ライジング・サーガ ~初心者エルフとチート魔人~

秋原かざや

SAVE10 海を越えての……迷子パート2?

 前回までのあらすじ。
 いろいろあって、ログアウトできなくなっちゃいました。
 けれど、ラナ君が守ってくれる……それだけで、私、充分ですっ!!


「……はれ?」
 目を擦って、私は起きた。
 いつもの私の部屋ではない。
「えっと……」
 寝ぼけた頭をなんとか回転させる。朝はちょっと苦手だ。いつもは母さんが起こしに来てくれて、暖かくて甘いハチミツ入りのミルクを用意してくれる。
 そして、ゆるゆると起き出すのだけれど。


 ここは……どこですか?


「おはよー、サナちゃん。朝ですよー。そしてボクはセレだよー? 覚えてる?」
 白い帽子とローブを着たセレさんが、私の目の前で手を振る。


 セレさん……???


 ………ああああっ!!!


「あ、あれ? ラナ君は?」
「ん、たぶん、男性部屋だと思うよ。そろそろ食堂に行ってるかも? もう朝だし。サナちゃん、疲れて寝ちゃったって言ってたけど、大丈夫かな? ご飯、食べれる?」
 ラナ君とお話して、そのまま、寝ちゃったんだ……。は、恥ずかしいっ!!
「あ、赤くなってる♪」
「茶化さないでくださいーーー」


 そういうわけで、私とセレさんは、身支度を整えるとそのまま食堂へ。
「あら、もう少し遅いかと思ってたんだけど」
 ミスティさんが手を振って、席を勧めてくれる。どうやら、もうここに来ていたようだ。
「僕らはさっき、来たところ。奇遇だね」
「う、うん」
 ラナ君の言葉に、思わず顔が火照ってしまう。
「まずは、今後のことを食べながら考えるか」
 アルフさんがそう切り出してくれたので、私とセレさんは、急いで朝食を注文したのだった。


「やっぱりレベルアップが先だと思う」
 ことりとコーヒーカップをテーブルに置いて、ラナ君は告げた。
「その根拠は?」
 アルフさんが睨むかのようにラナ君を見据える。
「うん、このままログアウトできるまで、ダラダラすることも出来ると思う。その方が安全かなとも思ったんだけどね」
 苦笑を浮かべながら、ラナ君は続けた。
「町に居続けたら、低い確率だけど、イベントH78が発動することに気づいて」
「イベント?」
 首をかしげる私にミスティさんが教えてくれた。
「ああ、冒険者のいる町にモンスターがやってくるっていうイベントね?」
 そのイベント、パーティメンバーのレベルに対応したモンスターがやってくるんだって。ラナ君がいるから、必然的にかなりレベルの高いモンスターがやってくる可能性が高いんだそうだ。
「僕らは平気だけど、そうなったら、サナが危ない」
「サナちゃんが危ないってことはわかったけど、ボク達が守ってあげればいいんじゃない?」
 セレさんの言葉にラナ君は首を横に振った。
「サナは竜の姫だよ。ドラゴンが現われたら、ブレス一息でやられてしまう。それよりも、レベルをあげて、僕ら並にとはいかなくても、ブレスに対抗できる体力を付けてもらいたいんだ。それに、強力な魔術師がいると、僕らも助かるしね」
「ラナン、前衛で戦えるってこと?」
 とうさんの言葉に、ラナ君は笑顔で頷いた。
「そうね、レベルが上がったとはいえ、まだサナちゃんはひよっこだもの。そのラナンの意見に賛成だわ」
 ミスティさんが手を挙げた。
「ボクもそれがいいと思う」
「異議なし」
「俺も同意見だから、まあ、それで行くか。どうせ、当ても無いんだからな」
 セレさんととうさん、そしてアルフさんも賛成。と、アルフさんが続ける。
「なら、折角だ。ここに行かないか? 早めに船に慣れておいた方がいい」
 そういって、マップを広げて指し示した場所は。
「アクアバラン。海に囲まれた都市国家だ」
 そう、私に説明してくれた。
「海に囲まれたってことは……」
「なるほど、船の利用方法を教えるってことね」
 ミスティさんが続いて口を開く。
「確か、あそこは面白いイベントがいくつかあったはずだから……うん、決定」
 というラナ君の言葉で、目的地が決まった。
「実はさ、俺、あそこに行って新しい武器が欲しかったんだ」
 後でアルフさんが、こっそり本当の目的を教えてくれました。


 朝食を終えた私達は、さっそくファーストレインの町の港にたどり着いた。
「うわあ、人がいっぱい……」
「サナ、こっちだよ」
 ラナ君が手を引いてくれたから、迷子にならなかったといっても過言ではない。
 なんとか、船のチケット売り場までたどり着けた。
「チケットは僕が払うよ」
 ラナ君がメンバー分のチケットを買って、みんなに配る。
「えっと、出発は11時だから……まだ時間あるね」
 チケットにはご丁寧に時間まで書いてあった。
「じゃあ、時間まで自由時間ー♪ ね、サナちゃん。ボクが案内するから一緒に行こ!」
「え、あっ、よろしくお願いしますー」
 ひっぱられて私は、セレさんと行動することになった。
 後ろでラナ君が困った顔で途方にくれているのは、気のせいだろうか?


「ほらほら、この貝殻のアクセサリー! 可愛いよね!!」
「わあ、こっちの宝石のついたピンもいいですね!」
 セレさんが案内してくれた場所は、どこも可愛いファンシーショップだった。
「見た目はいいんだけど、効果がイマイチなんだよね。でもさ、たまにはこういうのも付けるといいよね」
「はいっ!! あ、でも、お金ないや」
 しょぼんとうなだれる私に。
「じゃあ、おねーさんが買って進ぜよう!」
 セレさん太っ腹っ!! 私の見ていたピンを手にとって、店の中へ。私も続いて入ろうとしたときだった。


 どん、どん、どん、どん!!


 え? あっ? あれ!? わわわっ!!


 いろんな人にぶつかって、あれよあれよと別の所に行ってしまい。
 転んだ拍子にイヤリングが落ちた。


 そこに運の悪いことに。
「わーーっ!!」
「お兄ちゃん待てーっ!!」
「きゃはははっ!!」


 かしゃんくしゃん、ぼろっ。


「………!!!」


 声にならない悲鳴があがった。
 っていうか、そのイヤリング、ラナ君と通信できる唯一のアイテムなんですけどっ!!
 ステータス画面を何度も確認するけど、やっぱり消えてた。
 ご丁寧に壊れたイヤリングも、私が触れたとたんに、砂のように消えてしまった。


「のおおおおおっ!!」


 いやいや、セレさんの入ったお店に戻れば良いんだ。
 うん、あのアクセサリー屋さんに戻って……あれ?


 ここ、どこ!?


 もしもし、私、今、どこにいますか?
 答え、ファーストレインの町の港です。


 えっと、こういうときはどうしたら、どうしたら……はっ!!
 私はもう一度、持っていたアイテムを確認した。
 そうだ、11時に船に乗るんだった!!
 なんだ、簡単じゃんっ!!
 船を見つけて、船に乗っちゃえば、みんなに会えるっ!!
 人の良さそうなおばちゃんに話しかけて、私は、船のある場所へ向かったのであった。


 で、船は見つかったんだけど……。
 あれ?
 どうして、みんな、来ないの?
 船の前で待てども待てども現われない、皆。
「あ、あれー? もう乗っちゃったのかな?」
「嬢ちゃん、そろそろ出発するけど、どうするね?」
 そうだ、きっともう乗ってるに違いない!!
「乗りますっ! お願いしますっ!!」
 私は船乗りさんにチケットを渡した。
「あいよっ!」
 チケットの半券を受け取り、船に乗った。


 船旅は長いと聞くけど、ここでの船旅は……一瞬だった。
 けれど、時間は過ぎていて、日も暮れ始めている。
「なんで、みんな乗っていないのー!?」
 帰るお金もないし、これからどうしたらいいの?


 と、とにかく、アクアバランに到着です。
 わ、私の明日は、どっちっ!? 

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