ゼロとアイ

秋原かざや

5 行き止まりの先へ

 うーん、この中で気になるといえば……やはり、これだよね?
「怪獣……」
 これだけ、妙に異彩を放ってます。ええ。
 とにかく、取って調べて………。
「ぐぬぬぬ、何これ、取れないっ!!」
 必死になって引っ張るけど取れません。
 仕方ないので、押して……みても動きませんでした。
「うーん、普通の置物なのかな?」
 もしかしてと、ぐるっとひねってみると。


 がこんっ!


 そんな音と共に、怪獣が半回転したっ!!
「そ、そっか、これ回すんだっ!!」
 もっと回して、360度。まあ、一回転させてみると。


 がこんっ!


 え? 次は奥の方で聞こえた?
 って、もしかして、あの鏡の方から!?


 あたしは急いで音の聞こえた鏡に飛びついた。
「鍵穴が出てきた……」
 怪しいなと思っていたら、やっぱり怪しかったです、コレ。
 鏡は、扉になっていました。
 でも、鍵穴が必要ってことは……。


「鍵が必要ってことよね……」
 そんな鍵、何処にも…………ん?


 そういえば、この部屋に入ってきたとき、消火器の奥からきらりと輝くものを見なかった?


 思い出して、その光の元をたどっていくと。


「あったっ!!」


 アンティーク風の細工を施された鍵が落ちていましたっ!!
 やった、きっと、これ。
 あの鏡の扉の鍵だよっ!!


 あたしは急いで鏡の扉の前に行く。
「どうか、開きますように……」
 すっと、鍵穴に入れる。
 そして、回した。


 かちん。


 心地よい音と共に、鏡の扉の鍵が開いた。
 軋む音を響かせながら、扉はゆっくりと開く。
 その先は、暗くてわからないが、きっと……この先に、ゼロの記憶に関わるもの。
 『アトラクタの箱』があるはずだ。


 怖い気持ちをぐっと堪えて、あたしは、その扉の中へ。
 暗闇の中へと足を踏み出したのだった……。





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