添える。
 ショーウィンドーの中にある小さなチョコレートケーキを持ってくる。
 これも丁度よい温度で固まっている。
 これもまた、白いプレートの上に。
 最後は、冷凍庫から取り出したバニラアイス。北海道で足を棒にしてまで見つけた、特別な牛乳で作ったスペシャルなものだ。それを苺のソースのかかった……ああ、これはクレープね。
 その上に乗せた。
 もう一度、その上から、またあの苺ソースをかけて。
 最後に白いパウダーを全体的にかけて、完成。
 クレープの熱さでじわりと解けるバニラが、素晴らしい。
 両手を合わせて、にっこりと。
 「いただきますっ!!」
 特別なスイーツを、ゆっくり堪能するとしよう。

コメント

  • ノベルバユーザー603642

    愛されキャラな主人公も本当に可愛いです。
    続きを楽しみにしています。

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  • ノベルバユーザー602339

    大人の恋愛って感じがしてドキドキ!
    大好きになりました。

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