ライジング・サーガ ~初心者エルフとチート魔人~
SAVE9 二人っきりの時間
と、思ったんだけど……。
なかなか寝れなくて。
セレさんも同じだった。
「早く寝ないといけないんだけどねー」
セレさんは、苦笑を浮かべた。
仕方ないと思う。
だって、私達は、この世界……ライジング・サーガの世界から出れなくなってしまったのだから。
「セレさんの家族は?」
「うん、お父さんとお母さん、それに、妹、かな」
双子なんだって教えてくれた。
「一度ね、登録してない妹がログインできるか、試したことがあったんだ。ほら、双子だし、もし出来たらレベル上げ頼もうかと思ってたんだ」
「どうだったんですか?」
ちょっと気になる。
「ん、結果はダメー!」
腕で大きなバツを作る。
「どこで判別してるのか知らないけど、エラーが出て、ログインできなかったんだ。で、ボクがログインしたらするっと入れた。とっても悔しがってたっけ」
「このゲーム、高いですものね」
うんと私の言葉にセレさんは頷いた。
「ボクの名前、妹の名前をもじって作ったんだ。妹、せれなっていうから。ボクよりも可愛い名前でちょっと羨ましくって、ね」
「そうだったんですか。……ってことは、セレさんの本当の名前……」
「他の誰にも言わないでね」
しーっと口元に人差し指を置いて、セレさんは教えてくれた。
「マリア。それがボクのホントの名前」
「マリアさんっていうんですか、すごく可愛いですよ」
「あ、でも、今までどおり、セレって呼んでね! なんだかその、恥ずかしいから」
ちょっと照れてる?
「はい、わかりました。セレさん」
「ありがとう。なんだかサナちゃんと話せてよかった」
二人でくすくす笑ってたら。
とんとん。
誰かが扉をノックしてきた。
「あ、ボクが出るよ」
てってってと、セレさんが扉をあける。
「サナちゃん、ラナン君来たよ」
「ふえ?」
思わず、変な声を上げた。
さっきまでどっかに行っていたと思っていたのに、もう帰ってきたんだ。
「ボク、ちょっと花摘みに行ってくるね。ごゆっくりー♪」
と、部屋から出て行っちゃうではないか!
「え、セレさ……」
「ごめん、やっぱ嫌だった?」
「う、ううん……」
ラナ君の言葉に私は首を横に振った。
「よかった……隣、いいかな?」
「うん」
私は自分のベッドに座ってた。その隣にラナ君が座る。ちょっと居心地悪そうに。
「……さっき、ラスダン行ってきた」
「まお……ううん、お父さんの所に行ってたんだ」
「思わず、ぶっ倒しちゃったけどね」
ぷっと吹き出して隣を見ると、ラナ君も笑っていた。
「聞いたら、親父はログアウトしてた。どうやら、親父がログアウトしたのを確認したかのように、その直後に地震が来たらしい。で、確かめてみたら……」
「他の人達がログアウトできなかったんだ」
そういうことと呟いて、ラナ君は頷いた。
「社員の人達の一部も、ログアウトできなかったんだって。だからすぐに分かったみたいなんだけどね」
「あれ? でもさっき、魔王さま出てきていたよね?」
「ログインしなくても、あれくらいは出来るよ。パソコンでも操作できるから。さっきも言ったように、僕の相手もできるくらいにね」
そういえば、このゲームを作ったのは、ラナ君のお父さんだったっけ。
「本当に、ごめんね」
「だから、何度も言わせないでよ、ラナ君の所為じゃない」
「だけど……」
まだ言うラナ君の口を、私の唇がふさいだ。
重なる唇に、ラナ君は驚いている。
「それに帰れないって決まったわけじゃないしね」
「……そうだね」
私の手にそっとラナ君は自分の手を重ねた。
「親父が言ってたんだ。もしかしたら、予期せぬバグが生じたのかもしれないって」
「バグ?」
静かに頷いて、ラナ君は続ける。
「どういう形で出ているのか分からないけれど、そのバグを直したら、ログアウトもできるようになるんじゃないかってね」
そっと私の頬に触れて、僅かに微笑んだ。
「だから、それを見つけて欲しいって、頼まれた」
「そっか……」
非常事態だっていうのに、胸の鼓動はバクバク言ってる。
きっとこれは、ラナ君が、格好いい顔をしてるからだ。
きっとそう。
「それと同時に、できるだけ、プレイヤーさん達の力になって欲しいって頼まれた。僕くらいレベル上げてるの他に居ないから」
でも、とラナ君は言う。
「それでも、サナを優先にしたい」
「ラナ君……そ」
「言わないで」
その白い人差し指で、私の唇にそっと触れた。
「僕がそうしたいんだ。他の人達も大切だけど、一番はサナ……君だよ」
そういって、頬にキス。
「だから、覚えていて。どんなことがあっても、僕は君を助けに行く。必ず」
「うん……うん……」
いつの間にか私は泣いてて。
ラナ君が優しく抱きしめてくれて。
気が付いたら、眠っていた。
いつの間に眠ってしまったんだろう。
きっと、いろいろありすぎたからだ、きっと。
私も大好きだよ、ラナ君……。
なかなか寝れなくて。
セレさんも同じだった。
「早く寝ないといけないんだけどねー」
セレさんは、苦笑を浮かべた。
仕方ないと思う。
だって、私達は、この世界……ライジング・サーガの世界から出れなくなってしまったのだから。
「セレさんの家族は?」
「うん、お父さんとお母さん、それに、妹、かな」
双子なんだって教えてくれた。
「一度ね、登録してない妹がログインできるか、試したことがあったんだ。ほら、双子だし、もし出来たらレベル上げ頼もうかと思ってたんだ」
「どうだったんですか?」
ちょっと気になる。
「ん、結果はダメー!」
腕で大きなバツを作る。
「どこで判別してるのか知らないけど、エラーが出て、ログインできなかったんだ。で、ボクがログインしたらするっと入れた。とっても悔しがってたっけ」
「このゲーム、高いですものね」
うんと私の言葉にセレさんは頷いた。
「ボクの名前、妹の名前をもじって作ったんだ。妹、せれなっていうから。ボクよりも可愛い名前でちょっと羨ましくって、ね」
「そうだったんですか。……ってことは、セレさんの本当の名前……」
「他の誰にも言わないでね」
しーっと口元に人差し指を置いて、セレさんは教えてくれた。
「マリア。それがボクのホントの名前」
「マリアさんっていうんですか、すごく可愛いですよ」
「あ、でも、今までどおり、セレって呼んでね! なんだかその、恥ずかしいから」
ちょっと照れてる?
「はい、わかりました。セレさん」
「ありがとう。なんだかサナちゃんと話せてよかった」
二人でくすくす笑ってたら。
とんとん。
誰かが扉をノックしてきた。
「あ、ボクが出るよ」
てってってと、セレさんが扉をあける。
「サナちゃん、ラナン君来たよ」
「ふえ?」
思わず、変な声を上げた。
さっきまでどっかに行っていたと思っていたのに、もう帰ってきたんだ。
「ボク、ちょっと花摘みに行ってくるね。ごゆっくりー♪」
と、部屋から出て行っちゃうではないか!
「え、セレさ……」
「ごめん、やっぱ嫌だった?」
「う、ううん……」
ラナ君の言葉に私は首を横に振った。
「よかった……隣、いいかな?」
「うん」
私は自分のベッドに座ってた。その隣にラナ君が座る。ちょっと居心地悪そうに。
「……さっき、ラスダン行ってきた」
「まお……ううん、お父さんの所に行ってたんだ」
「思わず、ぶっ倒しちゃったけどね」
ぷっと吹き出して隣を見ると、ラナ君も笑っていた。
「聞いたら、親父はログアウトしてた。どうやら、親父がログアウトしたのを確認したかのように、その直後に地震が来たらしい。で、確かめてみたら……」
「他の人達がログアウトできなかったんだ」
そういうことと呟いて、ラナ君は頷いた。
「社員の人達の一部も、ログアウトできなかったんだって。だからすぐに分かったみたいなんだけどね」
「あれ? でもさっき、魔王さま出てきていたよね?」
「ログインしなくても、あれくらいは出来るよ。パソコンでも操作できるから。さっきも言ったように、僕の相手もできるくらいにね」
そういえば、このゲームを作ったのは、ラナ君のお父さんだったっけ。
「本当に、ごめんね」
「だから、何度も言わせないでよ、ラナ君の所為じゃない」
「だけど……」
まだ言うラナ君の口を、私の唇がふさいだ。
重なる唇に、ラナ君は驚いている。
「それに帰れないって決まったわけじゃないしね」
「……そうだね」
私の手にそっとラナ君は自分の手を重ねた。
「親父が言ってたんだ。もしかしたら、予期せぬバグが生じたのかもしれないって」
「バグ?」
静かに頷いて、ラナ君は続ける。
「どういう形で出ているのか分からないけれど、そのバグを直したら、ログアウトもできるようになるんじゃないかってね」
そっと私の頬に触れて、僅かに微笑んだ。
「だから、それを見つけて欲しいって、頼まれた」
「そっか……」
非常事態だっていうのに、胸の鼓動はバクバク言ってる。
きっとこれは、ラナ君が、格好いい顔をしてるからだ。
きっとそう。
「それと同時に、できるだけ、プレイヤーさん達の力になって欲しいって頼まれた。僕くらいレベル上げてるの他に居ないから」
でも、とラナ君は言う。
「それでも、サナを優先にしたい」
「ラナ君……そ」
「言わないで」
その白い人差し指で、私の唇にそっと触れた。
「僕がそうしたいんだ。他の人達も大切だけど、一番はサナ……君だよ」
そういって、頬にキス。
「だから、覚えていて。どんなことがあっても、僕は君を助けに行く。必ず」
「うん……うん……」
いつの間にか私は泣いてて。
ラナ君が優しく抱きしめてくれて。
気が付いたら、眠っていた。
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