私、これでも副会長なんだけど!?

秋原かざや

生徒会と私と……先生のカンケイ

 なんていうか、その後の先生の行動は、めっちゃ早かった。
 ちなみにここは、職員室です。
 先生を集めて、相談中ってやつです。
 一応、当事者ということで、私もここにいます。
 かなーり、居づらいけど。
「……というわけで、生徒会に新たな役員の補充を提案したいのですが、かまいませんか?」
 そういう浅樹先生に、他の先生から質問が入ってくる。
「現在、動いていない役員はどうするんだね?」
 痛いところをついてきた。
 普通なら、何かしらの罰則を与えるところだろう。
「彼らはそのまま所属していただきます」
「しかし、それでは他の学生に示しがつかないと思うんだが?」
 まだ何か言おうとしている他の先生に、浅樹先生は続けます。
「確かに彼らは模範的な生徒ではありません。しかし、生徒会発足時はとても優秀だったと聞いています。その途中で何かしらのアクシデントがあって、このような状況になってしまったんでしょう。しかし、それに何も対応せず、副会長だけに押し付けて、行事を運営させる方も問題かと思うのですが、いかがでしょうか?」
 浅樹先生は、有無を言わさぬ眼力で、あっという間に文句が出そうな先生を押さえつけていく。
「それを踏まえた上で、彼らにはこのまま生徒会に在籍してもらい、新たな人員を補充して、現副会長を支えることが先なのではありませんか? 名前だけ在籍している役員達も、在籍したという証があれば充分でしょうし、なにより、この状況が外部に知れたら、本校の評判にも関わります。また、副会長も生徒会だけでなく、陸上部でもエース級の実力者。こんなことで彼女を潰すつもりですか? 昨日、彼女はその所為で僕の目の前で倒れたんですよ? 皆さんはその責任をどう取るつもりなんですか?」
 言わずとも伝わるような、圧倒的な説得により、職員室にいる先生、全員から賛成をもぎ取った浅樹先生は、私の親友達を補充メンバーとして新たな生徒会に入れてくれる算段をつけた。
 そういえば、去年も私だけでは手が足りなくて、親友にお願いした部分もあったっけ。先生も協力してくれたけど。もしかして、それを知ってるの、浅樹先生は!?


 そんな会議を、私ははらはらと見守っていました。ええ。
 最終的には、先生はばっちり、自分のやりたい事を相手に通してしまいました。なんだか、無茶なことを言っているようにも見えたんだけど、気のせい?
「柊さん、終わりましたよ。会議」
「え、あ、はい」
 浅樹先生に声をかけられて、私はそそくさと立ち上がる。
「これで少しは楽になるといいんだけど……とにかく、辛いこととかあったら、早く相談してね? 僕はまた柊さんが倒れないか心配だよ」
 あれ? 柊さんって……ああ、そういえば、まだここ、職員室だった。
「もう大丈夫です、ばっちり休みましたし!」
 そんな私の様子を見て、浅樹先生はふうっとため息を零した。
「まだ足りない」
 ぽつりと呟いたその声が、とてつもなく、怖く感じたのは、気のせいですか!?
「君はまた、昨日の失敗を繰り返すつもりか? さきほど、部活の先生に伝えておいたから、もう帰りなさい」
 さっきの有無を言わさぬあの眼力で………………あれ?
「えっと、その……先生」
「ん? 何?」
「なんで、私……先生の車の助手席に座ってるんでしょう?」
「さっき言ったじゃないか。休み足りないから、家まで送るって」
「いやいや、そうじゃなくってっ!!」
 思わず突っ込んじゃいました。ええ、帰るのはいいとしましょう。
 なんで、そこで、先生が! 私を送るってことになるんですか!?
「はあ……何度言わせたらわかるのかな? 沙奈は」
 しゃっと慣れた手つきで私のシートベルトをつけて、ついでに自分のシートベルトをつけました。ええ。
「また君は僕の目の前で倒れるつもりなのかい? それに、君が倒れて心配するのは、僕だけじゃないはずだよ?」
「ででで、でも、先生、私の家、知ってるんですか?」
「ついさっき、ナビに入れました。問題ありません……これでいい?」
 そそそ、そういえば、先生は私の担任でしたっ!!
 忘れてましたよ、そうだよ、担任なら、私の家の住所、知ってるよ!
「というわけで、大人しく乗ってなさい。いいですね?」
「……はい」
 ……っていうか、その。
 心の中で突っ込んでいいですか?
 なんで、車を運転している先生は、そんなに格好いいんですか!?
 ついでに、先生の運転してる車、外車ってやつじゃないですか!?
 ハンドルの位置、日本車と反対側ですよねっ!?
 もひとついわせていただくと、つい、先生の顔を盗み見てて、目と目があっちゃって、そしたら、ふっと見せるドヤ顔に、ずぎゃーんとハートを鷲づかみされなくっちゃいけないんですか!!
 こここ、これは、何の拷問、ですかーーーっ!!


 えっと、自宅の玄関まで行くという先生を、何とかマンションの入り口までにしてもらって、何とか解放されました。
 なんだか、普通に忙しくしているよりも、クラクラしたのは……気のせいですよね? 先生?

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